第19回 学生スタッフレポート

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地方局だからできる「異色」のドキュメンタリー 全国発信と世界展開

五百旗頭 幸男 氏(ドキュメンタリー映画監督、石川テレビ記者)

こんにちは!

「総合2024」第19回、11月21日(木)の講演は、ドキュメンタリー映画監督、石川テレビ放送記者として活躍されている五百旗頭幸男さんにお越しいただき、「地方局だからできる『異色』のドキュメンタリー 全国発信と世界展開」というテーマでお話しいただきました。

五百旗頭さんは、富山県のチューリップテレビで、営業やキャスターとしての経験を経て、現在は石川テレビ放送のドキュメンタリー制作部に所属していらっしゃいます。講演では、富山県市議会政務活動費の不正利用問題を取り上げた五百旗頭さんのデビュー作品『はりぼて』をはじめ、『異見〜米国から見た富山大空襲〜』、『沈黙の山』、『裸のムラ』に込められた思いや制作背景についてお話しいただきました。

五百旗頭さんの様々なドキュメンタリー映画についてご紹介いただきましたが、いずれの作品にも共通していたのは、常に真の報道のあり方を考え、謙虚さを忘れない姿勢でした。例えば、『はりぼて』では、記者の方が議員の方に不正を問い詰めようとするものの逆に言いくるめられてしまう様子や、この制作を通して記者らが退職や異動となる様子をあえて描いています。このことについて、五百旗頭さんは「メディア不信が高まる中で、自分たちにも刃を向けなければ信頼されない。地方局には良い意味でプライドがないからこそ、おごらず、気取らず、自分たちの恥部をもさらけ出す」とお話されていました。

なぜ、五百旗頭さんはこの姿勢を保ち続けられるのでしょうか。それは、五百旗頭さんが「置かれた場所で咲く」ことを体現しているからだと私は思います。

大学時代、五百旗頭さんは大手キー局への入社を希望されていましたが、悔しくも叶わず、富山のチューリップテレビに入社されました。第一希望ではない環境に嘆くことなく、それを受け入れ、「小さな地方局だからこそできること」を強みに変えていったからこそ、数々のドキュメンタリー映画が完成されたのだと思います。また、このことから、現代のマスメディアの慣習や風潮に染まることなく、自分の視点を貫いた「真の報道」を追求する五百旗頭さんの姿勢も生まれたのだと考えます。

今回の講演で、一見弱みのようであることや思い描いた環境に置かれなかったときでも、自分次第で、その場所で自分の最大限の力を発揮することができるのだと感じました。それは決して妥協ではなく、自分の可能性を広げる積極的な選択であり、その姿勢が新たな価値を生み出す原動力になるのだと学びました。
国際関係学科3年 あかべこ

コメントシートより

  • 環境に言い訳をせず、失うものがないからこそ戦うことができるという下剋上精神がすごいと思いました。私は、敵に回してしまう人がたくさんいるかもしれないと思うと挑戦できないことがありますが、違和感を大切にして、ありのままに挑戦していきたいです。
  • 失うものがないからこそ、多面的な視点でとことん工夫を凝らしてチャレンジを突きつけたというお話に感銘を受けました。社会と自分達に対して向けるアンチテーゼの鋭さに不思議と魅了され、それがドキュメンタリーの魅力なのかと考えました。穴水町の民主主義の話や、今までの人生で触れたことのない富山県の強い保守性に、同じ小さな国で起きていることとは思えないような衝撃を受けました。メディアの形態がどうなろうと、主体的に物事の本質を見抜く力をつけなければいけないと学びました。
  • 私は、2、3年後から始まる就職で、大手の会社に行った方が規律がしっかりしていて、保証も充実、給料も高いなどという理由から大手の会社を目指そうと思っていました。しかし、今回の講義を聞いて、小さな会社は大きな会社と比べて自分が挑戦できることが多いという強みがあることがわかり、挑戦的ではない自分が出てしまっていたなと思いました。私は平和主義的な考えをすることが多いので、自らリスクを背負って行動することに困難を感じるかもしれませんが、挑戦することで新しい景色を見て、新しい自分に出会えると思ったので、会社の規模の大小を問わず、これからも挑戦することを恐れないようにしようと思いました。
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