音楽情報処理をもっと深く。
やりたいことが見つかり関心が広がる大学。

  1. HOME
  2. 津田塾のまなび
  3. 音楽情報処理をもっと深く。やりたいことが見つかり関心が広がる大学。

小島 美緒 OJIMA Mio

理学研究科 情報科学専攻 修士課程1年

中学・高校時代に励んだ吹奏楽をきっかけに音楽情報処理技術に関心を抱き、専門分野を学べる津田塾大学情報科学科に入学。コロナ禍での学びのスタートとなるも、外部のイベントにも積極的に参加してプログラミングスキルを着実に伸ばすと同時に、英語や数学といった専門領域に必要な学びも重ねていきました。さらに音楽情報処理の研究を深めたいと2024年には大学院に進学。
小島さんに、学部時代に学んだことや学外イベントの所感、津田塾の印象などを話していただきました。

音楽情報処理を学びたい想い。

津田塾を志望した理由を教えてください。
音楽情報処理を学びたいと思ったからです。 中学・高校では吹奏楽部に所属し、打楽器パートを担当していました。先輩方から受け継がれる楽曲を楽譜に書き起こすこともあったのですが、私にはその採譜作業が難しくて。ネットで検索すると、コンピュータが曲を分析して、自動で譜面を作ってくれる「自動採譜」という技術があるということがわかり、音楽情報処理を専門にしている先生がいらっしゃる津田塾大学で学びたいと思いました。

大学受験では他大学にも合格したのですが、高校の先生や両親からの「伝統があって信頼できる大学だよ」「少人数教育で向いていると思うよ」といった勧めもあり、私自身も津田塾の落ち着いた雰囲気が素敵だと思い、入学を決めました。
入学直後の学習はいかがでしたか。
入学時はコロナ禍の始まりと重なり、通常とは違う形の大学生活となりました。大学に入学するまでプログラミング経験がなく不安でしたが、少人数の講義で質問もしやすく、スムーズに学べました。1年次の頃は同級生と直接会う機会はなかなかありませんでしたが、真面目でポジティブな学生が多く、すぐに馴染めたのも津田塾を選んでよかったなと感じたことですね。

一人ひとりを見てくれる学び。

学部時代の講義で印象に残っていることはありますか。
英語、情報、数学は今後の学習の基礎となると思っていたので、しっかり学びました。中でも、英語は3年次に情報科学のトピックをネイティヴの先生に教えていただいたり、情報科学分野の英語書籍を読んでプレゼンを行うなど、「コンピュータ分野ではこんな風に英語が使われているのだな」と専門分野と連携した学習ができました。大学院に進んだ現在は、システムやアプリの開発時にドキュメントを参照したり、先行研究の論文を読んだり。英語の文献にあたることは欠かせませんので、学んだことが非常に役立っています。
学びに津田塾らしさを感じられたのですね。
そうですね。英語だけではなく、これも津田塾らしさだと思うのですが、少人数教育のおかげで先生方も私たち一人ひとりの状況を把握してくださっていて、個々の得意不得意を踏まえた指導を行なってくださいます。演習では発表する機会も多いのですが、周りは女子だけなので比較的リラックスした気持ちで発表ができますし、ミスをした際には先生から「小島さんらしからぬミスでしたね」と指摘していただくことも。失敗が決して恥ずかしくない、むしろそこから学ぶことを見つけられる、とてもポジティブな学習を積み重ねることができました。

刺激を受けた学外での学修。

1年次から学外学修に数多く参加されたそうですね。
学外学修に積極的に参加したのは、少し焦りのようなものを感じていたからです。大学に入学した当初から、自分の中にこれといった強みや得意分野を見つけることができていませんでした。「私といえばこれ」と話せる武器がない感覚です。そこで、学外での挑戦を支援してくださる学外学修センター(2024年度から学外学修・キャリアセンター)や、企業・地域との連携企画を行う連携推進センターなどで募集のあったイベントに参加してみようと考えました。
イベントではどのようなことを行いましたか。
1年次のとき、最初に挑戦したのはアプリ開発を競うオンラインハッカソンです。初対面の5人でチームとなり、Todoアプリの作成を行いました。しかし、私はまだプログラミングスキルが乏しいまま参加したので、発表スライドを用意したり、プレゼンを行うなど、プログラムを書く以外の作業を行いました。チームの方々の作業を見ていて、プログラムが書ければこんなアプリが作れるようになるのか、と実感。できない自分がもどかしく感じ、大いに刺激になる体験でした。

