英語を学び、英語で学ぶ。
この両輪で世界とつながる。

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星野 徳子 HOSHINO Noriko
学芸学部 英語英文学科准教授
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後藤 優花 GOTO Yuka
学芸学部 英語英文学科 4年

星野 徳子
学芸学部英語英文学科准教授。
自身も同学科の卒業生。専門はバイリンガリズム、第二言語習得。
(写真・右)


後藤 優花
学芸学部英語英文学科4年。
英語教育コースに所属。教職課程を履修し、高校の英語教員を目指している。2021年5月には教育実習を経験。
(写真・左)

英語上達の「魔法」はない。

英語の4技能を総合的に身につけ、専門分野を掘り下げる学芸学部の英語教育。習得は楽ではありませんが、地道に努力したその先にはワクワクするような新しい世界が待っているのが英語を学ぶ醍醐味です。英語英文学科の星野徳子准教授と、高校の英語教員を目指す4年生の後藤優花さんに、自身の体験を交えて「継続は力なり」の効果を語っていただきました。

ネイティブスピーカーをしのぐ「書く力」を手に。

Q 津田塾の伝統が息づく学芸学部の英語教育について、その特徴を教えてください。

星野: 「聞く・話す・読む・書く」の4技能をバランスよく段階的にレベルアップしていくカリキュラムとなっています。文系の3学科である英語英文学科、国際関係学科、多文化・国際協力学科は、4技能の授業に関して1年次は同じ内容です。2年次になると、扱うトピックが学科によって異なってきます。例えば英語英文学科だと文学、文化、歴史、言語、教育、コミュニケーションが題材になるなど、それぞれの学科の専門領域に合わせていきます。専門科目の授業でも英語で書かれた教科書を扱う機会が増えてきます。「英語を学ぶ」と同時に「英語で学ぶ」。その2つを高いレベルでこなしていくことになります。

後藤: 印象に残っている英語の授業は、2年次のAcademic Writing IIや3年次のAcademic Writing & Presentation IIIです。前者では論文を書くためのルールや論理構成を学びます。後者はライティングに加えてプレゼンテーションの理論とともに、実際に資料を作成し、クラスのみんなの前で15分程度発表するものです。いかに相手にわかりやすく伝えることができるか。毎回、苦労と緊張の連続です。でも、頭で理解したうえで英語を身体に刻み込む感覚があり、津田塾ならではの学びの手ごたえがありました。
星野: 私も津田塾の出身ですが、Academic Writingで学んだことは留学先でも大変役に立ちました。これは津田塾の長い歴史の中で、留学の経験者が口をそろえて言っていたことです。話すことは慣れるまでが大変ですし、どうしても母語話者には敵わない部分があります。しかし、書くことに関しては、提出したレポートが母語話者の学生よりも高く評価されることもありました。内容や構成を練り上げるために時間をかけられますし、すらすらと書ける母語話者ではないからこそ、一文一文の論理的なつながりをじっくりと考えながら書けると思っています。

後藤: 私は3年次の夏に留学する予定だったのですが、コロナ禍で1年延期しました。自分の進路を考える中で、一度留学をあきらめることを決め、現在は大学院進学の準備に専念しています。

星野:
 留学のことは本当に残念でしたね。けれども、Academic Writingのスキルは、津田塾で英語でレポートを書く以外にも活かされているようにも思いますが,いかがでしょうか。例えば、言語の構造を意識することになり、日本語を書く力の向上につながるという話もよく聞きます。後藤さんは実際どうでしたか?

後藤: 日本語のライティングの力も確実にアップしました。入学して間もない頃に書いたレポートは、2年次、3年次に書いたものとは比べものにならないぐらい拙かったと思います。

星野: 津田塾では、英語を学ぶことで日本語の力も伸ばすことができるんです。その力は社会人になってからも役に立ちます。英語を使わない仕事であっても、日本語で文書を作成する機会はたくさんありますから。


少人数、双方向のクラスで成長を実感できる。

Q 後藤さんは高校の英語教員を志望されているとうかがいました。

後藤: もともと英語が好きで、中学高校では英語関係の部活に所属してスピーチの大会に出場したこともあります。英語でのコミュニケーションによって自分の世界が広がっていくのが楽しくて。「この気持ちをほかの人にも味わってほしい。それなら先生という職業がいいのでは」と思い至ったのです。津田塾では教職課程を履修し、今年の5月に3週間、大分県の母校で教育実習を経験しました。

Q 英語を「教わる」立場から「教える」立場に変わって、どんな気づきがありましたか?

