第12回 学生スタッフレポート

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自分軸は自分ひとりで考えても見つからないものらしい。

田中 史緒里 氏(keuzes 代表取締役)

皆さん、こんにちは!
「総合2023」第12回講演は田中史緒里さんにお越しいただきました。田中さんは女性の体型に合うメンズパターンのオーダースーツを手掛けるブランド「keuzes」の代表取締役をされている方です。

田中さんが現在このような活動をされている背景には、田中さん自身が抱えてきた悩みがありました。幼少期からかっこいいものが好きでボーイッシュだったという田中さんは、成人式で着る服装に迷ったそうです。振袖は着たくないのでスーツが良いと考えたそうですが、当時人の目を気にしていた田中さんは、地元のスーツ店に行くことで、店員にどう思われるかということや友達に偶然会ってしまう可能性を考え、店舗に行くことを躊躇い、成人式に参加しなかったそうです。時が経ち、友人の結婚式に出席する際にも着る服装に迷われた田中さん。この時は、なんとかセットアップを用意して参加されたそうです。後に田中さんは、自分と同じように服で悩んでいる人が他にもいることを知ると、誰かが悩みを解決してくれるだろうと考えるのではなく、自分でその悩みにこたえるブランドを作ろうと考えました。

自分と同じように悩んでいる人に寄り添いたいという思いから生まれたkeuzesは店舗を持たず、田中さんが全国を飛び回ってスーツを販売しています。全国を回り、お客様の悩みを聞く中で、その悩みにこたえる形でkeuzesでは生理用ナプキンが付けられるボクサーパンツの販売やLGBTQ+ウェディングサービスの展開も行うようになりました。

自分が生きたいように生きることができる、そのための選択肢を提供することを大切にしている田中さんは自分軸をどのように捉えているのでしょうか。自分軸は何か考える時、一旦自分のことを深く知ろうと考えますよねと田中さんは話しました。もちろんその時間も必要ですが、田中さんは自分軸は自分ひとりで考えても見つからないのではと考えています。この世に自分しかいなかったら「かわいい」も「かっこいい」もないですし、色んな人との出会いの中で自分の好き嫌いが見えてくることもあります。田中さんには、このように考えるようになった転機がありました。上京したばかりの頃に働いていたコールセンターの職場でのことです。その職場はメンバーの半分がLGBTQ当事者であり、一人一人がオープンに自分のことを話していました。それから田中さんは自分がこういう人間だと誰かに伝えることができるようになったそうです。田中さんはコールセンターの職場で色んな人の生き方を見て、自分もこんな生き方が良いと思いました。自分軸は誰かとの関わりの中で見つけていくもの、それはつまりアップデートされていくものだと捉えることもできると話されていました。そのようにして、「自分はこっちの考え方の方が好きかも」と自分は何がしっくりくるのか分かってくるようになるそうです。

講演を通して、私が一番印象的だった言葉は「正解というより今はこれが好きを見つけるだけで十分」というものです。私は自分軸を考えるとなると、自分の人生において一本筋の通った普遍的な指針のようなものを想像していました。しかし、田中さんの言葉を聞いて、「今はこれが好き」の積み重ねが自分の大切にしている価値観の形成に繋がるのだと感じました。そう考えるとあまり肩肘張らずに考える方が良いのかもしれないと思うようにもなりました。この文章を読んでくださっている皆さんの自分軸は何ですか?分からないと思う人も多いと思いますが、自分の大切にしていることは案外近くにあるのかもしれません。
国際関係学科3年 シンシン

コメントシートより

  • 同じ悩みを抱えている人はたくさんいて、誰かがその悩みを解決するための挑戦をしたら幸せになる人がたくさんいるのだということがわかった。紹介動画の、成人式に参加した人たちの表情を見れば田中さんの事業がどれだけ人を救ったのか一目瞭然だった。自分は悩みを何か形にできるような案は持っていないし、実現する勇気もビジョンもないけど、頑張ってみたくなった。
  • 自分のためにやったことは失敗にはならない、という言葉は自分にとって新しい考え方でした。田中さん自身、「成人式に何を着たら良いのだろう。」という自分自身の悩みから行動を起こし、今があるのだと思います。自分が在りたい姿を大切にし、自分の生き方に対して諦めや妥協せずに生きられるように、というのは簡単なようで最も難しいことだと私は感じます。何か行動を起こすときに「自分のために」というより「誰かのために」とした方が、上手くいかなかったときにダメージが少ないように、私は考えてしまうからです。でも、無意識のうちに見えなくなっているかもしれない自分の大切にしていることに目を向け、まずは「自分のために」何かしてみようと思うことが、実は一番大切なのかなと気づきました。
  • 自分のリアルな悩みから「ないなら作ればいい」という考えで起業をして実際に実行できていることがとてもすごいなと思いました。また、自分が今持っている悩みを自分だけしか持っていないと思って抱え込んでしまっている人に、そのような悩みを持っている人は社会にたくさんいて、それは当たり前にある考えだよと伝えることで救われる人が世の中にはたくさんいると学びました。
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