数学に興味を持ったきっかけは何ですか?
子どもの頃から算数が得意だったというのもさることながら、中学2年生のときに、学校の先生が『アメリカの数学者たち』という著名な数学者のインタビュー集を貸してくださったことです。このとき、世の中には数学を生業にする人がいる事実を知りました。こういうと少し語弊がありますが、当時は「何も道具をもたず、頭の中にあることだけで仕事をする」数学者に、ほのかな憧れを抱いたものです。高校に進んでからは『大学への数学』という月刊誌や、数学オリンピックの問題に挑戦するようになりました。相当手強い内容で苦戦しましたが、問題に全力でぶつかっているときには、静かな高揚感があったものです。あらゆる解法を試みるために、一問に何日も費やすこともありました。粘った末、ある日ふとしたことで解けたときの強い喜びこそが、数学好きの根底にあるような気がします。