解決策が見つかりさえすれば、その実現のために協力することは当然、と思うかもしれません。しかしそうではありません。国際社会においては、一つひとつの国家が自分の意思のみに従って行動することが原則としては認められています。
そしてその国家に何かを強制することのできる仕組みは存在しません。そうしたときに、本当にすべての国が足並みをそろえて約束を守れるでしょうか。もし他の国が完全に約束を守ると信用できないときに、それでも自国「だけ」は、約束を完全に守るのは合理的でしょうか?
協調が簡単だと思い込むと、うまくいかないのは誰かの愚かさや悪意が原因だと短絡的に考えがちですが、そのような考え方が問題を政治的に悪化させています。国際社会の問題解決においてはどういう点が難しいのか、ということを丁寧に段階を踏んで考えましょう。