多彩な国際交流をとおして育んだ、自分らしさと協働する力

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安井 あかり YASUI Akari

総合政策学部総合政策学科 4年

高校生の頃、学校が主催する留学プログラムでオーストラリアに行ったことをきっかけに、国際交流に興味をもつようになったという安井あかりさん。その後、ドイツからの留学生を自宅に受け入れてホストファミリーも経験しました。「外国人と日本人の間にある壁を取り除きたい」「もっと海外に触れたい」という思いを胸に津田塾大学の総合政策学部1期生として入学。少人数で、文理の垣根を超えた幅広い学びを選択できる総合政策学部の特徴、英語教育、体験してきた国際交流、そのすべてをとおして安井さんがいま感じていることを伺いました。

立ち上げから携わったプロジェクトで学んだこと

高校生の頃から国際交流に興味をもっており、大学では英語を活かした学びを深めたいという思いが強くありました。また、総合政策学部では、語学や国際系の科目に加え、文系理系の垣根にとらわれずさまざまな分野の授業も履修が可能です。経済学や社会学、プログラミングの講義や実践的な英語など自由に学びを選択することができ、幅広い学びを求めていた私にとても向いていると感じました。さらに魅力的だったのは、新設学部であり、自分たちがその一期生になれるという点。新たにプロジェクトなどを立ち上げ、学生時代だからこそできることを、積極的に経験したいという意気込みをもって入学しました。

私がプロジェクトの立ち上げから企画・運営など深く携わってきた主な取り組みの一つに「Habitat for Humanity Japan」があります。Habitat for Humanityは、世界70カ国以上の国や地域で、住宅支援を行う国際NGO団体です。その日本支部であるHabitat for Humanity Japanの「津田塾大学学生支部を立ち上げたい」という熱い思いをもった同級生が、総合政策学部の中にいました。彼女の話を聞き、ぜひ私もゼロからはじめることに挑戦したいと思い、ともに「Uméson-Habitat」を立ち上げて、副代表を務めました。

1年次には10日間フィリピンに滞在し、現地の大工さんの指示に従って住居を建築する現場で働くという体験をしました。また、シンガポールでは「プロジェクトホームワークス」という住環境の改善に取り組む活動に参加し、足が不自由なおばあさんのお宅を掃除するお手伝いをした体験も印象に残っています。海外からの訪問者である私たちが部屋に入って掃除することを、はじめは不安そうに少し遠巻きに見ていた彼女が、誠意をもって掃除する私たちの姿を見て、だんだんと心を開き、最終的にはとても喜んでくれました。何かを尋ねても“Yes” ‟No”でしか答えてくれなかった彼女が、「ここから見える景色がとてもきれいなの」「あなたたちが掃除してくれたおかげで、今日からきちんとベッドで寝ることができてうれしい」と自ら声をかけてくれたことは今でも忘れられません。

たった数時間の交流でも誠実な姿勢を見せることにより、人は国や人種を超えて信頼し合えるのだと実感できたことは、大きな励みと希望になったと感じています。


国際活動に必要な英語力が身につく津田塾の英語教育

総合政策学部の学び、特に英語教育の特徴について感じたことを教えてください。
高校生の頃、ドイツからの留学生をホストファミリーとして受け入れた経験があり、海外と日本との間にある壁を超えるために、英語を自由に使えるようになりたいという思いがありました。また、語学に加えて国際交流にも興味があったため、大学では語学をしっかり学びながらその他の分野にも触れ、さまざまな体験ができればと考えていました。総合政策学部では、英語のみならず「グローバリゼーション論」「文化交流論」など国際系の科目や、「経済分析」「アルゴリズム」など文理融合の学びをとおして幅広い分野に触れることができます。英語をツールとして国際的な感覚を養い、多岐にわたる分野で知見を広め、仲間と刺激し合える環境だと思います。

英語の授業は3年次まで必修で、どの授業も15人前後という少人数で行われます。人数が少ないため、必ず自分の発言の機会があったり、意見を求められたりするので、英語で考え発言する力も授業内で鍛えることができました。また、総合政策学部では、学生同士の距離も近く授業内でわからないことや不安なこと、課題などをサポートし合い高め合っていく大切さも学ぶことができました。

高校までの英語学習と全く異なると感じるのは、ライティングの授業での英文を書く量の多さと、コミュニケーションやディスカッションの授業でのプレゼンテーションの多さです。ライティングに関しては、授業以外に毎週、何百ワードもの英文を書く課題に取り組みます。その課題を必死にこなしていくだけでも、ライティングの力は相当磨かれます。学生同士でディスカッションを重ね、助け合いながら毎週の課題をクリアしていくことで、書く力だけでなく考える力もつきました。

