国際関係学科 授業紹介

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国際政治論

地球的課題解決の難しさを
丁寧に考える

国際関係学科教授 網谷 龍介

「地球温暖化対策を進展させる方法は?」「核兵器廃絶のために日本ができることは?」、こんな地球的課題を思い浮かべてください。「国際政治論」はこれらの課題解決の前提である国際協調がなぜ難しいのかという問題を考えます。
解決策が見つかりさえすれば、その実現のために協力することは当然、と思うかもしれません。しかしそうではありません。国際社会においては、一つひとつの国家が自分の意思のみに従って行動することが原則としては認められています。
そしてその国家に何かを強制することのできる仕組みは存在しません。そうしたときに、本当にすべての国が足並みをそろえて約束を守れるでしょうか。もし他の国が完全に約束を守ると信用できないときに、それでも自国「だけ」は、約束を完全に守るのは合理的でしょうか?
協調が簡単だと思い込むと、うまくいかないのは誰かの愚かさや悪意が原因だと短絡的に考えがちですが、そのような考え方が問題を政治的に悪化させています。国際社会の問題解決においてはどういう点が難しいのか、ということを丁寧に段階を踏んで考えましょう。

学びのアイテムは?
参考書 『国際政治学』

教科書を読めばわかることを講義で繰り返すのは時間がもったいない。学生には教科書の要約と質問・コメントを提出する課題が事前に課され、授業時間中には教科書を補い、理解を深めるための説明が行われます。




原書講読(2年セミナー)

歴史学の手法で探る、
国際関係の中のイスラーム

国際関係学科准教授 藤波 伸嘉

2年セミナーでは、1年セミナーで習得した技能をさらに向上させるべく、原書講読を通じた方法論の磨き上げを図ります。私のセミナーでは、毎年少しずつ題材を変えながら、国際関係におけるイスラームの位置づけやその変遷に、歴史学の立場から切り込むための方法論を身につけることを目標としています。
今年は「オスマン帝国と国際法」と題して、西洋中心主義的に語られがちな国際関係史や国際法史を、異なる視点から再構築しようとする論文を輪読しました。最新の研究を理解し、それをもとに議論するのは決して簡単なことではありませんが、学生を見ていると、慣れていくに従い、英語の文献を読み、調べ、発表し、議論することが、それほど苦にはならなくなるようです。
こうした一連の流れを通じて、過去のとらえ方が現在の関心によってどのように変わるのかを実感しつつ、社会科学と人文科学の差、イスラーム嫌悪と西洋中心主義の相互関係といった点について、考えを深めます。

学びのアイテムは?
参考書 『A Turkish and English Lexicon』

オスマン史家の座右の辞書です。オスマン語史料を読み込むことで得られる研究上の知見が、学生向けの講義やセミナーの基盤を成す知識となります。




3年セミナー(開発経済論)

経済学の視点から
世界の貧困を考える

国際関係学科准教授 森 悠子

開発経済学は発展途上国を中心に、なぜ貧しいのか、どうしたら貧困がなくなるのかについて研究する学問です。私のセミナーには、貧困について問題意識をもった学生が集まってきます。
しかし、貧困問題は多くの学生が思っている以上に複雑で多層的です。学生は思いもかけない現実や貧困のメカニズムに驚くことも多いようです。
 

私のセミナーでは、体系的に貧困問題の原因と解決策を学ぶために、経済学的な視点をもって貧困問題を考えること、客観的に政策や援助を評価できる力を養うことに重点をおいています。
1点目の経済学的な視点を養うことは、貧困問題を考える上で有用な視点を提供してくれます。例えば、児童労働を減らすために法で規制を強化することや児童労働を行う企業の製品を買わない、といったことが考えられると思います。しかし、児童労働の根本的な原因が貧困にあるため、こうした政策やキャンペーンは子供たちの賃金を減らすことや失業につながり、ますます貧困を加速させる可能性があります。その結果として逆に児童労働が増えたり、より労働環境の悪い職場に子供たちを追いやってしまうことが懸念されるのです。
また最近では、行動経済学の知見も貧困を考える上で欠かせないものになっています。例えば、貯金は貧困から脱却するために有用ですが、貯金しようと思ってもついつい目先の利益に誘惑されてお金がたまらないという問題がしばしば生じます。そこで最近の開発援助では自制心のコントロールを工夫することで、貯蓄や教育といった有用な投資を促進する方法が模索されています。
 

2点目の客観的に政策や援助を評価する能力は、「エビデンスに基づく政策」が重視される現代にあって、とりわけ必要とされている能力だと思います。私のセミナーではこうした能力を養うために、統計分析の基本や事例を勉強しながらデータ分析の基本を学びます。夏の合宿では、グループに分かれて実際のデータを用いながら教育や見た目のよさが賃金に与える効果の推計を行いました。学生からも「演習や輪読を通じて政策評価に関する理解が深まった」という声が聞かれています。卒業論文ではセミナーで得た知識が活かせればと思っています。
貧困をなくすための活動は善意だけで行うものではなく、地道で精緻な評価や議論の積み重ねが重要です。世界の貧困は世界中の人びとの努力により劇的に改善されてきていますが、一方でまだまだ取り残されている人たちもいます。これが正しいという答えはないからこそ、やりがいがある分野なのです。


 

学びのアイテムは?
教科書 『Understanding Poverty』

教育、医療、公共政策など貧困に関わる重要な諸問題についての最新の研究成果を世界で活躍する研究者たちが紹介しています。

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