後藤: 大きく2つあります。ひとつは、論理的に教えるのは難しいということ。知識として文法や単語について説明する際、自分が感覚的に理解していることを一度「言葉」に落とし込んでロジカルに伝えるのは簡単ではありませんでした。もうひとつは、授業を面白いと感じてもらうことの難しさです。クラスには英語が苦手な生徒も必ずいます。そんな中で50分間、飽きさせない授業をデザインするのは容易ではありません。改善に向けて試行錯誤する毎日でした。

意識したのは、私からの一方通行にしないこと。「あなたはどう思う?」「ではペアで話してみましょう」と積極的に投げかけて、できるだけ能動的に関われるアクティビティを組み込みました。

星野: 少人数で双方向性を重んじる津田塾の授業にも近いところがありますね。

後藤: たしかにそうです。津田塾では、学生同士だけではなく、先生と私たち学生のやりとりもたくさんあります。課題を提出した後は、先生が丁寧に添削し、それを受けて修正するプロセスを何度も繰り返しますし、プレゼンテーションでは先生だけでなく、クラスメートからもコメントをもらいますから、いつも真剣です。

星野: 教員も真剣勝負です!少人数クラスでのやりとりは、学びの質を高めてくれるので、自分の成長も実感しやすいですよね。


教員を目指すなら津田塾は一番の選択肢。

Q 教育実習で活きた津田塾の経験はどんなことでしょうか。

後藤: 模擬授業が充実していたことや、教育実習に行く直前の「教科指導法」の授業で、現役の中学の先生から現場の話をうかがえたのは心強かったですね。授業以外でも、教育実習のオリエンテーションで社会人としての心構えやルールをしっかり教えていただくなど、万全のサポートが受けられたので、安心して実習に臨めました。他大学の実習生と話す機会がありましたが、津田塾のサポートの手厚さに驚いていました。

星野: 小規模大学の強みですね。教職課程の授業でも津田塾ならではの特徴があり、伝統的に英語の教育にも力を入れています。英語の運用力を高めることはもちろんですが、英語という言語の仕組みについても、しっかりと学びます。音声面では、昔から音声学が必修になっています。正しい音を出せるだけではなく、どうすれば出せるのかを知識として理解することが、実際に指導する上で力になります。文法についても、高校までに学んだ文法とは別の観点から体系的に捉え直します。さらに、教育学部で教職を目指す場合と異なり、自分の専門を深掘りしながら、教職課程を履修できるのも特徴です。これらを踏まえると、後藤さんが教員になるために津田塾を選んだのは大正解だったと思いますよ。




英語学習は筋トレと同じ。続けることが大切。

Q 英語力を伸ばすための秘訣はありますか?

後藤: 魔法のような方法はありません。ただ、常に意識していたのは、毎日少しでもいいので英語に触れることです。読んだり聞いたり、気分が乗らないときも料理をしながら英語のニュースを流すとか。スピーキング能力は、例えば長期休暇中などに話す機会が減ると、低下しがちなのが困りものでした。でも、今はオンライン英会話でリーズナブルにネイティブの方のレッスンを受けられるので、スピーキング力の維持はしやすくなったと思います。

星野:
 スピーキング能力の維持の難しさは、研究でも明らかになっているんですよ。言語は使わなくなると退化していきます。「読む」「聞く」はすぐには衰えませんが、「書く」「話す」はさびつきやすいということがわかっています。いずれにしても、筋トレと同じように、少しずつでいいのでトレーニングを継続することが大切ですね。


津田塾は、頑張る人を全力で支えてくれる。

Q 後藤さんは、高校の教員を目指しながら、大学院への進学を予定しているのはなぜでしょうか。

後藤: 教育実習の経験をとおして、もっと理論的な柱をもちたくなったからですが、将来的には地元に戻り、高校の英語教員になりたいです。「自分は日本から出ないから英語は必要ない」と考える生徒も中にはいるかもしれません。でも、少しでも英語ができれば見える世界は何倍にも広がると思うんです。そういう視点を交えて、生徒の興味をひく楽しい授業ができるといいですね。学習の苦しみも楽しさも彼らと共有し、自身も成長していく。そんな先生を目指しています。


最後に、津田塾を目指す高校生にメッセージをお願いします。

後藤: コロナ禍で私は留学をいったん断念しました。ただ、それに向けて高めてきた英語力は無駄にはならないし、チャンスはきっとまた巡ってくるはず。気持ちは前向きです。今の高校生にもさまざまな生活の制限があるでしょう。でも、「今の環境でできるだけのことをやろう」「目の前のことに集中しよう」という気持ちで頑張れば、必ず自分のプラスになると信じてください。津田塾には、学生が挑戦するための環境が整っています。頑張る人にしっかりと応えてくれる大学ですから、ぜひ選択肢のひとつに入れてほしいですね。

星野: 後藤さんのお話にもありましたが、英語を学ぶことで世界は確実に広がります。英語でコミュニケーションをとれると、これまで日本語だけでは触れることのできなかった価値観に出会うことができ、背景にある文化や歴史が異なることがわかります。触れたことのない世界が見え、多様な視点に気づく。それは自分が成長するために欠かせません。英語はそのためのツールなのです。身につけるのは決して簡単ではないかもしれません。しかし、学校の課題などをきちんとこなすといった地道な努力の積み重ねの先に、とても広く新しい世界が待っています。それを楽しみに、「継続は力なり」を実践してほしいです。



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