その後も毎年、PBL(課題解決型学習)やハッカソン、津田塾OGとの対話型ワークショップ、中高生のアプリ開発を支援する学生ボランティア活動 、インターンシップなど、さまざまな学外学修に積極的に参加しました。学外で所属や学年が異なる方々との交流を重ねるたびに「こんなにすごい人がいるのか」と視野が広がり、進路や研究テーマを考えるうえでも大きな経験になりました。


仲間とともに数多くのことを学べたプロジェクト。

印象に残っているプロジェクトはありますか。
学内外を問わず、これまでさまざまなシステムやアプリを作ってきましたが、「3年プロジェクト 」という授業で青柳龍也教授の指導のもと、音楽情報処理を学びながら仲間たちと3人で作成した「曲をVRで可視化するシステム」は特に印象に残っています。音楽には複雑なメロディ、リズム、さらに人間では瞬時に聞き分けられない低音など、さまざまな情報が含まれています。このシステムでは、ただ聴いているだけではなかなか認識できない音も、VRで可視化することで、認識できるようにし、より楽しめるようにすることを目指しました。

最初は2次元での表現を考えていたのですが、先生の指導もあって3次元に挑戦することにし、仲間と一緒にどのように作っていけばよいか試行錯誤しながら半年かけて進めていきました。一生懸命プロジェクトに打ち込むことで、音楽の解析に関して、現在の技術では音の高さの分析を行なったり、曲をメロディ、ピアノ、ベース、ドラムに音源分離することはできても、それ以上に細かな音の分析は難しいことを知るなど、できること、できないことを実感をもって理解できました。また、このシステムを作るうえで、音楽情報処理技術に加えて、VR技術などの多様な情報技術に触れました。さらに、スケジュールを組むことでプロジェクト進行についても学んだり、話し合いながら進めることで合意形成の重要さも身につき、その後のキャリアを考えるうえでとてもよい経験となりました。
この他にも、「4年プロジェクト 」という授業では「管楽器奏者の要望を反映した自動伴奏システム」を仲間と一緒に開発し、卒論最優秀賞をいただきました。さらにこの研究を「情報処理学会 第139回音楽情報科学研究発表会」で発表したところ、学生奨励賞(Best Application部門)を受賞しました。また、「デジタルエンターテインメントワークショップ」という授業で作成した「Smiley Training:表情を鍛えるリズムゲーム」を「ヒーローズ・リーグ2023」に応募し 、XMAKERS賞をいただきました。学部生の頃からたくさん挑戦するチャンスをいただき、その都度、素晴らしい経験ができたことで、大学院でもっと深く研究して、より専門的な知識を身につけて将来に活かしたいと思うようになりました。




友人と一緒に高めあえる雰囲気。

現在、大学院ではどのようなことを学んでいますか。
今は理学研究科情報科学専攻で音楽情報処理に関して、さらに深く学んでいます。「自動伴奏システム」の改良を軸にした研究も行いたいですし、3年次に作成した「曲をVRで可視化するシステム」もさらに改善していきたい思いもあります。また、大学進学時に進路選択のきっかけになった「自動採譜システム」にもずっと関心をもちつづけています。さらに、もっとプログラミングスキルを身につけたり、情報技術に関する学びを深めたりもしたいので、やりたいことはたくさんあって時間が足りないですね。

私は学部時代から積極的に学外学修に参加して大学の外を見たからこそ、自分の学力やスキルをより客観的に見ることができました。そして津田塾には、そうやって見つけた自分の中に足りないと感じること、もっと伸ばしたいと思うスキルや知識を伸ばしていく環境があったり、いつでも質問に答えていただき、学びを支えてくださる先生方が揃っています。周りには一緒に頑張り高めあう友人がいて、思う存分研究に打ち込める大学です。大学院生活では、この自分を高めていける雰囲気のもとでの学びをさらに大事にしていきたいなと考えています。
ぜひ高校生へのメッセージをお聞かせください。
私は自動採譜システムを研究したいという思いで入学しましたが、大学ではプログラミングや音楽情報処理だけでなく、幅広く多様な経験ができた結果、入学前には予想もつかなかった方面にも関心が広がりました。これから大学を目指す方の中にも、なかなかやりたいことが見つからないという方がいらっしゃるかもしれません。ですが、津田塾であればさまざまな機会と手厚いサポートがありますから、きっと安心していろいろなことに取り組めると思います。ぜひ勇気を出して一歩踏み出してみるためにも、この環境を大いに活用して、幅広い人や分野に出会い、充実した大学生活を送ってください。


※学年は取材当時のものです。
Copyright©2019 Tsuda University.
All rights reserved.