英語で広がる知の世界 — 新たな入試方法導入の背景に迫る

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伊藤航多 ITO Kota

英語英文学科は、英語力の向上に加え、自らの関心に基づいてテーマを設定し、探究する力を育む場。
英語で論理的に伝える力と社会で通用する表現力を磨くことの大切さを、新たな入試方法とともに本学科の伊藤航多先生に語っていただきました。

語学と専門分野の掛け算が思考力を高める

英語英文学科の特色について教えてください。

語学力の向上に加え、自ら「言語文化」や「異文化コミュニケーション」などの専門分野を設定する、すなわち「語学」と「専門」の2つを軸に学びを深めていくのが、英語英文学科です。 特にこの学科での学びとして大切にしているのは、言葉に対する感覚を研ぎ澄まし、表現する力を磨くことです。

1年次から英語で作文する授業があり、さらに2年次には各自で深く学びたいと感じたテーマを設定し、調査・研究した内容を英語で論文にまとめます。漠然と頭の中にあった考えを、論文という形で説得力のある文章へと昇華させる過程は、4年間の大学生活において思考力や発信力を高める鍵になると考えています。

学生たちにも伝えていることですが、英語で考え、表現しようとすると、日本語で話すとき以上に自分が伝えたいことを客観的に見つめ直す必要があります。そのように英語を用いて、自分の思いを言葉にして発信するスキルを身につけることこそが、語学と専門分野の学びを融合させる最大の意義です。言葉の感覚を研ぎ澄まし、積極的なアウトプットを4年間継続することで、社会に出て通用する高い思考力と発信力を身につけられると考えています。

英語英文学科にはどういった学生が多いのでしょうか。

 英語英文学科には、語学に関心がある学生や、言語という観点から何かを形にすることを好む学生が多いです。また語学の習得のみならず、英語を通じて自分自身の関心のある分野について深く学びたいという意欲をもった学生も多数在籍しています。これは本学科に限った話ではありませんが、津田塾大学には純粋に学ぶことが好きな学生が集まっているため、真面目に勉強に取り組める雰囲気や環境があると感じています。

受験生の探究力、問いを立てる力を重視した入試方法の導入

英語英文学科の総合型選抜について教えてください。

英語英文学科では、幅広い学びの内容にあわせて、さまざまな特長や関心をもった学生を求めていて、そのために多種多様な入試を用意しています。

特に今年度から新設された「総合型選抜(探究型)」では、英語力以上に、自分なりの問いを立てて調査・発信する力に着目しています。高校生活で取り組んだ探究活動を評価対象とし、第一次選考では探究活動報告書や志望理由書などの提出書類をもとに書類選考、第二次選考では探究活動に関するプレゼンテーションおよび質疑応答を実施します。探究テーマは英語や文学といった学科での学びの内容である必要はなく、各受験生が自分の興味関心に基づいて選定することができます。

総合型選抜(探究型)では、どのような力が求められますか。

一般的な入試の方式では、大学側が問題を投げかけ、受験生はそれに答えるというかたちをとります。しかし、2026年度入試からスタートする「総合型選抜(探究型)」では、これまでとは大きく異なるアプローチが採用されています。受験生には「自分自身で問いを立てる力」が求められており、問いを立てた背景や結論を導き出す過程に注目して評価する点が、この入試の最大の特徴です。自ら問いを設定し、それを発信する力は、大学で専門分野を深く研究していくうえで必要な力です。「総合型選抜(探究型)」とは、こうした「探究力」に注目する選抜方式といえます。

生成AIが高度化する今、単に“それらしい”答えを導くだけではなく、自身の経験や思考から生まれる問いにこそ人間らしさや面白さが宿ると考えています。私たちは、その問いを通じて受験生の内面を見たいと思っています。 なお、2025年度入試までの「総合型選抜」については名称を変更し、「総合型選抜(英語4技能型)」として総合的な英語能力を重視した入試方式を継続しています。




英語力だけではない力をつけたい学生へ

求める人物像を教えてください。
「総合型選抜(英語4技能型)」では、英語による表現力や行動力に優れた人材に注目しています。英語での課外活動やコンテスト参加、留学経験など、自身の英語力を積極的に活かし、挑戦してきた経験がある方を歓迎しています。語学力を土台に、広い分野への探究を進める力をもった方が活躍できる環境を整えています。

 一方、「総合型選抜(探究型)」では、与えられた問題を解く力よりも、自分自身の内側から生まれる問いを大切にする力に注目しています。日常のなかで感じるささやかな疑問を、流さずに心に留めておけること。それは学びの原動力であり、個性の表れでもあります。学問分野に限らず、好きなことや面白いと感じたことに対して強い熱量をもち、自分なりの視点で言語化しようとする姿勢が大事だと思います。 本学科では、語学力を伸ばすことだけが目的ではなく、英語を用いて自分自身の考えを深める力や、人と共有する力を育むことを狙いとしています。自分の興味・関心を掘り下げ、それを他者に伝えようとする姿勢をもつ学生に、ぜひ入学してほしいと考えています。

最後に、英語英文学科を目指す受験生にメッセージをお願いします。

本学科への入学に向けて英語力を磨いていく努力も大切です。一方で、「総合型選抜(探究型)」は、テクニックだけで乗り切るものではなく、むしろ自分の経験に根ざした「好きなこと」「興味のあること」に向き合う姿勢こそが重要です。それが学問以外の分野であっても構いません。自分が何に惹かれ、なぜそれを面白いと感じるのかを言葉にしようとする気持ちや、友人と共有したいという思いがあることは、学びに向かう力の源になります。

また、日常の中にふと浮かぶ「なに?」「なぜ?」という小さな疑問を大切にしてほしいとも思っています。たとえそれが正解・不正解のある問いではなくても、自分自身の内から湧き上がってくる問いには、他人にはないその人なりの個性や視点が宿っています。だからこそ、自分の好きなことに熱中して、日常のささいな疑問を見過ごさず大切にする姿勢をもった方に、ぜひ英語英文学科に来てほしいと思っています。
※入試についての最新情報は、大学公式Webサイト「入試情報」にてご確認ください。
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