津田塾での大学生活をとおして、自分らしく羽ばたく土台を手に。

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伊藤 夢夏 ITO Yumeka(英語英文学科)
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市毛 優花 ICHIGE Yuka(多文化・国際協力学科)

伊藤夢夏 ITO Yumeka
英語英文学科4年
卒業後は中学の英語教員として就職予定。2021年度の卒業式では英語英文学科の総代として英語で謝辞を述べる。(写真・左)

市毛優花 ICHIGE Yuka
多文化・国際協力学科3年
2019年に新設された多文化・国際協力学科の1期生。学外学修センターを利用したインターンシップへの参加など、学外の活動にも意欲的に取り組む。(写真・右)
英語教員を目指し、津田塾大学の学芸学部英語英文学科を第一志望に入学した伊藤さん。他校を併願しながらも、最終的には国際関係の分野と英語を学べる多文化・国際協力学科を選んだ市毛さん。津田塾に入学するまでの経緯はそれぞれで異なりますが、ともに在学中は大学の制度を存分に活用して、自らの可能性を広げてきました。そんなおふたりに自らの成長について語っていただきます。

津田塾らしい少人数教育。
これが入学の決め手になった。

Q はじめに、津田塾大学を志望した理由やいきさつをお聞かせください。

伊藤:中学生のときにALT(外国語指導助手)の先生が親身に教えてくださったことがきっかけで語学の楽しさに目覚め、英語教員を志すようになりました。その夢は高校生になっても変わらず、高校時代には教員免許を取得できる大学を探すに至ります。そこで英語の先生から勧められた学校が津田塾だったのです。実際、オープンキャンパスや授業体験Dayに参加して、少人数クラスならではの自由闊達な雰囲気に魅了されました。これこそが自分が求めていたものだと感じたのです。
市毛さんは、他の大学も併願されていたそうですね。
市毛: そうなんです。高校生のときは国際関係の分野に漠然とした興味があったことに加え、大学では語学力を高めて留学したかったので、希望に合致するいくつかの大学を受験しました。津田塾よりも入試難易度が高い大学からも合格をいただきましたが、やっぱり私も津田塾に惹かれました。
伊藤: 決め手は何だったのですか?

市毛: 伊藤さんと同じで、少人数教育に力を入れていることです。新設されて間もない多文化・国際協力学科に、一期生として飛び込める特別感にも胸が躍りました。

Q 実際に入学して感じたことについて教えてください。

伊藤: 先生や学生同士の距離が近く、どんな意見であっても受け入れてもらえる安心感は格別でした。例えば、1年次のセミナーで『赤毛のアン』を輪読し、物語や登場人物について考察したときのこと。文学作品ですから、当然のことながら解釈は人によって異なります。そんなとき、相手の意見を否定したりせず「そんな考え方もあるんだね」と受け止め合う温かな空気があるのです。

市毛: 同感です。一方通行の講義ではなく、双方向的なディスカッションだから、学生だけでなく、先生も参加して授業をともに作り上げていくような連帯感があるのかもしれません。セミナーで各自がテーマを設定してプレゼンテーションを行う際も、他の学生の研究分野だから知識がなくても、素朴な疑問をぶつけ合い、ともに頭をひねるんです。その結果、さまざまな意見が引き出されました。

伊藤: 多様な意見が掛け合わさっていくと、学びに奥行きが生まれますよね。これも少人数制ならではの魅力だと思います。

コラム
1年次からはじまる、津田塾のセミナー

津田塾大学では、全学科で1年次からのセミナーを必修科目としています。

教員のきめ細やかな指導のもと、興味や関心を育み、各自で専門分野や研究テーマを見つけていきます。教員が議論のリードやフォローを行いながら学生が互いに意見を交わすことで、研究テーマに関する理解を深め、時には新たな課題を発見することも。自らの考察をさらに深めることができるのです。また、さまざまな視点から自分の考え をまとめ、図表や映像など効果的な資料を用いて発表し、プレゼンテーション能力を磨き発信力を養います。

最終的には自ら問題を発見して向き合い、研究テーマが決まったら、図書館や教育研究施設を利用して関連図書や論文、文献を収集。学科やテーマによってはフィールドワークを実施し、調査結果をまとめます。

一人ひとりに目が行き届く、1年次からのセミナーだからこそ、主体的に学ぶスキルを身につけられるのです。

多様な価値観に触れると、ものごとへの向き合い方が変わる。

Q 印象に残っている授業やプログラムはありますか?

