身につけたのは、
社会課題への意見を考え、伝えられる英語力。

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阿部 くらら ABE Kurara

総合政策学部総合政策学科 4年

英語、ソーシャル・サイエンス、データサイエンスを基礎科目に据える総合政策学部。英語では、「聞く・話す・読む・書く」の4技能を鍛え、社会課題の解決のために使いこなす力を身につけます。入学当初を振り返り、「英会話に苦手意識があった」と語る阿部さんは、津田塾での学びを通して自信をつけ、卒業後はグローバル企業へ羽ばたくまでに変わりました。その足取りを語っていただきます。

受験科目ではなく、言語としての英語に出合えた。

はじめに、津田塾大学の総合政策学部を志望した理由を教えてください。
1、2年次にはさまざまな学問に触れ、3年次から専門領域を深掘りしていくというカリキュラムに惹かれました。津田塾の代名詞である英語はもちろん、法律や政治、経済、データ・サイエンス、ジェンダー問題など、幅広い分野を学べます。専門領域を決めかねていた私は、この学部ならば将来の可能性を狭めることなく成長できると直感しました。また、両親からは「少人数教育だから先生との距離も近く、学生一人ひとりをしっかり見てもらえるはず」と背中を押してもらいました。
実際に入学されて、どんな印象をもちましたか。
入学前からもっていた「英語の津田塾」というイメージそのままの環境でした。高校までの英語といえば、教科書に載っている単語や文法を覚え、定期試験や模擬試験で答えを書くという、いわば「受験科目の1つ」「正誤を問われるもの」というイメージでした。しかし津田塾では、ニュースや身近な話題を手がかりに、自身で考えを組み立て、英語でディスカッションしたり、エッセイを書いたりといったアウトプットの機会が格段に増えました。

私は英会話への苦手意識があり、授業のたびに身構えていたのかもしれません。そんなある日、先生から「失敗してもいいから、あなたの意見をそのまま話してみてください。難しい言葉を使おうとしなくてもいいですよ」と声をかけていただきました。肩の力が抜け、そのとき初めて「試験のための英語」ではなく「言語としての英語」を話したように思います。たとえ拙い言葉でも、自分の意見を伝えることが大切。やがて意思疎通ができる喜びを知り、英語が得意な同級生にも刺激を受け、授業はどんどん楽しくなっていきました。



現代社会へのまなざしを、英語を使って培っていく。

総合政策学部の英語の授業はどのようなものですか?
英語そのものを学ぶのではなく、英語で自分の意見を探し、伝えることに主眼が置かれています。それが特に現れているのが、ディスカッションの授業です。毎回、テーマに沿って自分の意見を考えておき、授業で実際に議論を行います。与えられるテーマは、政治や経済、ジェンダー問題、教育格差など、日本語で議論するのも難しいようなものばかり。初めて真剣に向き合うような社会課題も多く、世界のできごとに目を向けるきっかけにもなりました。
授業にはどのように取り組んでいましたか?
事前に入念なインプットをしたうえで、自分の意見をしっかりと考え、アウトプットすることを大切にしていました。シラバスには各回のディスカッションのテーマとその概要、専門用語の意味、参照する記事や動画のURLなどが掲載されていますので、まずはそれに目を通します。次に自分なりに情報収集をし、テーマに対する意見を構築しておいて、授業でのディスカッションに臨むのです。その際は、まず結論、次に具体例、最後にあらためて結論を述べるなど、簡潔に分かりやすく伝えることを意識しました。時間や労力はかかりますが、積極的に学ぶほど理解が深まるし、話せるようにもなっていきます。周囲は物おじせずに英語を話す学生ばかりですから、その様子にも触発されました。

総合政策学部では、3年次から4つの課題領域(コース)のうち1つを専攻し、専門的な学びを深めていきます。私はソーシャル・アーキテクチャ(社会情報)を専攻し、ディスカッションでも統計やデータを糸口に意見を構築することが増えていきました。ほかの領域を専攻する友人たちからは、異なる視点からの意見があり、たくさん新鮮な発見がありました。

