第17回 学生スタッフレポート

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想像を超えたところに自分軸はある

和田 靜香 氏(フリーランス、ライター)

皆さん、こんにちは!「総合2023」第17回の講演は、和田靜香さんにお越しいただきました。フリーランスのライターをされている和田さんは、音楽から相撲、政治まで多種多様な題材をテーマに文章を多数書かれている方です。今回の講演では、和田さんを講演にお呼びするきっかけとなった著書『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』を中心に、学生スタッフとの対談形式で、和田さんにご講演いただきました。

まず初めに、和田さんが現在の活動に至るまでのお話を、思い出深い写真と共にお聞きしました。音楽ライターとして活躍していた頃の写真や、アルバイト時代の写真など、様々な写真を見せていただきましたが、特に印象に残った写真は、和田さんが6年間アシスタントを務めていた音楽評論家の湯川れい子氏とのお写真です。和田さんは、湯川氏のラジオ番組にハガキを送り続けていた(いわゆるハガキ職人だった)ことがきっかけとなり、20代の頃に湯川氏のアシスタントとして働いていたそうです。その期間、和田さんは、湯川氏をはじめとする年代の違う様々な人と交流をする機会があり、その機会を通して、考えの幅が広がったり、新しい視点を獲得したりすることができたとおっしゃっていました。このようにアシスタントとして活動していた経験が、現在ライターとして、様々な人と出会い、お話を聞き、聞いたことを元に自分の考え方や感じたことを深め、文章にしていくお仕事に繋がっているのではないか、と私は感じました。

次に、先述した著書についてお話をお聞きしました。和田さんの著書『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』は、現在衆議院議員で、立憲民主党所属の小川淳也氏と、日本の政治について語り合ったことを元に、和田さんを含む多くの日本市民の生きづらさや悩みを解決へと導くことを目指した本です。著書についてのお話の中で、和田さんは、元々政治に関心があったわけではなかったけれど、政治家である小川さんとの対話を続けていくうちに、政治は自分自身の生活に直結していることに気づき、自分の意見を言えるようになった、とおっしゃっていました。私は今まで、政治は自分とは関係のないもの、はるか遠いものだと思っていましたが、実際は、身近な自分の生活と繋がっていて、自分の政治との関わり次第で、もっと自分が生きやすくなるということを、和田さんのお話から知ることができました。

今年度の「総合」のテーマである「自分軸」について、和田さんのお考えをお聞きしました。和田さんは、「自分軸とは、自分が想像もしていなかったようなところにある」と考えています。つまり、自分軸とは、決して揺るがない一つの固定されたものではなく、他者との関わり合いの中で、自分が今まで出会ったり感じたりしたことがなかったようなもの・ことに出会い、自分の考え方や感じ方が自由に変容していくものである、と考えているそうです。そして、他者との対話により、自分の価値観が大きく変わっていく過程で、自分の想像を遥かに超えた新たな境地にたどり着くことが可能になるかもしれない、と和田さんはおっしゃっていました。和田さんのお話を通して、私は、もしこのように生きることができれば、自分の人生をもっと楽しく、もっと刺激的なものにすることができるのではないかと、自分軸と共に前向きに生きるためのヒントを得ることができました。

最後に和田さんは、受講生に伝えたいこととして、「自分と他者との対話を通して、物事に対する自分の視点を切り替えていくことが大切である」とおっしゃっていました。政治の話を含め、他者と様々な物事について対話を重ねる場は、自分にはない新しい考え方や感じ方に出会う場であり、自分の持つ視点とは全く異なる視点を得ることができる場であり、その上で、自分というものがより多面的、多層的に形成されていく場でもあります。今回のご講演で、和田さんと対談をさせていただき、他者との対話の中で、他者の持つ意見の新鮮さや、自分と他者の持つ意見の違いの面白さに気づくという経験をすることができました。
国際関係学科2年 マーマレード

コメントシートより

  • 「対話によって新しい自分を手に入れる」という和田さんの話から、他者を知ることは自分を知ることなのかもしれないと感じた。私は他の人との会話、本やブログの中から自分の好きな言葉や共感できるフレーズを見つけて書き留めることが多く、そのときには新鮮に感じた言葉があとから見返してみると自分の一部になっていると感じることがある。普段無意識に考えていることを言語化することは難しいことだと思う。私たちはなんでも「新しく生み出すこと」に価値を見出しがちだが、他者によって言語化された言葉を自分に落とし込むことも大切だと感じる。また、集められた共感できる言葉だけで自分を説明する重要な材料になるのだろうと改めて思った。
  • 今回の講演を通して、自分にはない価値観を対話を繰り返して感じ取るということの難しさと面白さについて学ぶことができました。和田さんが受け入れることのできない価値観の根源にある考えを、対話を通して理解したという点にこそ、自分軸と他人軸のすり合わせがなされているように感じました。自分を押し殺す、相手を拒絶するのではなくて自分の考えを持ちながら相手の考えを理解しようとする過程で自分軸というものがみいだせられ、改革されていくように感じました。
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