3年次に履修した「貧困問題」の授業です。この授業では、国内外における貧困の実情を学びました。もともと貧困という言葉から想像していたのは、ホームレスのように寝る場所にも困る人びとのこと。ところが実際には、帰る家があってもお風呂に毎日入れない、きれいな服を身に着けられない、生理用品を購入できないといったことまで、その実態はさまざまです。それまで抱いていた貧困に対するイメージが、固定観念だったとわかりました。街中のベンチに据え付けられた手すりには、ホームレスがベンチで寝そべるのを防ぐ目的があると知ったのもこの授業です。日頃なにげなく目にする街中の公共物が、ホームレス対策のためのいわゆる「排除アート」になっている。そのことを知ってからは街を歩く時の見方も変わりました。
貧困について意見を発表する場も豊富にありました。自分の意見をまとめる過程で貧困に対する理解が深まったり、クラスメイトたちの意見から新たな視点を得ることも。先生からは「このケースならどう考える?」と別の切り口から鋭い質問をいただくこともありました。その場で答えられないときは「次回までに考えてこよう」とさらに調査する。その積み重ねを通じて、ひとつのテーマを深く、多角的に眺める姿勢が身につきました。