先生方の温かな指導が、アウトプットを引き出してくれた。

少人数教育で英語を学ぶメリットはどんなことがありますか?
先生方との距離が近く、手厚く教えていただける点です。特にそれを感じたのがライティングの授業でした。こちらもディスカッションと同様、意見を論理的に綴る技術を学び、エッセイなどを執筆してフィードバックをいただきます。提出した課題が初めて返却された時は驚きました。「この文脈でこの単語を使うと、意図と違う捉え方をされる」「論旨と根拠がずれている」等、意見をより正確に伝えるための改善点から、「同じフレーズを繰り返すと単調になり、読み手が退屈する」といった表現上のアドバイスまで。感銘を受けるほどのきめ細やかさだったのです。厳しい指摘も少なくありませんが、だからこそ糧になります。何より「先生方にとても大事にされている」と実感し、胸が熱くなりました。これだけ大事にされているからには、期待に応えたい。そんな思いもあり、いっそう英語学習に打ち込みました。

先生方の温かな支えは、さまざまな場面で感じています。ネイティヴスピーカーの先生は「英語で表現することがまず素晴らしい」というスタンスで、いつも笑顔で受け止めてくださいます。ディスカッションやコミュニケーションの最終テストでは先生と一対一で対話するのですが、私が緊張しているのを察して「リラックスして、いつも通りでね」と語りかけてくださり、考えを引き出すような問いかけをくださいました。おかげでいつでも安心して学び、アウトプットができたと思います。



津田塾で学んだ英語を、中高生にも伝えていく。

総合政策学部で英語を学んだことで、どのような成長がありましたか。
私はアルバイトで個別指導塾の講師をしているのですが、次第に英語の授業を任される機会が増え、生徒から指名されることも多くなりました。津田塾で私自身が学んだように、試験対策にとどまらない知識を提供できているからではないかと思います。英語表現の理由、その単語の成り立ちなどにも踏み込んで、英語という言語そのものを教えるよう心がけています。

中高生へは、実用英語技能検定に向けた指導も行っています。津田塾で膨大な英語を読み込んできた経験を活かし、英文読解のコツ、ライティングにおける論の展開などもアドバイスしています。これまでに英検対策指導をした生徒は、全員合格を手にしています。

日常生活でも気軽に英語に触れるようになりました。CNNワールドニュースを見たり、先生の勧めで英語のポッドキャストを聞いてみたり。洋画や海外ドラマは字幕版で楽しんでいます。耳で聞いて意味を汲み取れると嬉しいし、ネイティヴならではの表現にも触れられる。音声と字幕を比べることで翻訳の勉強にもなっています。



総合政策学部は、勇気と自信をもらえる場所。

今後の目標をお聞かせください。
総合政策学部で身につけた英語力を活かし、グローバルに働いていきたいです。内定をいただいている国内メーカーは、海外売上比率が80%に迫る企業。業務では日常的に英語が使われ、海外への出張や駐在のチャンスも多いと聞いていますので、積極的にチャレンジしたいです。高校時代の私なら、このような環境を志すことすらなかったでしょう。津田塾で英語を学んだおかげで、自分の意見が相手に伝わる喜びを知り、それが自信に変わって、前向きになれた。これを4年間で終わらせることなく、社会に出てからも続けていきます。
最後に、津田塾大学を目指す高校生へメッセージをお願いします。
総合政策学部は、一歩を踏み出す勇気をたくさんくれる学部です。アクティブで一生懸命な学生が多く、お互いに刺激を受けながら成長できます。だから自信もつくし、なりたい自分に近づけるはず。将来やりたいことが明確になっていない人も、学びながら視野を広げ、自分らしい進路を開くことができます。ぜひこの場所で可能性を伸ばしていってほしいと思います。

ここでは英語はあくまで手段で、それを使って各々が学びたいことを探求していきます。周りを見渡せば、自分のテーマをさらに深掘りするために海外の大学院に進む友人もいれば、卒業論文を英語で執筆する学生もいます。今は英語に苦手意識があっても大丈夫。親身な先生方に支えられ、仲間たちと切磋琢磨しながら、力をつけていけるはずです。
※学年は取材当時のものです。
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