アイデアを形にし、成果につなげる津田塾で培った確かな英語力と実行力

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浅野 唯 ASANO Yui

学芸学部英文学科(現:英語英文学科) 2008年卒業

津田塾大学卒業後、ネスレ日本株式会社に入社。現在は営業本部に所属して全国の大手家電量販店を対象に「ネスカフェバリスタ」や「ネスカフェドルチェグスト」などのコーヒーマシーンの販売を促進するとともに、顧客の課題解決のサポートなどを行っている浅野唯さん。最前線でご活躍されている営業部門の仕事や、印象的だった津田塾の学び、また、在学中の経験が現在の仕事にどのように活かされているのかなどを伺いました。

これまでにない新たな提案ができる面白さ

入社から一貫して営業部門に所属しています。入社当初は九州地方のスーパーを担当していましたが、せっかく受けもつなら全国チェーンを展開する小売企業の本部担当として挑戦してみたいと当時の支社長に自ら希望し、入社3年目で広域営業部へ異動しました。百貨店や、ドラッグストア、コンビニへの営業を経て、現在は都市部の駅前でよく見かける大手家電量販店を担当しています。ネスレの営業部門の約9割はスーパーの担当で、インスタントコーヒーやお菓子が主力の商材。どんな時期にどういった商品を提案するのかノウハウが蓄積されており、顧客提案資料も整えられています。私がこれまで担当してきたスーパー以外の営業先は、当初、決められたパターンや営業手法や戦略といったものがそれほど確立されておらず、だからこそ試行錯誤しながらもさまざまな提案ができました。それは私にとって、「仕事の面白さ」でもあるんです。

当時、食品小売企業で日本一売上の大きな法人の営業を担当していたときは、正直、辛いこともたくさんありましたが、先輩に「浅野さんは日本で一番キットカットを売っているんだから踏ん張らないと」と励まされ、プレッシャーを感じながらも同僚からのフォローもあり何とか頑張ることができました。自らのアイデアで数字を大きく伸ばせたときには特にやりがいを感じ、成功体験をどんどん周りと共有していくことで新たなノウハウも蓄積されます。営業は単に商品を売り込むだけではありません。顧客や営業先の課題に向けたアプローチをし、解決へ導くこともあり、そんな時に味わう達成感はひとしおです。新しい提案を思いついた時には、まずはその内容についてじっくりと考えるのですが、アイデアが固まるとすぐに形にしたい欲求に駆られ行動に移したくなってしまいます。その結果、自分自身で仕事を増やしてしまうこともしばしば……。しかし、その提案によってお客様に喜んでいただけたり、上司に評価していただけるのは素直にうれしいですね。「量は質を凌駕する」の精神で、思いついたアイデアは、周囲に迷惑をかけない範囲で、実行するようにしています。
もともと「食」に関心があった私。就職活動では、英文学科の学びを通じて興味が引かれた「グローバル企業」の2つを軸にCMなどで見かける大手の食品メーカーに多くエントリーしました。その中でネスレは食品メーカーで世界No.1のシェアを誇り、そこでチャレンジすることは、グローバルな視野も広がり、自分自身の成長にもつながると考え、入社を決めたのです。

就職活動の際、大きな武器となったのは、やはり津田塾で身につけた英語のスキルでした。1年次からよい意味で授業はとても厳しく、課題と予習・復習にかなりの時間を要しました。英語の得意なクラスメイトに刺激を受けながら、ついていくために必死に勉強したことを今でも鮮明に覚えています。私は副専攻で通訳コース(現:翻訳・通訳プログラム)も受講していたため、とにかくよく勉強した4年間でした。そのため、就職活動では自信をもって「使える英語」をアピールでき、その点も高く評価していただけたと思っています。入社後、上司がもっていた人事部からの私の評価シートをたまたま目にしたときに「英語がずば抜けてできる」とコメントが書いてあるのを見ました。恐らく入社試験の英語のテストが相当よかったのだと思います。実際に手ごたえもありました。ネスレはスイスに本社があるグローバル企業で、マーケティングやブランドのマネジメントに関わる仕事においては英語でのやり取りを行うことも必要です。常に学び続ける姿勢を忘れず、そういった仕事にも関わるチャンスがあれば積極的に自分のもっているスキルを活用したいと考えています。

アイデアを形にし、実践・行動に変えていく力

仕事での功績が評価され、社内の賞を受賞されたと伺いました。どのような点が評価されての賞だったのか教えてください。
営業部門内での賞を2回と、イノベーションアワードという全社での賞(部門賞)を1回受賞しました。どちらの賞も営業活動において、新しいアイデアで取り組んだ成果が評価につながったのだと思っています。私は、与えられた仕事をただそのままやるというより、業務を自分なりに解釈し、新しいアレンジを加えることを意識しています。また、ちょっとした「気づき」を見逃さず、自分なりに追求し改善できるよう取り組むことで仕事も楽しく、やりがいも感じられます。楽しいことなら無理なく続けていけますからね。

