第25回 学生スタッフレポート

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Ladies, be ambitious — 未来のグローバル女子へ

北村 祐子 氏(米国NPO法人JCW代表、日立ハイテクアメリカ Director of Supply Chain Operations)

皆さん、ごきげんよう。

「総合2024」第25回、1月9日(木)の講演は、日立ハイテクアメリカでDirector of Supply Chain Operationsとして24年にわたり活躍されている傍ら、テキサス大学ダラス校で客員教授を務め、また2018年にNPO法人JCW(Japanese Career Women)を創設し、海外で働く日本人女性の支援に尽力されている北村祐子さんにお越しいただきました。さらに、北村さんが津田塾大学国際関係学科の卒業生でいらっしゃることから、この講演は母校の後輩に向けてメッセージを伝える、またとない機会となりました。様々な顔をお持ちの北村さんが今回、『Ladies, be ambitious━未来のグローバル女子へ』というテーマでお話しくださいました。

「何十年か前、私はそちら側に座り、講演を聞いていました。今、こうして皆さんの前に立っていることに非常に驚いています。講演のお話をいただいた時、絶対に受けたい!と思い、今日はテキサスから飛んできました」。冒頭、この講演に合わせてアメリカのテキサス州から、カウボーイスタイルの服装でお越しくださった北村さんが挨拶すると一気に会場がわきました。終始、和やかな雰囲気と北村さんの勇気づけられる言葉の数々に包まれた講演は、北村さんの人生を振り返りながら、「グローバル女子」というものについて考えていく内容でした。

北村さんは、大学在学中にアメリカ・ルイジアナ大学に留学され、それを機に卒業後もアメリカでMBAを取得されたほか、現地でキャリアを積まれました。2012年に日本の親会社へ出向した際に、日本の女性のキャリア構築に対する姿勢や「控え目が美徳」的なマインドにショックを受け、「一人でも多くの日本人女性が、自分らしく世界で活躍できる社会」を目指して、NPO法人JCWの設立に踏み切りました。その流れを汲んで、津田塾大学にもNPO法人JCWの学生支部・Unlimitedが誕生し、本学・学外学修センターのインターン受け入れ先として積極的に学生と交流していらっしゃいます。

そのような活動に励まれる北村さんから、「グローバル女子」と「ドメスティック女子」の違い、なぜ「グローバル女子」を目指すべきなのか、世界に羽ばたく「グローバル女子」になるために大切なことについてのお話を伺いました。その中で、居心地の悪くない現状に安住し、無理に挑戦しようとしない「ドメスティック女子」が近年増加していることに触れ、「グローバル女子を目指してみると、日本をもっと好きになれる」とおっしゃっていました。実際に「外」の世界に自ら赴き、その場所で生きてみたからこそ分かる「内」の世界の素敵な部分━━それに気がつけるほどの視野と心の豊かさを持てることこそ、「グローバル女子」を目指す最大の魅力かつ恩恵であるのではないかと、私は感じました。

また「グローバル女子」の本質として、北村さんは「ネットワーク」、「インスパイア」、「エンパワー」という3つの言葉をキーワードとして挙げていました。まずは「ネットワーク」。私たちの行動のベースはどんな時も「人」であり、それは世界中どこへ行っても変わらないものであることを忘れず、幅と深さのあるネットワークを持つことが大切だそうです。次に「インスパイア」。「自分」というブランドをプロデュースするかのように自分磨きをして、自信を持った生き方をしていくことが大事だそうです。そして「エンパワー」。自分自身が得てきたものを他者に与え、誰かにとっての次のロールモデルに自分自身がなること。その際、等身大のロールモデルとして弱さを見せる強さを持てることが理想だと語ります。「グローバル女子」は単に世界をまたにかける「カッコイイ人」のことではありません。グローバルに生きながら、広い視野と内面の美しさを併せ持つ人。そうした真の「グローバル女子」がたくさん誕生することで、この社会はきっと前進し、明るくなっていくと北村さんは信じていらっしゃいます。

最後に、「働くって、そんなに悪くないよ」という北村さんの言葉が特に心に残りました。仕事にもプライベートにも一生懸命な生き方に憧れる私は、時に周りから「欲張りだよ。背伸びしすぎないで、もう少し現実を見なさい」と言われ、その度に落ち込んだり、「やはり諦めた方がいいのかな」と考えたりすることがありました。そのような私にとって、等身大の姿を偽りなくお話してくれる北村さんの言葉は、理想の生き方を応援してくれる「お守り」のようで、ポンと背中を押してくれ、沈みがちな心をふと軽くしてくれました。誰に何と言われようと、最終的に自分自身で決めたことに責任と納得感を持って生きていけば、きっと大丈夫だしどうにかなるのかもしれないと、北村さんの人生から教えてもらいました。その教えを胸に、今度は私が誰かのお手本になる生き方と、「お守り」になれる言葉を持つ人になりたいと思います。

私が北村さんから温かく力強いメッセージを受け取ったように、皆さんにも「お守り」となる人や言葉との出会いがありますように。

国際関係学科3年 ひまわり

コメントシートより

  • 「嫌になったらやめたらいい」という言葉が印象的でした。Noと言いにくい日本人にとって、これは忘れがちなものです。だからこそ、頑張るところは頑張りながら、体や心を壊してしまう状況なら「すぐにやめる」という選択肢を持つことも必要だと思います。また、北村さんの、バルネラビリティの力という弱さを受け入れるという考え方が非常に素敵だと感じました。ついつい完璧を求めてしまうこの時代において、完璧が全てではないことを受け入れることが大切だと考えました。
  • 「日本人女性の志向が低いわけではなく、環境に原因がある」━━このデータと講師の方の言葉に励まされました。日本の女性活躍が話題に上がる際、「女性はやる気がないから」などと個人の話に転嫁されてしまいがちですが、女性の昇進に対する意欲のデータを見れば決してそうと言い切れないのは一目瞭然だと思います。もちろん個人の「やりたい」という気持ちが必要ですが、環境を整えて「やりたい人がやりたいことができる」場所をつくることが何より大切で、それこそがジェンダーギャップを無くしていくために率先してやるべきことなのではないかと感じました。
  • 本日の講演に参加し、「日本語訛りも個性」という言葉が印象に残りました。私は英語がとても得意ですが、スピーキングに自信がありません。発音が拙いことや流暢に話せないことをこれまで恥ずかしいと思っていたため、なかなか留学や海外旅行に踏み出せていませんでした。ですが本日お話を伺って、「第二言語なのだからネイティブスピーカーのように話せないのは当然のことである」と気づかされ、海外に挑戦する勇気が少し出てきました。
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