市毛: 「国際協力論」です。フィリピンの先住民のコミュニティーにおける学校教育制度について学びました。学校教育よりも狩猟採集の訓練を積むことを重視する彼らのコミュニティーでは、学校制度を整備しても定着しないそうなのです。子どもが学校に通うのは当たり前だと思い込んでいた私は、自分の常識が通用しない事例に衝撃を受けました。

伊藤: 異なる価値観に触れることで、自分の先入観に気づいたわけですね。

市毛
: おっしゃる通りで、「知ったつもり」になっていた自分に気づくと、物事への向き合い方も変わりました。世界のさまざまな事例を知ると、自国や自分の価値観を客観視する目が養われますよね。
伊藤: 私は、1年次に経験したスペインでの語学研修が印象に残っています。第二外国語でスペイン語を選択していたため、現地で本格的に学びたいと思ったのです。当時はまったくと言っていいほどスペイン語を話せない初学者でした。案の定、言葉の壁にぶつかります。何しろ、ホストファミリーは英語を話せず、スペイン語しか通じなかったのですから。

市毛: それは大変でしたね(笑)!そのピンチを、どう切り抜けたのですか?

伊藤
: 身振り手振りを交え、翻訳アプリなどを駆使しながら自分の思いを伝え、なんとか相手の言葉を理解しようと努めました。もう必死です(笑)。ただ、こういった右も左も分からない状況とは、見方を変えればすべてを学びにできる絶好のチャンスともいえます。身構えて躊躇するくらいなら、まずはコミュニケーションを取ってみようと、気持ちをシフトしました。スペインでの滞在を通じて身につけたのは言語だけでなく、失敗を恐れない度胸でしたね。周りにも、「興味があったらまずはやってみる」というフットワークの軽い友人が多かったのも挑戦の後押しとなりました。

入学前には想像しなかったほど、英語力は高まった。

Q おふたりとも津田塾を志した理由のひとつに「英語教育」を挙げられていました。実際にここで学び、どんな成長がありましたか?

伊藤: 高校の英語との大きな違いをあげると、英文エッセイや論文の構造を徹底的に学ぶこと。毎回授業では相当な量の英作文を提出します。それで終わりではありません。提出後は先生からのフィードバックをもとに修正を何度も繰り返します。その甲斐あって、8000wordsほどの卒業論文を英語で書き上げることができました。大変ではありましたが、着実に英語力が伸びている実感がありました。

市毛: 課題をしっかり取り組んでいれば、英語力は自ずと磨かれますよね。

伊藤: 本当にその通りです。実際、目に見える成果となって表れました。教職課程の勉強が佳境に入っていた頃、なんの試験対策もできないまま臨んだ実用英語技能検定の準1級に、一発で合格できたのです。まさに日頃の勉強の賜物だと思いました。

市毛: それは素晴らしいですね! 私の場合、リスニング力が飛躍的に伸びました。すべて英語で行われる授業も、最初はあまり聞き取れずに苦労したものの、回を重ねるごとに話を理解できるようになっていったものです。生きた英語に浸れる環境に身を置けたおかげだと思います。高校の頃には想像もしなかったほどに英語力は向上しました。


Q セミナーではどういった研究をしていますか。

市毛: 多文化・国際協力学科では、現地で調査・研究を行うフィールドワークが必修です。私はハワイを対象地域に選びました。4歳からフラダンスを続けており、現在もフラダンスのサークルで代表を務めている私にとって、ハワイは親しみ深い地域なのです。

伊藤: 市毛さん、フラやってそう(笑)。いずれにせよ、学生が関心のあることをとことん追求できるのは津田塾のセミナーの醍醐味だと思います。

市毛: ですよね。私はフラダンスをきっかけに、ハワイの文化や豊かな自然に興味をもちました。現在は、ハワイにおけるリゾート開発や観光客の増加が、自然環境や住民の生活にどんな影響を与えているかについて調べています。
伊藤さんはいかがですか?

