第19回 学生スタッフレポート

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好奇心の見つけ方、深め方、活かし方

新田 浩之 氏(ライター、チェコ政府観光局公認 チェコ親善アンバサダー)

皆さん、こんにちは!
「総合2023」第19回講演は新田浩之さんにお越しいただきました。新田さんはライターとして、鉄道や東欧の社会・文化に関する多種多様な記事を執筆されています。また、チェコ親善アンバサダーとしてチェコの魅力を伝える活動もしています。さらに、鉄道旅行を通して、東欧の歴史や社会について向き合っています。一見つながりがないように思える「鉄道」と「東欧」を関連させて考えられている新田さんの講演を通して、好奇心や物事のつながりを捉え、視野を広げていくことの大切さについて考えさせられました。

新田さんは、「好奇心」をキーワードに、ご自身の経歴に沿ってお話しされました。初めに、「好奇心の見つけ方」をテーマに、小学生から高校生にかけて「鉄道」と「歴史」に興味を持つようになったきっかけについて話されました。神戸市出身の新田さんは、阪神間の鉄道環境により、幼い頃から鉄道の面白さに魅入られ、おばあさまとよく鉄道旅行に出かけていたそうです。現在の鉄道の取材の話を紹介しつつ、津田塾生の多くが使っている「西武国分寺線」の豆知識についても言及されました。また、小学校1年生の頃に、大河ドラマを見たことがきっかけで、歴史に興味を持つようになったとお話しされました。当時は一般家庭にインターネットが普及する直前の時代で、本を通して調べものをするのが一般的でした。歴史や旅行場所について、本を使って熱心に調べ学習をするおばあさまの姿に影響を受け、新田さん自身も本を通して知的好奇心を養うことができたのだそうです。その後、高校生の頃に、春江一也著『プラハの春』を読んだことをきっかけに、東欧の現代史について興味を持つようになりました。新田さんの好奇心がかき立てられたきっかけは、インターネットを介しておらず、書物による影響が大きかったそうです。情報化が急速に進む現代に生きる私たちも、たまにはインターネットを使わずに、丹念に調べ学習を行うのも良いかもしれません。

次に、「好奇心の深め方」をテーマに、ベラルーシの鉄道旅行を通して現地の社会について感じた経験についてお話しされました。「ベラルーシ」という国について、よく知らないという方が多いかもしれません。ベラルーシの公用語は、ベラルーシ語とロシア語でありながらも、ベラルーシ語があまり通じません。現地の駅の表示がロシア語であったり、ベラルーシ語表記では現地の人に理解されなかったりしたことを実感したそうです。その経験を通して、歴史的な背景が、現地の言語に大きな影響を与えていることについて気づいたとお話しされていました。

三つ目に、「好奇心の活かし方」についてお話しされました。大学学部在学中に、史学研究部に入り、自分の研究を発表する活動を行っていたという新田さん。第三者の視点から研究の意義が問われることを通して、思考力を伸ばしたのだそうです。大学院に入学後も、指導教員から大切なことは何であるかを問われ続け、自分が興味のあることをどのように世の中に活かすかを考えるようになったそうです。自分の好きなことを通して他者のために貢献するには、たとえ失敗が多くても挑戦し続けることや大学の授業を大切にすることが重要であるとお話しされました。

今回の講演は、授業の約半分の時間を受講生からの質疑応答に費やしました。そこで、新田さんは、視野を広げることと探究の深さを表した「T字の理論」の概念について言及されました。その他に、ロシア語を公用語としている国で政治的背景により英語が主要言語となりつつあることや、多くの人に日常生活を楽しんでもらうために「鉄道」を題材にした記事を書かれていることについてもお話しされました。今回の講演では、特に言語と社会背景の関係性や発信することを通して他者の楽しみに貢献することの大切さが印象に残りました。私は将来、英語の教員になることを考えています。新田さんの講演を通して、生徒たちにグローバル社会の背景にある文化を考えさせるような授業を作りたいと考えるようになりました。新田さんの講演で学んだ、視野を広げて物事のつながりを捉えることや、言語の背景にある政治や社会について考慮し、生徒たちが楽しみながら学習できるような授業を作りたいと考えました。
英語英文学科3年 紗菜

コメントシートより

  • 好きなことは探すというより、日常生活の身近な好奇心から繋げていくことが大事だと学んだ。
  • 「自分の自分軸は好奇心」とはっきり断言なさったのが印象的でした。新田氏の人生を動かしてきた動力源が好奇心であるからこそ、本当に自分の好奇心を大切にしてきたのが伝わりました。また、そのような知的好奇心を刺激されるよう、何事にも興味を持てるように自分のアンテナを常に張るようにするという言葉が腑に落ちました。自分の好奇心はどこで刺激されるかは自分にもわからないので、自分が興味がないと思い込んでる分野のものも敬遠せずに一度は触れてみる姿勢が大切なのだと気がつきました。また、興味を持った物事をそのままにするのではなくある程度「深める」ことも重要で、興味を持ったことをどのように活かすのかを考え続けるのが大切という言葉にも納得しました。興味を持ったことに対し、より深く考える癖をつけたいと感じました。
  • 好きなもの、興味があるものに対して深めていくことが大切だと学びました。また、何も考えずに生きていくのではなく、常にアンテナを張って生きていこうと思いました。講演を通して、何事も続けていくことが大切で、日々考えたり、何か行動することが自分軸の形成に関わってくるのだと気づきました。そして、やはり授業やゼミ、英語を学ぶことが大切だと感じたので、これからも勉強を頑張っていこうと思います。
  • 好きなことをただ「好き」で終わらせるのではなく、他のものと繋げていき、知識を広げ深めていく。そのためにも自ら動こうとする「積極性」「行動力」が必要である。それらの原動力となる探究心を培っていくことが大切であると、この講演を通して学んだ。そして、何事も現地に行くことが大切だということも聞いてなるほどなと感じた。本で読むだけ、ネットで見るだけでなく、その場に行くことでしか得られなかった感覚、道中で起こる予想外なことも全て経験となり、自分に還元されていくと私は思った。また、講演者の話から「続ける力」も、知識を深める上で大切だと学んだ。私は継続力がなく、いつもすぐに辞めてしまうので、この講演をきっかけに「もう学ぼう」と思うようにしていこうと考えた。
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