自分から「学び」を生み出す。そのための教育を求めて

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古賀 要花 KOGA Iruka

総合政策学部総合政策学科 1年

高校時代から自主的にオランダでの現地視察を敢行したり、18歳選挙権に関する啓蒙活動プロジェクト「エレフェス」を立ち上げたり……。現在総合政策学科に所属する古賀要花さんはとにかくアクティブ。 「大学4年間の目標は、日本の教育がどうあるべきを模索すること」と語る彼女は、日本の教育を変革することを志し、津田塾の門を叩きました。 NGO団体の支部を立ち上げたり、学外とのコミュニティーでも活動するなど、大学の内外で活躍する古賀さんは、津田塾での日々をどう捉えているのでしょう。 教育への思いの原点、現在の活動、そして津田塾での学びについてお話しを伺いました。

自分から「楽しさ」生み出す教育

そもそもわたしの原動力は、「日本の教育を変えたい!」という強い想いにあります。小学2年生からずっと体験型学習中心の学校で教育を受けてきたんですが、そこでは前の学校で受けていた「与える」教育ではなく、自分から生み出す「学び」がありました。その違いに小さいころから気づけたことが、 教育を変え、ひいては自分を含めた人々の可能性を広げたいと思い出した原点だといえるかもしれません。

例えば、中学3年生のときに受けた公民の授業で、オランダの自由度が高い教育システムについて知って現地に行きたくてたまらなくなったことがありました。行きたすぎて、人に会うたびに「行きたい、行きたい」と言っていたら、たまたま知り合いからホームステイ先を紹介してもらい、高校1年生のときにオランダへ行き、現地の学校を見学させてもらったことがあります。その結果、高校2年生のころにシンポジウムで話す機会があって、自分の興味で世界が開けていくことに感動したんです。
そんな経験から、わたしにはずっと「教育によって未来が変わる」という感覚、そして、従来型の「与える」教育と主体的に「学ぶ」教育を融合すれば、無限大の可能性が生まれるという確信がありました。だから若者の主体性を伸ばすために、「教育に携わりたい」と思うようになったんです。

ただ、私の場合、教師という職業よりも、新しい教育のあり方や仕組みを考えることに関心があります。そのためには、まずは社会を知って、自分に何ができるのかを考える必要があるな……と思いながら、大学受験に臨みました。 

  

課題を発見するチャンス

受験に向き合いながらも、教育に対する想いは変わらなかった古賀さん。自身で「エレフェス」を立ち上げるなど受験生とは思えないほど、勉強以外の活動にも取り組みます。

そんななか、古賀さんは新聞広告で津田塾と出合い、新設された総合政策学部をAO入試で受験することを決意します。
津田塾を受験する前、創設者の津田梅子がどんな考えを持っていたか、どう生きたのかを調べました。彼女は、女性を社会に進出させるためには教育が大事だといって、津田塾の前身となる大学を作ったわけですよね。

わたしが津田塾の総合政策学科を受験したとき、AO入試で「教育」に関する小論文が出題されたんです。分野にとらわれずに学べる総合政策学科が行った1期目の募集で、受験生に問いかけたテーマが教育だったことに感動しました。そこで梅子の精神が津田塾に残っていることが確信できたんです。さらに面接では、丁寧にわたしの話を聞いてもらったと感じました。単に落とすための面接ではなく、学生がどんな人かを見ようとしていることに強く感銘を受けて、進学を決めました。
総合政策学部カリキュラム
わたしが所属している総合政策学部は、公共政策、経済政策、社会情報、人間社会といった4つの課題領域を横断しながら、多角的な学びができるという特長をもっています。だから、この学部は問題意識を育てる「種」をたくさん提供してくれるなと思うことが多いです。学外の講師の方をお招きしての授業や学生主体のセミナーを通して、こんなところにもあんなところにも課題があると発見してばかりの日々です。

また、津田塾大学は学外での学びのチャンスも豊富です。わたしはギャップターム(第2ターム+夏期休暇)に、自分が興味のあることに挑戦できる「学外学修」の制度を利用して、先端的な教育システムをもつオランダに短期留学し、2度目の滞在を果たしました。現地では自分がずっと関心がある教育はもちろん、現地の文化にも積極的に触れ、非常に実りの多い経験を積むことができました。

