第2外国語で出逢う新たな世界とわたし
—津田塾と留学先フランスで培った力を糧に

  1. HOME
  2. 津田塾のまなび
  3. 第2外国語で出逢う新たな世界とわたし—津田塾と留学先フランスで培った力を糧に

須々田 佳奈 SUSUTA Kana

学芸学部英語英文学科 4年

英語教育に定評があり、「英語の津田」と称される津田塾大学。
実は英語だけではなく、第2外国語の学びも充実しています。なかには、第3外国語、第4外国語まで履修する学生も。今回は、学芸学部英語英文学科4年で多文化・国際協力コースに在籍する須々田さんに第2外国語の学びやフランス留学の経験について話を聞きました。

「英語の津田」で英語を究め、フランス語にも挑戦

高校時代にお世話になった先生の影響もあり、英語力をさらに伸ばし、第2外国語も学ぼうと津田塾大学に入学した須々田さん。入学後、どのような日々が待っていたのでしょうか。第2外国語の学びや、留学先フランスでの出来事について話を聞きました。まず、津田塾大学に入学を決めた理由を教えてください。
実は、第一志望だった大学の国立大学の二次試験(筆記)対策として津田塾大学を受験しました(笑)。残念ながら第一志望には届かなかったのですが、高校時代にお世話になった先生が津田塾の卒業生だったこともあり「英語を徹底的に学べる」という基準で考えて、津田塾大学の英文学科(現:英語英文学科)への進学を決めました。当初から第2外国語にも興味がありましたが、まずは高校まで学んできた英語を大学でさらに磨いて、そのうえで第2外国語として勉強してみたかったフランス語にも挑戦しようと思ったのです。

着実に力をつける、津田塾の第2外国語

フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、中国語、韓国・朝鮮語……。津田塾で学べる第2外国語のなかでも、須々田さんがフランス語を選択したきっかけはなんだったのでしょうか。その背景やフランス語への想いを教えてください。
もともとフランスの歴史やデザインが好きで、自然と「フランス語を学びたい!」と思うようになりました。フランス語の授業では、ネイティブの先生やフランスに長期滞在経験がある先生が実体験を交えながら日常的に使う生きた表現を教えてくれるので面白いですね。さらに少人数制で先生との距離が近く、読み書きや発音についても、一人ひとり細やかに指導いただける点が魅力的だと感じます。

1・2年次にお世話になった北見先生のクラスでは、ほぼ毎週のようにテストがありました。最初はゼロからのスタートでついていくのがやっとでしたが、鍛えられたおかげで文法や発音等の基礎をしっかり固めることができました。高校までは、外国語は英語しか勉強してこなかったこともあり、新たな発音や文法など、すべてが新鮮です。フランス語の場合、名詞にも性があり、性数一致が必要なこと、主語に応じて動詞などを使い分ける必要があることなど、意識すべき点が多く、難しく感じることもありますが、それもまた楽しいと思えるようになりました。

留学の際に現地で受けたフランス語のクラス分けテストでは、文法の結果がよく、津田塾での学びの成果を実感できました。英語英文学科では、第2外国語は1・2年次まで必修、3年次以降は自由選択ですが、語学は続けないと忘れてしまうので入学以降4年間、継続して履修しています。
フランス語のテキスト(左)とフランス語版『タンタンの冒険』(右)
調べる度マーカーを引きながら覚えたフランス語の辞書



大学のサポートにより、フランス留学を決意

フランス語をさらに深く学びたいと、3年次に津田塾の協定校の一つであるセルジー・ポントワーズ大学に留学をした須々田さん。英語圏へ留学する学生が多いなか、フランス留学を決めたきっかけはなんだったのでしょうか。
もともと英語が大好きで、高校生の頃から留学したいという想いが漠然とあり、実際、アメリカへ短期留学も経験しました。大学入学当初も、英語圏への留学を考えていましたが、次第に「ある程度力がついてきた英語ではなく、せっかくなら大好きなフランス語のレベルアップを図りたい」という気持ちが強まっていったんです。

そんなある日、津田塾大学とフランスのセルジー・ポントワーズ大学(以下、セルジー)の協定が結ばれることになったと耳にしました。私にはとても無理な話ではないかと思っていましたが、一生懸命フランス語の学習に励んでいるうちに先生方に声をかけていただきました。所属しているセミナーの三砂先生からも「留学は門が開かれたそのときこそ、チャレンジすべきとき」と背中を押してもらい、フランス留学に挑戦しようと決意しました。

留学すると決めてからは、授業の予習・復習を丁寧に行うことを留学対策の軸にしていました。私は、セルジーへの協定留学一期生だったので、情報収集は主にインターネットで行い、ビザ申請や奨学金の申請など留学手続き全般については、国際センターの職員の方々や先生方に協力いただきました。



