フランス語は、新たな出会いにつながる「窓」です

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田子根 成奈 TAKONE Seina

学芸学部国際関係学科 3年

津田塾大学の国際関係学科に入学し、第2外国語はフランス語を選択。これをきっかけとして、語学に留まらずフランスの歴史や文化にも興味が広がり、現在は仏文学を題材として卒業研究に取り組む。 フランス語を軸にして興味のあるテーマを深く掘り下げてきた田子根さんに、津田塾における第2外国語の学びについて語っていただきました。

ここには学びたいことすべてが詰まっている。

はじめに、津田塾大学を志したいきさつを教えてください。
津田塾を知ったきっかけは、母からの勧めです。調べるうちに、国際関係学科が目に留まりました。この学科の特徴は、1年次に国際分野を中心に幅広く学んだ後、2年次から徐々に専門分野を絞っていくこと。ヨーロッパの歴史や文化に漠然と関心があったものの専攻を決めかねていた私にとって、このカリキュラムは本当に魅力的でした。

オープンキャンパスに訪れると、学生たちがいきいきと大学生活について語っている姿を目にします。キャンパスライフのイメージが浮かんで胸が踊りました。パネルに貼り出された国際関係学科の時間割には、興味深い授業がずらり。「学びたいことすべてが、ここに詰まっている」。そう感じたことが、入学の決め手となりました。
入学してどのような気づきがありましたか。
唯一の正解を探すのではなく、物事をいろいろな角度から見つめてみる。そんな学びのスタイルが新鮮でした。ディスカッションの授業では、発言すると先生もクラスメイトも温かく受け止めてくれます。最初こそ恐る恐るでしたが、次第に臆せず意見を言えるようになりました。同時に、クラスメイトの発言を聞いて「そんな考えもあるのか」と新たな視点に気づくことも。先生や学生同士の距離が近く、アットホームな雰囲気で学べるのは、少人数教育ならではの良さです。




ステップバイステップで、語学力が身につく。

第2外国語として、フランス語を選択されたのはなぜでしょう。

フランスの歴史や文化に興味があったからです。きっかけは、中学生の頃に新書を読む課題で「『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命」という本を読んだこと。史実が美しい言葉で綴られていました。以来、フランスの芸術作品を求めて美術館へ足を運んだり、歴史が題材となったミュージカルを鑑賞したりするようになります。高校生の頃まではフランス語をまったく話せませんでしたが、「話せたらどんなに楽しいだろう」と憧れたものです。そんな私ですから「第2外国語はフランス語にしよう」と入学時から決めていました。フランス語はさまざまな国で使われていて、国連事務局の作業言語のひとつでもあります。習得したら海外で活躍できるフィールドが増えるのではないかとも考えました。
フランス語の授業を受けて感じたことはありますか?
授業が始まって間もない頃は、想像していた以上の難しさに圧倒されました。アルファベットの発音が英語とは異なりますし、なじみのない文法を大量に覚えなければなりません。フランス語はとても優雅に聞こえるのに、話すのはとても大変。まるで白鳥のようです。白鳥も悠々と泳いでいるように見えて、水面下では水かきをバタバタと動かし続けていますよね。同じように、フランス語学習にも絶え間ない努力が必要だと痛感しました。

大変でも楽しく続けられたのは、熱心に指導してくださる先生のおかげでしょう。言葉に詰まったり間違えたりしても、正解にたどり着くまで少しずつヒントを出してくださいます。話そうとする姿勢こそが大事だと実感できたので、焦りを感じることはありませんでした。意欲の高いクラスメイトたちから受ける刺激も、学習の大きな原動力に。「今日は新たに単語を覚えた」「簡単な自己紹介ができるようになった」などとスモールステップを楽しみながらフランス語を習得していきました。

