第20回 学生スタッフレポート

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身体・ジェンダー・私らしさ:摂食障害を起点に考える

磯野 真穂 氏(東京科学大学教授・人類学者)

こんにちは!
「総合2025」第20回、11月27日(木)の講演は、東京科学大学教授・人類学者として活躍されている、磯野真穂先生にお越しいただき、「身体・ジェンダー・私らしさ:摂食障害を起点に考える」というテーマでお話しいただきました。

講演では、磯野先生が研究テーマとされてきた「摂食障害」から、私たちを取り巻く社会について受講生と共に考えました。その一つのキーワードとして、「自分らしさ」という言葉に注目しました。

「自分らしさ」を大切に、「自分を愛そう」ということ自体が流行りとして、あらゆる場所に登場するのは1990年代以降のことだそうです。その一方で、脱毛やアンチエイジングなど美容に関する広告も多く打ち出されるようになったのも同じ時期でした。「自分らしさ」という言葉が社会で利用され、その言葉以上の意味を持ち、個人の在り方や心に影響を持つという磯野先生の指摘がとても印象に残っています。

そして、講演の最後には「摂食障害」などの個人化されやすいような多くの問題が、実は社会の問題と強く結びついており、自分の持っている問題や権利、環境も歴史の上にあることがわかるとおっしゃっていました。だからこそ、自分の悩みや感覚を矮小化せず、広い視野で見ることの大切さを受講生に伝えていただきました。

「自分らしさ」という言葉自体に注目して、それがどのように私たちに影響してきたのかを考えることがとても新しい視点でした。私自身も、就活の真っ只中で、「自分らしさ」を多くの場面で求められます。その際に、「相手が求める『私らしさ』」を探すことで精一杯になり、苦しくなってしまうこともあります。これまでは「就活だから仕方ない」と自己解決し、考えること自体をストップしていたように思います。しかし、磯野先生のお話を聞く中で、自己肯定的な態度が素敵とされつつも、社会の「こうあるべき」という規範も守るべきという構造こそが、私自身が日常の中で感じていた息苦しさの正体だったと感じました。

磯野先生が、講演の最後に語られた「個人の悩みは社会の歴史の上にある」という言葉は、自分のこれまでの経験を別の角度から照らし直してくれました。これからも、個人の問題を個人で終わらせず、その背後にどんな社会の働きがあるのかを疑う視点を持ち続けたいです。

国際関係学科3年 リンイン

コメントシートより

  • 場所を変えて評価が変わった。住んでるところが変わって評価が変わるものに、どうしてこんなに惑わされなければならないのだろう。数字でどうしてこんなに苦しんでしまうのだろう。
  • 「悩みを広い時空間で考えてみる」という点は非常に印象に残りました。私自身も就活や人間関係で悩むことがありますが、この悩みを家族に打ち明けてみると若い頃、同じように悩んでいたことを話されたり、昔の本にも同じ悩みが記載されたりなど、悩みの本質はどの時代も変わらないことに気づき共感したからです。その上で、「悩み」に対する自分の姿勢を、決して自分の中で完結させてしまうのではなく、広い視野で考えていくことは、より軽い気持ちで生きるためにも必要であると考えました。
  • あなたらしくいていいという話は私もよく言われてきて、「あなたは生きているだけでいいのだよ」と言ってくれる人もいるが、先ほどの講義にも出てきた通り、生きているだけでいいならそうしたいという思いもありつつ、愛されたいという感情があるから生きているだけではなく、向上心を持って物事に取り組んでいるのだと思う。また、人間は共同性のある生き物だから自分らしさとはいえど結局誰かの好きに当てはまるように生きていかなければならないというのが難しいなと思った。就活は怖くもあるし、自分の将来を決める大きな壁のように感じているが、それでも新たな人に出会えること、知らない自分の能力に気づけるかもしれないと考えると少し楽しみでもあるので、就活をゲームのように捉えて頑張っていきたい。
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