第10回 学生スタッフレポート

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表現することをやめないで

蒼井 ブルー 氏(文筆家・写真家)

9月7日の「総合2023」第10回講演は、文筆家・写真家の蒼井ブルーさんに講演していただきました! 講演の前半は、蒼井さんの写真家としての作品や経歴をご自身の感想も交えながら面白く紹介してくださいました。後半では、蒼井さんに寄せられる恋愛相談をランキング形式で発表していくコーナーを用意してくださり、言葉に誠実で温かい蒼井さんらしく、それぞれの相談に回答してくださったのが印象に残りました。

講演中に蒼井さんが仰っていたことで、半年経っても印象深く覚えていることが二つあります。一つ目は、失恋した時はその気持ちを誰かに聞いてもらうこと。話す人がいないなら、書き出してみる。特に、公開されているところで、誰かが見るものだと意識して言葉を選んで気持ちを書くと、より自分の本心がわかるということです。普段から、恋愛についてご自身の考えや気持ちをSNSに投稿している蒼井さんだからこその視点だと思いました。誰かが読むことを想定して書くということは、一つのことを何周か考えて言葉を選んでいかなくてはいけないと思います。その作業の過程で自然と自分の気持ちに深く向き合うことになっているのだと気づかされました。

ここで個人的な話になりますが、先ほど「半年経っても」と書いたことについて、どうして半年もこのスタッフレポートが書けなかったのか少し言い訳をさせてください。私は、半年前に大学を辞めることを決めていました。それに伴い、「総合」スタッフとしての活動からも離れていたからです。決して後ろ向きな理由ではなく、大学で学んでいた専門とは別に挑戦したいことができたからです。この選択をする意思は固まっていても、自信を持って言い切れず不安でした。この講演の内容に絡めるなら、恋人に別れを切り出さなくてはならないような心境です。「総合」の受講生や一緒に活動をしてきた「総合」スタッフの中には、研究や就活に忙しい人だっていて、それぞれ大変なことがあっただろうに、「大丈夫!」と言ってやり過ごしていました。後になって、大丈夫って言って真剣に考えようとしないと仲間から怒られるのですが、あれは多分、自分に言い聞かせていたのだと思います。全然大丈夫じゃなかったから。今、初めて誰かが読むところで不安だった気持ちを書きました。蒼井さんが言っていたように、本当に頭が整理されます。みなさんも自分の経験に重ねて考えてもらえたらと思います。

蒼井さんの講演で印象に残っていることの二つ目は、「好き」とはっきり言うことです。意外と恥ずかしくて誤魔化してしまう人が多いけど、言葉にしないと伝わらないよ!と蒼井さんがツッコミを入れていたのが印象的です。確かにはっきり言葉にするのって避けがちですが、言わなきゃわからないですよね。蒼井さんの恋愛相談への回答は冷静で、誰も改まって言ってくれないことに気づかせてくれるようでした。恋愛に限らず、自分たちの日常の言葉遣いや表現を振り返る機会になったのではないでしょうか。この講演以降のみなさんの日常がより楽しいものになっていたら嬉しいです。

最後に、こうして私の書いたレポートを読んでくださるあなた、依頼文を読んで快く講演を引き受けてくださった蒼井さんと今までの講師の方々、たくさんの言葉を表現してきた先人の皆様のおかげで、私の言葉を大切にできています。ありがとうございます。

情報科学科3年 ビスケット

コメントシートより

  • 失恋に関して、自分が振る側にいるのだったら一生会わないし、そんな関係になることは2度とないことを覚悟しなければいけないと言う言葉、振られる側ならそこまで相手に思われてしまっていると言うことを認識すべきだと言う言葉が響いた。 全体を通して言葉選びとか考え方が素敵だと感じた。
  • 勝手に、自分の中で恋愛に対して嫌悪感を抱いていたりしましたが、もっと大切に向き合っていかなければならなかったな、と思います。恋愛は恋愛というカテゴリーの中で収まるだけでなく、私の生活に直接影響を与えてくる大きな存在なのだということがわかりました。
  • 「言葉」が持つ力の大切さを改めて感じました。その中で、恋愛は言葉を最大のツールとするもので、恋愛でしか得られない感情がたくさんある。「会話」が二人の関係性を深めたり、別れる前に好きだったところを伝えることで相手の心に自分が残ったり、というように言葉が人の心に与える影響の大きさを、今回は「恋愛」というものを通して改めて感じました。
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