  

「違う」から立ち上げたプロジェクト

授業にゼミに、短期留学。津田塾のシステムをフルに活用する古賀さんの活動は、もちろん学業だけに留まりません。

自身で立ち上げた「エレフェス」はもちろん、「教育」という自身の関心にとらわれることなく、議員政策秘書や学習塾でのインターンなど、複数の活動に取り組んでいます。 
学外での活動はいろいろ行っていますが、実は大学に入る前から続けている活動もあります。わたしが立ち上げた18歳選挙権に関する啓蒙活動「エレフェス」では、政治に興味のない同世代に選挙に関心をもってもらうためのイベントを、実家がある岡山のショッピングモールで開催したりしています。

18歳選挙権について文部科学省の発表を見ると、自分で考えて行動する、社会に貢献する人たちを育てるという目的のもと、「主権者教育」を行う必要があると書いてあるんですよね。これは自分が求めているものと通じているなと関心をもったのですが、ふたを開けてみると「公職選挙法に引っ掛からない方法を知ろう」とか「模擬投票をしてみよう」とか、冊子を渡して「はい、読んどいて」とか、「与える」タイプの啓蒙活動が一般的なんですよ。「それって全然違う」と思い、自主的にプロジェクトを立ち上げました。現在は、選挙に関する自分の記録をつけて、若者の政治に対する意識や行動を変える「選挙手帳」の開発を行っています。
イオンモール岡山で開催したイベント「エレフェス ~学ぼう!18歳選挙権~ 」
ほかにも、「視野を広げたい」という想いから、発展途上国に家を建てるボランティアNGO団体「Habitat for Humanity」の学生支部「Uméson-Habitat」を津田塾に立ち上げ、活動をはじめたりもしています。これは、「途上国は教育すらままならないのに、なぜ日本の教育に興味を持っているのか」という昔から聞かれ続けていた問いへの解を、自分の手で見つけたかったからです。あと、先生の勧めで、他大学の学生同士で解決困難な課題を考える「日本ジュニア・アカデメイア」にも参加するようになり、毎週のように同年代の学生たちと経済界のイノベーションをテーマとした勉強会や共同研究を行ったりしていました。

最近は、学習塾でインターンもさせていただいています。講師をすることもありますが、カリキュラムなどを考え、授業を作るのが主な業務です。社会に発信していく若い人たちを増やすために、自分で考え行動する若い世代を教育の現場で見つめられる、貴重な機会を頂いています。
Habitat for Humanities の募金活動
フィリピンの建設現場で、実際の作業にも従事した

夢をかなえるための場所

教育への熱意をもちながら、活発に活動する彼女の話を聞いていると、大学生離れしているな……と素直に思ってしまいます。

教育というキーワードに導かれ津田塾へと入学した古賀さんは、いまその価値をどう捉えているのでしょう。 
大学に入学して思うのは、「やっぱり津田塾を選んでよかった」ということですね。先生方は質問に対して時間を割いて丁寧に答えてくれますし、新しいチャレンジを試みようとする際には手厚くサポートもしてくれます。先生方と沢山やりとりをしながら、複数のプロジェクトを進めています。

本当に先生方に恵まれていて、面接のときと同じように、話に熱心に耳を傾けてくれるんです。たぶんこんなに学生の話を真剣に聞いてくれる教授は、他の大学にはいないだろうなって思うくらいです(笑)。先生方も津田塾を盛り上げていきたいという強い思いがある。だから、学生の発言に前のめりなんですよね。

大学でいくら学んだとしても、それを現実に落とし込むとき向き合わないといけないのは自分ですよね。どの活動をやるかは、自分の過去を文脈として整理したり、自分はどういう人間なのかを考えながら決めていくしかない。わたしの「新しい教育の形を作る」という夢を叶えるためには、もっとたくさんの人と出会い、たくさんの経験をする必要があります。それを実現する上で、津田塾という環境はわたしにとって不可欠な場所だと感じています。
※学年は取材当時のものです。
[ 文:矢代真也(編集者/ライター)・撮影:赤松洋太(カメラマン)] 
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