私が担当する幾何学Bは、現代的な幾何学を扱う、3年次の講義です。
例年、位相幾何学(トポロジー)の一分野である、結び目理論をテーマに取り上げています。蝶結びした紐は両端を引っ張るとほどけますが、固結びした紐は両端を引っ張ってもほどけません。これは直感的に明らかでしょうが、では、なぜでしょうか? このような問いに答えを与えるものが結び目理論です。実際に授業では、紐をあるルールに従って3色に塗り分けたり、バラバラに分解したりすることで、蝶結びと固結びが区別できることを学習しました。
「紐の結び方が数学になるなんて」と驚くかも知れませんが、生物学や材料科学などにも応用のきく、れっきとした数学です。結び目理論に限らず、大学で出会う数学は、高校までに学んだものとは異なって見えるかもしれません。しかしそれらを学ぶことで、新たな考え方を知り、多角的な視点も身につけることができるようになるでしょう。

