ITと国際コミュニケーションの掛け算で。エンジニアへの道を拓いた津田塾での学び。

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ターバーフィールドミシェル 潔美 
MICHELLE KIYOMI TURBERFIELD

学芸学部情報科学科 2018年卒業

津田塾大学の情報科学科に入学し、プログラミングの基礎からアプリ開発までを幅広く学ぶ。3年次には赤ちゃんのうつぶせ寝防止システムを開発し、学科内の審査で優秀賞 を受賞。4年次の卒業制作では痴漢冤罪防止システムを開発し、論文発表を行う。卒業後は大学院に進学し、世界的なクラウドコンピューティングを提供するアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社へ──お客様サポートを担うエンジニアとして活躍するターバーフィールドさんに、今のキャリアに繋がる津田塾での学びについて語っていただきます。

少人数×女子大学。居心地の良さは抜群でした

津田塾大学の情報科学科に進んだいきさつについてお聞かせください。
大学時代は社会に出る前の大切な期間であると考えて、じっくりと自分の可能性を探求したいと考えていました。高校の頃、周りに相談したり情報収集したりするうち、年々重要性が高まっている情報科学の分野に精通していれば、将来の選択肢が広がるはずだと考えるようになりました。なかでも津田塾大学を選んだのは、少人数教育に惹かれたからです。学生一人ひとりに対して丁寧に指導してもらえる環境なら、大きく成長できると確信しました。
実際に入学して、いかがでしたか。
女子大ならではなのか、居心地の良さは抜群でした。1年次に、他大学の情報系学科の学生と合同でアプリ制作をする研究交流会に参加したのですが、相手の大学は共学ではあるものの、男子が9割でした。もし共学に進んでいたら、男子学生に遠慮して自由に意見を述べられなかったかもしれません。のびのびと学べる津田塾の魅力を再認識しました。

少人数教育のよさも想像以上でした。クラスメイトとは授業で顔を合わせたり課題に一緒に取り組んだりする中ですぐに打ち解けられました。先生方との距離も近く、授業外でも気軽に質問できましたし、先生を交えてゼミのメンバーで食事に行ったりしました。人との強いつながりの中で学ぶ良さをいつも感じていました。


与えられた課題を解くのではなく、ゼロからつくり出す

1年次から、栗原一貴先生のセミナーに参加したと伺いました。
はい。栗原先生の研究室で扱うテーマの幅広さに惹かれ選択しました。栗原研究室では情報科学の知識を活かして何かを作り出す、という大枠が決まっているのみで、テーマ選びは学生の興味関心に委ねられています。例えるなら「ドラえもんのポケット」のようなもので、何が出てくるかは自分次第でした。ワクワクしませんか? 1年次の私は、まだ自分の専門分野を決めかねていました。そんな私にとって、情報科学の知識を身につけながら、さまざまな可能性を探れる栗原研究室(セミナー)は打ってつけでした。
セミナーを通じて印象に残っている活動は何ですか。
 3年次の授業「3年プロジェクト」で取り組んだ、赤ちゃんのうつぶせ寝防止システムの開発です。かねてから、赤ちゃんがうつぶせ寝のまま亡くなってしまったという悲報を耳にして、ITの力で何とかできないかと考えていたことがきっかけでした。同級生と密に議論を重ねながら、試行錯誤を進めました。開発中のシステムを実際に用いた実証実験では、保護者の方から同意が必要なほか、設備や場所を確保するなど、さまざまなところに目を配らなければなりません。関連する作業も初めて実施することが多く、大変でしたが、先生に相談しながら少しずつ進めることができました。結果的に、学科内の審査で優秀賞 を獲得することができました。与えられた課題を解くのではなく、開発をゼロから立案して最後までやり抜くのは初めてでしたが、大きな達成感を味わえました。この経験がきっかけで、さらに興味のある分野について研究してみたいと思うようになったのは間違いありません。