伊藤: 私の研究テーマは、短縮語形成の理論です。モーツァルトのことを「モツ」と呼ぶなど、一般的にはなじみがないけれど特定の業界では日常的に使われる短縮語の成り立ちや規則性について研究しています。

市毛: 「モツ」って言うんですか。初めて耳にしました。

伊藤: 英語英文学科といっても、研究の対象は文学にとどまらず、言語や文化など幅広いのです。その中でも、学生が関心をもつ分野もさまざまですが、私は特定のコミュニティーのみで共有されている言葉のルールに興味があります。ニッチな分野ではありますが、セミナーの先生は外部の音韻論の専門家を紹介してくださるなど、親身にサポートしてくださいました。

学生時代のチャレンジは、一生ものの財産になる。

Q 授業のほかに取り組んできたことや、今後挑戦したいことはありますか。

市毛: 社会人として国内で、または海外で働くことのイメージをつかむべく学外学修センターを利用して、ニューヨークのエイチ・アイ・エスのインターンシップに参加しました。エイチ・アイ・エスを選んだのは、観光業や海外勤務に惹かれたからです。続いて参加したのは国内のパソナグループのインターンシップです。ここでは仕事と音楽活動とを両立する社員をはじめ、多様な働き方を目の当たりにします。就職活動を経て社会人になることを見据えて参加したインターンシップでしたが、いろいろな生き方を知ったことで、必ずしも卒業後すぐの就職にこだわらなくてもいいと思ったのです。

伊藤: なにか他にやりたいことが見つかったのですか?

市毛: はい。まずインターンを機に「自分にとって本当に幸せな選択とは」と自問し、ハワイへの思い入れの強さを再認識できました。本来ならばフィールドワークで現地を訪れる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により、在学中に実現するめどが立たなくなった代わりに、卒業後はハワイの研究を現地の大学で行いながら、フラダンスを極める予定でいます。

伊藤
: 学外での学びをきっかけに、進路が見えてきたのですね。
私は英語教員として、中学生の頃に出会った恩師のように、英語の楽しさを伝えられる存在になりたいと思っています。将来的には、管理職として職場環境の改善にも力を注ぎたい。この目標をもったきっかけは、「教職実践演習」の授業で新設校の校長先生に出会ったことです。悩みながらも、教育現場を一から作りあげてきたその先生に憧れ、私もいつしか教育自体の質を高めるだけでなく、教育現場の改善にも貢献したいと思うようになりました。

入学はゴールではない。
入学後に何をするかが大切。

Q 改めて津田塾での学生生活を振り返って、どう感じていますか。

伊藤: 英語教員になるという目標の達成もさることながら、想像以上に多くのことに取り組めました。成長意欲の高い友人たちに囲まれ、常に刺激を受けられたことも幸運でした。自分の新たな一面を発見できただけでなく、たくさんの目標となる人にも出会えました。
市毛: 文字通り濃密な4年間だったのですね。卒業を間近に控えて、最後にやり遂げたいことはありますか?
伊藤: 実は、英語英文学科の代表として、卒業式で英語のスピーチを行います。これはまたとない機会で、本当に光栄です。この大役は、学生生活を通じてさまざまな活動に精力的に取り組んできた証だと思っています。授業では最前列の席に座って積極的に発言したり、新入生の親睦を目的としたウェルカムデイで動画制作なども担当していましたから。津田塾ならではの学生の挑戦を応援してくれるような雰囲気にも支えられ、その過程で、自分自身が大きく成長できたことを誇らしく思います。
市毛さんはご自身でどんな成長を感じていますか?

市毛: 興味をもったテーマをとことん追求するなかで、思考力が磨かれたように思います。津田塾では、先生が答えを与えるのではなく、まず学生たちに考えさせるのですよね。学生たちも自らの好奇心に従って主体的に学ぶ。そんな環境だから、何事にも当事者意識をもって向き合う習慣がつき、自分らしい選択ができるようになっていくのだと思います。
そもそも大学入学はゴールではありません。入学後に何をするかが重要。これは私が兄からかけられた言葉です。津田塾に入って心底その通りだと思いました。

伊藤: 大学時代の行動次第で、得られる学びは大きく変わりますものね。津田塾の学生は、いい意味で真面目。ここでは誰もが一生懸命に頑張っていて、からかわれることはありません。これから入学する方には、等身大の自分でいられる津田塾の環境を存分に活用し、臆せずチャレンジしてほしい。ここでの4年間は、卒業後に自分らしく羽ばたくための土台になるはずです。

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