イノベーションアワードの部門賞では、家電量販店の販売スタッフに詳しい商品知識を伝える研修を企画したことが評価されました。企画のきっかけは家電量販店でネスレの商品を実際に販売してくださっている現場のスタッフの方にヒアリングを行ったこと。スタッフの方々からは新商品の数が多く、他社製品との違いを十分に理解する時間がとれないとの声が……。そこで、ネスレの商品についてもっと深く知ってもらうための研修を思いつきました。「販売員の商品知識がアップすれば、お客様にも、私たちメーカーにも、店舗にもメリットがあるはずだ」と考えたのです。その結果、スタッフ同士が競い合うことで現場に活気が生まれ、ネスレの商品を深く知り、好きになってもらうことにもつながりました。愛着のある商品はお客様に紹介したくなります。勧める際にも熱が伝わるのです。
さらに、各店舗対抗で販売スタッフ同士で商品の見せ方を競うディスプレイのコンテストを企画したことも評価していただきました。この企画の狙いは、メーカーの社員ではない店舗の販売員が自らディスプレイを考えることでお客様に「ぜひ商品を見てほしい」という思いが伝わるような売り場を作ってもらうこと。自らが力をいれて作り上げた売り場はやはり思い入れが深くなります。最優秀者にはネスレの看板商品であるキットカット1ケースをプレゼント!スタッフのやる気を高める工夫もした結果、売り上げアップにつながるという好循環が生まれました。
このようにアイデアを提案し、実行する力は津田塾の学びで身についたのだと感じています。津田塾の授業は少人数制でごまかしも利きません。だからこそ、わからないことをそのままにしない、与えられたことをさらに掘り下げて考えるという癖がついたのです。目の前のことを地道にコツコツ取り組むというのも、当たり前ですが仕事には欠かせない大切な習慣。少人数でレベルの高い津田塾の授業で、働くうえで求められる基本的な姿勢はもちろん、どうしたら楽しく働くことができるか、アイデアを形にするために自分に何ができるかといったことを考え、実践していくことも学んだのだと改めて実感しています。
大学4年間の授業で使ったテキストは、特に思い入れのあるものを今でも本棚に残してあり、「あの時の勉強は苦労したけど楽しかった」「あの時あれだけ頑張れたのだからこの壁も乗り越えられるはずだ」と一冊一冊を手に取って、当時を振り返ることもあります。

大学で使用した教科書…。ひらくたびに当時のことが思い出されます。

興味のあることを貪欲に学び続けていく

卒業後もさまざまなことにチャレンジし、学びを深めていらっしゃるとのことですが、これまで学んできたこと、これから学びたいこと、今後の目標などについても教えてください。
もともと学校に通ったり勉強したりすることが好きでした。でも、最初からスキルアップが目的だったわけではなく、興味があることを学んだ結果、それがスキルアップにつながっています。学びの楽しさを知ったのは、津田塾でのいろいろな授業、そして先生方と出会いによって、興味の幅が広がり、見える世界が変わることを覚えたから。社会人になってからも仕事の合間をみて新しいチャレンジを行っています。例えばビジネススクールに通い、MBAの科目の一部であるクリティカルシンキングや人材マネジメントを学んだり。翻訳の学校に通い実際にプロが行うような翻訳も経験しました。オックスフォード大学の通信講座をオンラインで受けていたときには、修了試験に向けた勉強のため津田塾の図書館で勉強していたこともありました。新しい知識を増やし、自分の世界を広げていくことに楽しさを感じますね。

「食」についてはもともと興味がありましたが、英語やビジネス分野以外でも学びの幅を広げています。子どもが生まれてからは、家族の健康を守りたいという意識がより強くなり、栄養学について学ぶように……。社内通信教育で学んだ知識を基に日々の料理などで実践しながら、家族の体調に合わせて知識をアップデートしています。これからも仕事と家庭のバランスを保ちながら、子どもから見て「かっこいい母親」になりたいですね。グローバル企業で働いていることから、津田塾で身につけた“使える英語”を活かし、海外と折衝するようなマーケティング業務にも携わりたいという思いもあります。海外研修などにも積極的に手を挙げて新たなスキルを身につけたいですね。

働くことを通じて、家族が、そして自分自身が幸せを実現すること。そして津田塾で学んだ「自分で考え、自分の力で道を切り拓く姿勢」を、仕事をする女性として、母として我が子に見せることができたらと思っています。

津田塾大学を目指す高校生のみなさんへ

将来、どのような職業を目指すとしても、津田塾で学んだ英語は必ず武器になります。私自身、卒業して10年以上が経っている現在も、ためらいなく海外の大学で授業を受けたり、洋画を字幕なしで楽しむことができているのは、津田塾で表面だけではなく、体の芯まで染み渡るような英語のトレーニングを受けたから。津田塾の授業の多くのは英語がベースとなっており、英語の参考文献を活用するなど、英語をツールとして実践的に活用していました。また、ライティングの授業では毎回丁寧な添削をいただけるほか、スピーキングでは単語の発音も都度ご指導いただけました。これは他大学にはなかなかない特長です。また、文学や文化だけではなく、異文化コミュニケーション、ジェンダー論など幅広い授業を通じて常に英語のレベルアップが図れる環境です。さらに、少人数教育も大きな魅力。授業でプレゼンテーションやディスカッションをする機会も多く、自ら発信する力と聴く力も養われました。津田塾では、卒業後も衰えることのない本物の英語をしっかりと身につけられ、リーダーシップを育める環境があります。私自身、もう一度通いたいくらい大好きな大学です。思う存分英語力を磨き、リーダーシップを身につけてさまざまな分野で活躍する自分を想像しながら、ぜひ津田塾で充実した大学生活を送ってください。

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