自国と自分を見直すきっかけになった、フランスでの授業

留学先のセルジーではどのような講義を受けたのでしょうか。印象に残っている授業や、クラスの雰囲気などを教えてください。
現地で特に印象的だったのは「Enjeux culturel」(アジアやヨーロッパの文化研究)という授業です。すべてフランス語で行われ、授業についていくのに苦労しましたが、周囲の友人に支えられながらなんとか単位を取得できました。オムニバス形式の講義で行われたこの授業のほとんどで配布資料がなく、スクリーンに投影されるスライドにまで文字情報が見当たらないなんていうことも……。日本とは異なる授業スタイルに戸惑いましたが、とにかく集中して一語一句聞き逃がさないようにしていました。

言葉についていえば、経済の授業で先生が何度も「クロワッサン」と連呼していたことを思い出します。この授業でなぜクロワッサンという用語が出てくるのか、はじめは全く分かりませんでした。しかし、さすがに「何かおかしいぞ」と思いはじめ辞書で調べてみると、「増大」という意味があることがわかったんです。私は食べるほうの「クロワッサン」とばかり思っていたのですが、同じスペルでもまったく異なる意味を持ち合わせるのだと、衝撃を受けました(笑)。

また、歴史好きの私にとって、日本史をフランス語で学ぶ授業は印象的でした。前提知識があるので理解はしやすかったものの、歴史特有の語彙をフランス語で覚えるのに苦労しました。その分、フランス語で日本史を学び直すことで、自国を見つめ直すきっかけにもなり、フランスの学生がこんなにも日本に興味をもってくれているのだと驚きました。また、どのクラスでも共通しているのは、フランスの学生は疑問に思ったらすぐに手を上げて質問をするということ。津田塾同様、能動的に授業を受けている様子が見受けられ、真面目に取り組みつつも、勉強に楽しみを見出している学生が多かったので、勉強に打ち込むには、最適な環境でしたね。


現地学生との交流でマルチカルチャーを体験

言葉や文化が異なる地で、当初は戸惑いも感じたという須々田さん。現地の生活に慣れようと、積極的に交流したそうです。
平日は、なるべく学校に行って現地の友人とコミュニケーションを取るよう心がけていました。朝は早く起きて課題を終わらせ、なるべくその日のうちにすぐ復習するようにしていました。放課後は、仲のよい友人と図書館に行き勉強したり、お昼ご飯を食べたり、モールに出かけ買い物をしたりと楽しく過ごすことも。一緒に課題や試験対策をしたり、アパートでシェアハウスをしているルームメイトにフランス語を教えてもらったりすることもありましたね。現在、セルジーから津田塾に交換留学生として来日しているBiancaさんとも、現地で仲良くしていました。留学先での日々は、いまでもよい思い出です。

授業がない休日には、日本人や留学生の友人とパリ市内を巡ったり、語学クラスのメンバーとサッカーなどのスポーツを楽しんだりしたことは、いまでも印象に残っています。頭で考えるのではなく、身体を動かすことでリフレッシュにもなり、英語とフランス語が入り混じる環境で多文化体験を楽しむことができたように思います。また、フランス人の友人を自宅に招いて、カレーや味噌汁を作りました。セルジーには日本語学科があり、日本食に興味をもつ学生も多く、食をとおして交流することができました。

そんな私ですが、留学当初はフランス語で自分の意思を伝えることがほとんどできませんでした。特に、駅やスーパーでは英語が通じず苦労したので、とっさに口から出てこなかった単語を調べておいたり、言いたいことを事前に考えて練習してから話しかけたりするようにしました。いろんな失敗をしたり、落ち込んだりしたときには、“C’est la vie.” (フランス語で「これが人生さ」「仕方ないよ」の意)と自分に言い聞かせているうちに元気が出てきて、徐々に新たな環境に慣れていくことができました。
現地の学生と一緒に
フランスの友人にふるまった日本のカレー



留学をとおして身につけた自主性と傾聴力

約1年の留学を経て帰国した須々田さん。帰国後、何か変化はあったのでしょうか。今後の目標、津田塾を目指す方や留学を考えている方へのメッセージを聞きました。
留学を経て、相手と心を通わせながらも、より自分の意見を言えるようになりましたね。以前から積極的に発言するタイプでしたが、留学してからは海外の積極性と日本人特有の相手を慮る奥ゆかしさ両方を身につけられたと思います。ただ自分の意見を述べるのではなく、相手の立場や意見を尊重し、耳を傾けることができるようになりました。

津田塾は、とにかく少人数で細やかな指導が行き届いている大学だと改めて実感します。もちろん受動的に授業を受けるだけでは成長は望めませんが、積極的に学ぼうとする気持ちがあれば、先生はいつでも親身になって応援してくれます。「自分はなぜここにいるのか。何をしたいのか」。自問自答し、自分なりの答えが見つけられれば、なお有意義な学生生活が待っていると思います! これから本格的に就職活動が始まろうとしています。私自身、これからも語学の学習を続けながら、環境面でも人間関係においてもたくさんの学びの機会や成長のチャンスに溢れる津田塾での経験を糧に、周りに流されず、自分らしい選択をしていきたいです。




※学年は取材当時のものです。
Copyright©2019 Tsuda University.
All rights reserved.