国際保健とは、いわゆる開発途上国と呼ばれる国々の保健状況について考えていく分野です。以前は「熱帯医学」と呼ばれる熱帯地方の医療と同じ、と考えられることもありました。しかし、現在の複雑な政治経済状況のもと、もはや健康を「医療」の枠組みだけでとらえることはできないことに多くの人が気づいています。たとえば、「疾病は原因(細菌、ウィルス、環境物質……)さえわかれば予防策が立てられる」「すべての人は近代医療を求めており、過去に起こった死亡率の低下は近代医療のおかげである」といった発想は、数多くある国際保健の「神話」のひとつと呼ばれており、現実を反映していません。これらの神話に気づき、自分で考え抜くためには、どのような発想が必要なのかを考えていくことが国際保健を学ぶ意義です。単純な発展思考への見直し、近代の問い直しという視座をもち、学際的な学びに基づいた価値観の見直し、という作業が必要です。
多くの津田塾生が興味をもつ、貧困やそれに伴う健康格差の問題とどう向きあっていくのかということに直接関わる分野でもあります。
多くの津田塾生が興味をもつ、貧困やそれに伴う健康格差の問題とどう向きあっていくのかということに直接関わる分野でもあります。