国際関係学科 授業紹介

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3年セミナー(開発経済論)

経済学の視点から
世界の貧困を考える

国際関係学科准教授 森 悠子

開発経済学は発展途上国を中心に、なぜ貧しいのか、どうしたら貧困がなくなるのかについて研究する学問です。私のセミナーには、貧困について問題意識をもった学生が集まってきます。
しかし、貧困問題は多くの学生が思っている以上に複雑で多層的です。学生は思いもかけない現実や貧困のメカニズムに驚くことも多いようです。
 

私のセミナーでは、体系的に貧困問題の原因と解決策を学ぶために、経済学的な視点をもって貧困問題を考えること、客観的に政策や援助を評価できる力を養うことに重点をおいています。
1点目の経済学的な視点を養うことは、貧困問題を考える上で有用な視点を提供してくれます。例えば、児童労働を減らすために法で規制を強化することや児童労働を行う企業の製品を買わない、といったことが考えられると思います。しかし、児童労働の根本的な原因が貧困にあるため、こうした政策やキャンペーンは子供たちの賃金を減らすことや失業につながり、ますます貧困を加速させる可能性があります。その結果として逆に児童労働が増えたり、より労働環境の悪い職場に子供たちを追いやってしまうことが懸念されるのです。
また最近では、行動経済学の知見も貧困を考える上で欠かせないものになっています。例えば、貯金は貧困から脱却するために有用ですが、貯金しようと思ってもついつい目先の利益に誘惑されてお金がたまらないという問題がしばしば生じます。そこで最近の開発援助では自制心のコントロールを工夫することで、貯蓄や教育といった有用な投資を促進する方法が模索されています。
 

2点目の客観的に政策や援助を評価する能力は、「エビデンスに基づく政策」が重視される現代にあって、とりわけ必要とされている能力だと思います。私のセミナーではこうした能力を養うために、統計分析の基本や事例を勉強しながらデータ分析の基本を学びます。夏の合宿では、グループに分かれて実際のデータを用いながら教育や見た目のよさが賃金に与える効果の推計を行いました。学生からも「演習や輪読を通じて政策評価に関する理解が深まった」という声が聞かれています。卒業論文ではセミナーで得た知識が活かせればと思っています。
貧困をなくすための活動は善意だけで行うものではなく、地道で精緻な評価や議論の積み重ねが重要です。世界の貧困は世界中の人びとの努力により劇的に改善されてきていますが、一方でまだまだ取り残されている人たちもいます。これが正しいという答えはないからこそ、やりがいがある分野なのです。


 

学びのアイテムは?
教科書 『Understanding Poverty』

教育、医療、公共政策など貧困に関わる重要な諸問題についての最新の研究成果を世界で活躍する研究者たちが紹介しています。

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