常に成長を求めて。
私のキャリアを後押しする「津田スピリット」。

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西村 彩 NISHIMURA Aya

学芸学部国際関係学科 2003年卒業

津田塾大学の国際関係学科で学び、卒業後は外資系大手コンサルティングファームをはじめ、アパレル、専門小売企業など、複数の企業で海外勤務を含む多彩な経験を重ねてきた西村彩さん。絶えず「成長するんだ」「今の私に必要な場所へ」という思いで、時には居心地のよい場所に安住することなく、挑戦を続けることでキャリアを切り拓いてきました。現在はスターバックスコーヒージャパン株式会社で働く西村さんに、津田塾での学びや印象、女性としてキャリアを重ねることについてお話しいただきます。

英語は課題が出ていることすらわからなかったことも。

津田塾を志したきっかけを教えてください。
「英語を学べる大学」ということと、中学・高校と女子校だったので大人数の中に入っていくことに気おくれしてしまうため、「少人数で落ち着いたところがいいな」と思ったのが理由です。また、近隣大学との「単位互換制度」も魅力でした。都心の大学もいくつか受験しましたが、郊外にある雰囲気もいいなと思っていて、津田塾はまるで森の中にあるようなキャンパスで、静かさを魅力に感じたのも憶えています。
実際に入学してみていかがでしたか。
英語に注力できる大学がいいなと思って入学したものの、最初は苦戦しましたね。すべて英語で行われる授業では、内容が聞き取れず、課題が出たことすらわからなくて。なので毎回、授業が終わったら友人に「次回の課題出た?」と聞いていました(笑)。ただ、もう泣き言を言っていても始まらないし、何より単位が取れないので、「これはしっかりやらないといけないぞ」と思えたのが逆に良かったような気がします。勉強しないと卒業できないぞと。


チャレンジングな学びが面白かった。

学びで印象に残っていることはありますか。
先程の英語の話もそうですが、先生方がよい意味で容赦してくれないところですね。語学の授業では、たとえ流暢に話せなくても、極力英語で伝えることを求められます。また、セミナー形式の授業では、自分の意見を言う機会が当たり前にありました。今思うと、津田塾のそういう手加減しないところがすごくよかったと思います。1年次には哲学のセミナーにも所属したのですが、そこも手加減なしで、当時の私にはついていくだけで精一杯でした。ただ逆に言えば少人数教育で、関心をもてばもった分だけ応えてくださる先生がいらっしゃるのが津田塾のよさで、振り返ってみると、あの時もっとこうしておけばよかったなと感じることもあります。
3年次に履修した少数民族の問題を扱う講義も、すべて英語なんですよ。英語を修得するために学ぶだけではなくて、社会課題を海外の大学に行かなくても英語で勉強できるというのが、私にとってすごくチャレンジングだったし、面白かったですね。
津田塾での学びでよかったことはどんなことですか。
先生方との距離感が近いということ、あとはカリキュラムのバランスがよかったですね。英語のように社会ですぐに役立つ学問や、哲学のような自分自身を構築するための観念的な学問など、多様な授業があり、履修できる幅が広くて驚きました。私は単位互換制度を利用して一橋大学の講義も受けましたが、そちらで学んだビジネスど真ん中といった講義も、津田塾でバランスよく勉強していたからこそスムーズに受け入れられたような気がします。「この学部に行ったからこればかり」という環境だと、私には向いていなかったかもしれないですね。



社会で活躍するベースを津田塾で築けた。

卒業後はコンサルティングファームに就職されましたね。
就職に関しては縁だと思っていたので、何をしたいというよりは、一緒に働く人達が魅力的で、海外に行く機会のある会社で働きたいなと考えていました。というのも、津田塾の友人達がNGOなどで活発に海外で活動をしていて、その姿に刺激を受けていたんですね。実際に就職したコンサルティング企業では、さまざまな国や地域に拠点があるグローバル企業なのですが、シカゴでその年の入社組が世界中から集まる研修に参加しました。年齢も経験も国籍も多様なメンバーとチームを組み課題に取り組んだのは、まるでハンマーで殴られたかのように衝撃的な体験で、「世界はこんなに広いのか」とびっくりしました。
この会社では非常によい経験をさせていただいて、正直、待遇も非常にめぐまれていたのですが、コンサルタントという職業上、リアルな仕事の現場を知らないということがだんだん自分の中で課題に感じるようになりました。とても居心地のよい会社だけれど、このままでよいのか、という危機感を覚えたんです。


