第22回 学生スタッフレポート

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39歳まで主婦だった私の思いやり経営

藤﨑 忍 氏(株式会社 ドムドムフードサービス 代表取締役社長)

皆さん、こんにちは!

「総合2023」第22回講演は藤﨑忍さんにお越しいただきました。藤﨑さんは日本で最初に開業したハンバーガーチェーンであるドムドムハンバーガーを手掛けているドムドムフードサービスの代表取締役社長を勤めています。

ドムドムフードサービスの代表取締役社長になるまで、藤﨑さんはさまざまなお仕事を経験されてきました。お嫁さんになることが将来の夢だった藤﨑さん。短期大学卒業後にその夢を叶え、結婚・出産されます。専業主婦として邁進する中、39歳のとき転機が訪れます。旦那様が病に倒れ、働きに出ざるを得なくなりました。藤﨑さんは知人の紹介で、渋谷109のアパレルショップで店長として働きはじめます。当時の渋谷109といえば、ギャルの聖地。そして共に働くのは、20代のギャル達。年齢、価値観、育ってきた環境、自分とは全く異なる彼女達と共に働く毎日は、藤﨑さんにとってとても刺激的でした。藤﨑さんは、この頃に経営スタイルの基礎ができたと振り返ります。それは、固定観念にとらわれないこと。自分とは違う部分を持った人を否定するのではなくて、受け入れて尊敬する。渋谷109で働いた5年間は、藤﨑さんの価値観を大きく変えました。アパレルショップを退職した年は、旦那様が脳梗塞で倒れたことも重なり、人生で一番辛かったそうです。そんな中、藤﨑さんは泣いてばかりではいられないと自分を奮い立たせ、家族を守っていくために、起業して居酒屋を経営することを決意します。初めてのことばかりでとにかく不安だったそうですが、自分にできることをコツコツと積み重ね、試行錯誤したことで人気店となり、2軒目をオープンさせるほどに成長しました。当時を振り返って、藤﨑さんは、想像力を培うことができたといいます。例えば、銀行の担当者の方が何を知りたいのかを考えて、融資を受けるために説得する。お店にくるお客様が何を求めているのかを考えて、接客をする。自分の視点ではなく相手の視点から考えることができるようになったといいます。そんな藤﨑さんに、再び大きな転機が訪れます。常連さんに「ドムドムハンバーガーの商品開発として働かないか」とお声がけされたそうです。当時のドムドムハンバーガーは大赤字。会社を再建させるために「役員にしてほしい」と直談判するも断られます。しかし諦めずに提案を続け、その熱意を認められ代表取締役社長になりました。

このようにさまざまなお仕事を経験されてきた藤﨑さんは、自分軸をどのように捉えているのでしょうか。この問いに対して藤﨑さんは、これまで自分軸について考えたことはなく、今回の「総合」での講演が考えるきっかけになったといいます。そして、現在までを振り返り、それぞれのキャリアごとに構築された自分軸を紹介してくださいました。まず、専業主婦の頃には、「家族を守る」「家族に従う」「心を尽くす」「夢中になる」といった自分軸が構築されたといいます。そして、これらの〈限られた環境で構築された自分軸〉を支えに、家族が幸せに生きていけるように何事にも一生懸命に取り組んでいたそうです。つぎに、渋谷109のアパレルショップに勤務していた頃と居酒屋の経営をしていた頃には、専業主婦の頃に構築された自分軸に、「スタッフを守る」「こだわらない心」「他者の尊重」といった〈環境変化で得られた自分軸〉が加わりました。最後に、ドムドムハンバーガー入社後には、これまでに構築された自分軸に「会社と社会への責任」が加わり、〈現在の自分軸〉を構成していると言います。藤﨑さんは、自分軸には変化するものと変化しないものがあり、自分の置かれた環境や周囲との関係性で、変化・増加して現在の自分軸を構成していると考えているそうです。その上で、「自分軸は、持っている程度で良い。縛られることなく、伸びやかにしなやかに生きることが大切。」とお話ししてくださいました。

講演を通して、一番印象的だった言葉は「今、目の前にあることに夢中になることが大切」というものです。起きるかどうかわからない不確定な未来のことを心配するのではなく、たった今の自分と向き合う。アパレルショップ、居酒屋、ドムドムフードサービス、それぞれのお仕事に真剣に向き合い、それらを次のステップへ繋げてきた藤﨑さんのように、目の前のことに夢中になり、その時々の「今」を生きていきたいなと思いました。

国際関係学科4年 橘

コメントシートより

  • 藤﨑さんのお話から、自分軸は今焦って明確にさせる必要はなく、日々変化する環境の中で、目の前のことに丁寧に取り組むことで徐々に明らかになっていくこともあると学びました。
  • 今まで自分軸とはなんだろう、どうやって形成していくのだろうということを考えてきましたが、藤﨑さんの話を聞いて、「自分軸にとらわれない」という考え方を得ることができました。確かに、自分軸ばかりに気を取られて行動の幅が狭まってしまうよりも、広い視野で様々なことを見ることができたほうが良いと思います。自分を見つめ直しすぎると歩みを進めることが困難になるということにも気づくことができました。
  • 目の前のことに夢中で取り組むことで、その先が切り開かれていくという考えが心に残りました。一旦未来のことは置いといて、目の前の課題を一つ一つ乗り越えていくことが大切なんだと実感しました。自分の可能性に限りをつけないで、とにかくやってみることに価値があるんだ、と。失敗して覚えるくらいの感覚で、新しいことにトライしていきたいです。
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