本場のミュージカルを聞き取れたときの感動が、大きなモチベーションに。

印象に残っている授業はありますか。
1年次に受けた「フランス語(特別演習)」の授業です。授業では、ミュージカルを中心としたフランスの歌を聴きました。なかでも印象的だったのが、『1789─バスティーユの恋人たち─』という作品。これは高校生の頃に日本語の舞台を観劇して以来、いつかフランス語でも観てみたいと思っていたものです。実際に鑑賞すると、フランス語特有のリズムに心を動かされました。歌詞を目で追いながら歌に耳を傾けていると、学んだ単語や表現が出てきて、断片的に意味を理解できることも。まだ学び始めて日が浅い時期でしたが、「わかる」という体験にモチベーションがぐんと上がりました。

「世界の文学(フランス)」の授業も印象に残っています。ここではミシュレの『ジャンヌ・ダルク』という作品を、小説と映画で読み解きました。ジャンヌ・ダルクは、イングランドとの百年戦争において「神からの啓示を受けた」としてフランス軍に加わり、大戦を勝利に導いたことで知られる人物です。この伝説的なエピソードが、小説ではミステリアスな言葉で綴られていました。一方の映画では、親しみやすい歌とともに描かれています。ひとつの作品でもこんなに解釈が違うのかという驚きとともに、フランス語の表現の豊かさにも魅せられました。

日常生活の中で、フランス語を使う工夫を。

フランス語を学ぶうえで意識していることはありますか。
日常生活の中でフランス語を使ってみることです。例えば独り言をフランス語でつぶやいてみたり、相槌を打つ代わりに小声で《C'est bon.》(いいね)と言ってみたり。周囲からは少し変に見えるかもしれませんね(笑)。でもせっかく学んだフランス語を使わないのはもったいない。日頃から触れ続けることで定着してきた実感もあります。

フランス映画を深く味わえるようになったのも、フランス語を学んでいるからこそです。今は字幕付きで観るのが精一杯ですが、いつか字幕なしでも楽しみたいと思っています。

今後の目標をお聞かせください。
現在は、セミナーで卒業論文の執筆に向けて走り出したばかり。これを仕上げることが当面の目標です。テーマは中学生の頃から興味をもち続けていたフランス革命。アレクサンドル・デュマの『メゾンルージュの騎士』やヴィクトル・ユーゴーの『九十三年』といった小説を題材に、フランス革命がどのように表象されているかを分析しています。先生からアドバイスをいただいたり、辞書を片手に文献を調べたりしながら、大学での学びを総動員して取り組んでいるところです。

卒業後は、フランス語を活かせる仕事に就くのが夢です。現在は就職活動において、フランスに拠点をもつ企業や国際機関を中心に情報収集しています。もちろん、プライベートでもフランスに訪れて、ベルサイユ宮殿やバスティーユ広場などを巡ってみたい。さまざまな形でフランスに関わり続けられたら嬉しいですね。




心惹かれるフィールドに飛び込んでほしい。

田子根さんにとって、第2外国語を学ぶ醍醐味とはなんでしょうか。
学んだ先に、豊かな出合いがあることです。例えばフランス語を身につけると、フランスをはじめとしたヨーロッパの歴史をよりいっそう理解できるようになります。本場の作品を深く味わえますし、フランス語話者の方と交流できる機会もあるでしょう。私にとってのフランス語は、さまざまな世界に通じる「窓」です。フランス語に限らず、第2外国語を学ぶことは、まだ見たことのない景色に向かって窓を開け放つことではないでしょうか。

最後に、津田塾を目指す高校生にメッセージをお願いします。
津田塾には、学ぶことに真摯な学生たちが大勢います。モチベーション高く勉強に励めるのも、彼女たちからいい刺激を受けてこそです。興味関心を掘り下げられる授業がたくさんあるのも津田塾の良さ。私もフランスの文学や芸術などさまざまなテーマに触れたことでフランス語の面白さにどんどん引き込まれました。皆さんも津田塾の環境を存分に活用し、心惹かれるフィールドに飛び込んでください。きっと大きく視野を広げてくれる体験が待っているはずです。

※学年は取材当時のものです。
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