多い時には週に5回プレゼンテーションをしたこともあり、そのおかげで人前でのプレゼンテーションには全く抵抗がなくなりました。さらに授業内での英語でのプレゼンテーションでは、英語の使い方や正確性に加えて、その論旨や内容についても先生方から指摘が入ります。3年次の後半には、あるデータを参考に出生率の低さについての問題を解決するためにはどうしたらよいかをテーマに、授業内でプレゼンテーションをする機会もありました。現代社会の問題を英語で考え、英語で述べるだけでなく、伝えたいことを相手に強く訴えかけるというスキルも授業を通じて身についていったと感じています。




総合政策学部での英語のまなび

4技能を土台とした実践的な英語教育

グローバル化が進む現代社会において課題解決に取り組むためには、実践的な英語力に裏打ちされた高度なコミュニケーション力が不可欠。「聞く・話す・読む・書く」の4技能をしっかりと鍛えた上で、課題解決に関わる内容を取り入れた英語必修科目を、週4コマ・3年次まで配置している。少人数制クラスで、専門性を高めながら実践的に英語のコミュニケーション力や表現力を磨いていく。
さらに、多様な背景をもつ人びととコミュニケーションをとって合意形成を図ることを目標とし、英語でネゴシエーション(交渉)やプレゼンテーション(提案)、ファシリテーション(調整)をする力を養う。Nonviolent Communicationと呼ばれる手法も取り入れ、「言葉を使って課題解決につなげる力」を実践的に修得する。




1カ月の共同生活で、世界中に信頼のおける友人ができた

安井さんは内閣府青年国際交流事業の一つである「世界青年の船」に参加されていますね。参加しようと思ったきっかけやその体験から得たことについて教えてください。
ジェンダーの問題に関心があり、「男女」というくくりやセクシャルマイノリティーといった観点において、日本と外国での異なる視点、また価値観や考えの違いを肌で感じたいと思い、「世界青年の船」に参加しました。

日本から参加している青年の多くは学生ですが、他の国からの参加者は7割近くが社会人であり、国の機関に勤務しているような人もいます。船内生活での共通言語はもちろん英語。中東やアフリカなど各国から参加している人とコミュニケーションを図ったり、セミナーやディスカッションに参加したりする中で、時に自分の英語に劣等感を感じつつも「いまの私の英語力、そしてコミュニケーション力でも、伝えられることがあるんだ」という確かな手応えも感じることができました。特に印象に残っているのは、参加していた人たちのオンオフの切り替えの上手さです。船でのスケジュールは、昼間はセミナーの開催・受講、ディスカッションなどが主ですが、夜は文化交流をしたり、パーティーやダンスを楽しむというシーンも多くありました。特に外国からの参加者は、学ぶ時は真剣に、そして楽しむときは徹底的に楽しんでいる人が多く、オンオフをきっちり切り替えられる人こそ、本当に優秀な人なのだと感じ、私もそれができるようになりたいと思いました。

世界青年の船への参加を通じて、私の中で大きく変化したのは、すべてにおいて「違うことが当たり前」と考えられるようになったことです。大学入学前までは、周囲の人は比較的自分と似たような人ばかりだったように思いますが、この4年間で本当に数多くの文化的背景や考え方の異なる人びとに出会いました。その中で、特に仲良くなったタンザニア人の女性と深く話すうちに、彼女の国にも日本に似たLGBTの人びとが生きづらい社会がある ことに気づかされたのです。それ以来、私はアフリカに興味をもつようになり、現在は国際政治を研究するセミナーに所属し、アフリカをテーマに卒業論文を書き進めているところです。

たくさんの人に出会う中で私が成長できたと思えることは、どんな人と話していても、相手にとって心地よいコミュニケーションの場を作ることができるようになった点です。また、世界中に信頼できる友人ができたことは心強く、これからも見える世界が広がっていくだろうと確信しています。

世界青年の船とは

世界青年の船(Ship for World Youth: 通称SWY)事業は内閣府青年国際交流事業の一つ。18〜30歳の青年が世界各地から集まり、日本参加青年約120人、10カ国から募る外国青年約120人と船内で1ヵ月共同生活を送る。多様なバックグラウンドをもつ世界各地から集まった外国青年とのディスカッションや文化交流、有識者によるセミナーの受講や参加青年による自主活動の企画、参加青年主体のワークショップの開催等をとおして、異文化対応力やコミュニケーション力を高め、リーダーシップやマネジメント力の向上を図っていく。

津田塾大学総合政策学部を目指す高校生のみなさんへ

「何かに取り組みたい」という気持ちをもっている方には総合政策学部を強くおすすめしたいと思います。学生同士も先生方も、全力でサポートし合い、お互いに刺激を受けたり与えたりしながら成長できる環境が整っているため、「やりたい」気持ちと行動力があれば、どんなことにもチャレンジできるはずです。何かを始めるきっかけやそのために必要な力は、津田塾の友人や先生方から受ける刺激、そして学びをとおして身につけることができます。少人数のため、自分が総合政策学部の一員であることを日々実感し、そのことを心強く思いながら4年間を過ごすことができます。ぜひこの津田塾で、充実した学生生活を送ってください。

※学年は取材当時のものです。
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