現地で特に印象的だったのは「Enjeux culturel」(アジアやヨーロッパの文化研究)という授業です。すべてフランス語で行われ、授業についていくのに苦労しましたが、周囲の友人に支えられながらなんとか単位を取得できました。オムニバス形式の講義で行われたこの授業のほとんどで配布資料がなく、スクリーンに投影されるスライドにまで文字情報が見当たらないなんていうことも……。日本とは異なる授業スタイルに戸惑いましたが、とにかく集中して一語一句聞き逃がさないようにしていました。
言葉についていえば、経済の授業で先生が何度も「クロワッサン」と連呼していたことを思い出します。この授業でなぜクロワッサンという用語が出てくるのか、はじめは全く分かりませんでした。しかし、さすがに「何かおかしいぞ」と思いはじめ辞書で調べてみると、「増大」という意味があることがわかったんです。私は食べるほうの「クロワッサン」とばかり思っていたのですが、同じスペルでもまったく異なる意味を持ち合わせるのだと、衝撃を受けました(笑)。
また、歴史好きの私にとって、日本史をフランス語で学ぶ授業は印象的でした。前提知識があるので理解はしやすかったものの、歴史特有の語彙をフランス語で覚えるのに苦労しました。その分、フランス語で日本史を学び直すことで、自国を見つめ直すきっかけにもなり、フランスの学生がこんなにも日本に興味をもってくれているのだと驚きました。また、どのクラスでも共通しているのは、フランスの学生は疑問に思ったらすぐに手を上げて質問をするということ。津田塾同様、能動的に授業を受けている様子が見受けられ、真面目に取り組みつつも、勉強に楽しみを見出している学生が多かったので、勉強に打ち込むには、最適な環境でしたね。