キャリアチェンジをされる際はどんなことを考えましたか。
「グロースマインドセット」という考え方があって、日本語にすれば「成長するための心持ち」といった感じですが、その中には居心地のよい場所(コンフォートゾーン)を抜け出すことが成長につながるという考え方があります。社会が変化していく中で居心地のよい場所にとどまるというのは、私は停滞してしまうことに近しいと感じるので、この時の転職を皮切りに、その後も何度か自分の求めるものに従ってキャリアチェンジを経験しています。 もちろんコンフォートゾーンを捨てることは勇気のいることですし、もったいないなとも思います。しかし、こんな風にチャレンジできるのは私自身の性格が前向きなだけではなく、津田塾でともに学んだ友人たちが皆、さまざまな挑戦をしているということも大きい気がします。私よりももっとスケールの大きな挑戦をしている友人も多くて、そんな話を聞いていると、自分のしようとしていることのハードルが低く感じるんです。なので、私がグロースマインドセットをもって社会人として活動できているベースは津田塾で築かれたと言えると思います。


キャリアチェンジの軸は「今、自分の中で大切にしたいことは何か」。

スターバックスコーヒージャパンにはどんなきっかけで入社されたのですか。
キャリアチェンジをする際には、その都度、自分の中で大切にしたいことを明確にしています。先程お話ししたように「現場の経験を」と考えたこともありましたし、「家族と過ごす時間を大事にするために」ということもありました。今の所属先であるスターバックスコーヒージャパンを選んだのは、「共感できる会社で働きたい」と考えたからです。これまで、自分がいかに成長できるかということをメインにしてきましたが、さまざまな経験を重ねてきた今は「人生の大事な一部分を使って働くのだから、その会社の理念にきちんとシンパシーを感じていたい」と思ったんです。当時、複数社でキャリアチェンジを検討している中で、「人を大切にする」という理念に対して共感できる度合いが大きかった現在の職場への就職を決めました。
現在はどのような仕事をされていますか。
今の仕事はエシカルソーシングチームのチームマネージャーとして、スターバックスの店頭で販売している商品(サンドイッチなどのフードや、フラペチーノなどのビバレッジ、グッズ)が製造されている現場で、従業員が働く環境が適切かどうか、人権という観点からチェックする仕組みを導入する仕事をしています。これは企業理念の中で、「私たちは、人間らしさを大切にしながら成長し続けます」と宣言しているスターバックスらしい活動で、しっかり「人」にフォーカスした仕組みを導入することで、本気で「ビジネスで社会を変える」ことを目指していると実感できる仕事です。
今後のキャリアでイメージしていることはありますか。
どのような立場になるとしても、多様性を尊重すること、そして成長できる場に身を置くことを大切にしていきたいと思っています。キャリアを築いていく上では、いろいろな方の協力を得るために専門性を高めておくことが大切です。これは新卒で入社した会社など、働く環境で高めていくことができるものです。一方で自分の中で大切にしたい思いを持っておくことも大切で、これは大学時代から育めるものだと思います。実際、私も津田塾大学で友人や先生方に刺激を受けていなかったら、新卒で入社したコンサルティングファームにはじまり、その後さまざまな場所でキャリアを積んだ現在の自分はいなかったのではないかと思います。


津田塾は皆で刺激しあって、成長していける場所。

津田塾大学はどんな大学だと思いますか。
大学選択において、女性だけの環境で学ぶことに少し違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこれから社会に、特に海外に出ていきたい方には準備期間としての4年間を津田塾で学ぶことをお勧めしたいです。私は社会に出て20年間、ずっと海外と関わる仕事をしてきましたが、いまだジェンダーギャップの大きな日本だからこそ、女子大学で学ぶ意義や気づきがあると感じています。
私が学生時代に友人達から刺激を受けたように、津田塾大学には個性的な人が集まってきます。そして、その個性を皆で尊重しつつ刺激しあって、伸ばしていく文化があります。

最後に、津田塾を目指す高校生たちにメッセージをお願いします。
今は不確定の時代と言われますが、これまでマイノリティだった人や既存の枠組みの中でチャンスが得られなかった人も、やり方次第で挑戦できる時代です。卒業生の絶対数では他大学より少ないかもしれませんが、今はSNSで素敵な先輩方ともつながれる時代です。私自身、SNSを通じて後輩からアプローチをもらい、親しくなりました。ぜひ津田塾で幅広く、そしてバランスよく学び、インスパイアされる体験をたくさんしてください。
また小規模校だからこそ、つねに留学やインターンシップ、就職活動の情報が目に飛び込んできます。チャンスにもめぐり逢いやすい環境ですので、ぜひさまざまな「人との出会い」を大切に、自分の可能性を信じて、やりたいことに挑戦していただきたいと思います。
※肩書等は取材当時のものです。
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