手にしたのは、他者を巻き込んでやり遂げる推進力

情報科学科での学びを通じて、どんな変化がありましたか。

プログラミングの知識やスキルを得たのはもちろん、多様な関係者を巻き込んでプロジェクトを推進していく力が身につきました。卒業制作では、痴漢冤罪防止システムに取り組みました。はじめは痴漢を撃退するシステムを構想していましたが、社会全体の課題を広く考え、痴漢冤罪を情報技術で解決できないかと視点を変えたことがきっかけです。本来ゲームを目的としないサービスにゲームの要素を取り入れる「ゲーミフィケーション」からヒントを得て、カバンにタッチセンサーを実装しました。乗車中、カバンを指でトントンと叩きながらリズムゲームをすることで、カバンに指が絶え間なく触れ続けていた記録が証拠となって、冤罪を防げる仕組みです。アプリの開発だけでなく学術論文にまとめ上げ、学会発表できたことは大きな自信になりました。

加えて語学力もしっかり伸ばせました。情報科学科であっても、1年次から発音からリーディング、会話に至るまで、英語のさまざまなスキルを磨けます。入学して間もない頃は600点台だったTOEICスコアは、卒業時には900点台になりました。まさに津田塾で広く学ぶことができた賜物です。

問題の背景まで、ていねいに掘り下げる

卒業後は、クラウドサービスを展開するアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWS)に就職されました。
きっかけは、AWSに勤める津田塾OGの方とのご縁です。AWSのサポートエンジニアについてお話を伺い、興味をもちました。入社を決めた理由は、最先端の技術に触れながら、情報科学の知識を活かしてお客様の課題を解決できるところに惹かれたからです。

現在は、サポートエンジニアとしてキャリアを重ねています。この仕事のミッションは、お客様がAWSをご利用の際に発生する課題に対し、対策方法やベストプラクティス等の提供など、お客様と共に解決策をお届けすることです。お客様とはもちろん、製品開発を行っているチームとも英語で密接にコミュニケーションをはかりながら、トラブルシューティングに励んでいます。
その中で、津田塾の学びが活きたと感じることはありますか?
大学の経験の中で、課題を深掘りし、アウトプットにつなげた経験が、今の仕事で活かされています。お客様からのお問い合わせは、即答できるものばかりではありません。時には「何が問題かよくわからないけれど困っている」といったケースもありますが、正しく事実を把握して、背景にある問題を深掘りしていくように努めています。お客様から「AWSのサービスを使っているのは、AWSサポートがあるから」と喜びの声をいただけることが大きなやりがいです。

英語の学びも活かされています。サービスを開発するテクニカルチームは海外にいるため、英語で会話しながらともに問題の解決を図っています。国際的なコミュニケーションに抵抗がないのも、津田塾で英語をしっかりと学んだからこそであると考えています。

津田塾は、自分の世界を広げ、深めてくれる

今後の目標について教えてください。
お客様のニーズにしっかり寄り添えるように、仕事上のスキルを高めていきたいです。そのため現在は専門資格の勉強をしています。さらに、自分が担える領域を深めるだけでなく、広げていきたいと考えています。例えば、営業やデータアナリティクスなどの職域に挑戦することも視野に入れています。最近では、アマゾンが実施する女性社員採用イベントに参加しました。私が就職活動中に経験したように、AWSに興味をもってくれる津田塾の学生が増えたら嬉しいなと思います。
最後に、津田塾を志す高校生に向けて、メッセージをお願いします。
津田塾には、自ら目標を立て、道を切り開いていく気概のある学生が集まっています。卒業した今でも津田塾で一緒に学んだ彼女たちとのつながりは大きな財産です。時折集まって、お互いの近況を話し合い、たくさんの刺激を受けています。

津田塾は、自分の興味を深め、可能性を広げてくれる場所です。情報系のカリキュラムも、時代に合わせて授業がどんどんアップデートされていますので、最先端の技術に触れることができると思います。そのような環境で過ごす4年間は、人生を主体的に生きていくための礎になるはずです。
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