第6回 学生スタッフレポート

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言語学者の世界冒険紀行: 「他人軸」から「自分軸」へ

佐藤 陽介 氏(津田塾大学 学芸学部英語英文学科 准教授)

6月1日の「総合2023」第6回講演は、津田塾大学学芸学部英語英文学科の佐藤陽介先生に講演していただきました!

会場の特別教室に笑いが溢れる講演で、佐藤先生が言語学の研究を始めたきっかけ、パートナーYulianiさんとの出会いなど、佐藤先生の人生に起きた衝撃的な出来事を「雷様」として面白く紹介していただきました。
どのエピソードも面白くて、なんとなく感じていたことがうまく言語化されるような発見の連続でしたが、中でも3つ目の雷様が私の印象に残っています。それは、人生の仕組みを佐藤先生なりに理解できた経験です。
この雷様についての話は、佐藤先生のシンガポールでのテニュアトラックについてのお話から始まりました。
2009年から、シンガポール国立大学での2年間研究員時代を経て、助教授となったときに、世界にインパクトを与える研究をし、5年間で結果を出すというミッションを与えられたそうです。それは同時に、シンガポールでの終身在職権を賭けた戦いでした。当時の佐藤先生は、とてつもないプレッシャーと掛け持ちのタスクに追われ、例えようのない精神状態だったそうです。
テニュア競争にやっと終わりが見えた頃、3人のお子さんが誕生し、家庭での時間が増えたそうです。落ち着いたかと思ったときに、今度はYulianiさんの乳がんが見つかりました。「もうだめかもしれない」という気持ちだったそうです。不安や悲しみの中でも、手術やあらゆる治療を探り、改善へ向かっていきました。当たり前にそばにいてくれた大切な人が辛そうなとき、すごく不安になると思います。しかし、ひと段落ついたところに現れる困難に対し、どうしたら良いのか、何が今一番大事なのかを選択し、佐藤先生は乗り越えていきました。そんなシンガポールでの研究中に雷様は落ちてきました。
研究とは、
  1. 仮説を立てる
  2. 検証する
  3. 成功したら、他の場合で仮説を検証する/失敗したら仮説を立て直す
  4. やり遂げる

この4つの繰り返しです。何かが順調なときは、別のことがうまくいかなかったり、問題が解決すると、また別の問題が起きたり、研究は佐藤先生の人生の縮図だと発見されたそうです。このお話は私にとっても発見でした。大きな問題も些細な問題も、うまくいかないことを繰り返して思考錯誤をしてきたからこそ、これまでの経験から成長してくることができたのだと思います。 多くの研究を積み重ね、さらに、研究を通してこれまでのご自身の経験の理解を深めた佐藤先生は、私たち学生に向けて、経験と感動を積み重ねて自分を輝かせることが人生の意味なのではないかと提案してくださいました。研究を進める中で受ける批評や壁と同じく、人生においても失敗や困難があります。しかし、失敗や苦しみこそが自分の経験となり、自信を与えるものとなるかもしれない、と教えてくださいました。先が見えなかったり、一歩を踏み出すことができなかったり、その時に感じる不安な気持ちは、辛いだけのものではなく自分を磨くための修行と捉えると少し勇気が湧いてきそうです。
今回、学生時代から遡ってお話ししていただいた佐藤先生の経験には、私たちにも共通点があり共感する場面もあったのではないでしょうか。一方で多彩な出来事は学生の私たちにとっては想像もできない驚きがあり、影響を与えてくれるお話だったかもしれません。しかし、佐藤先生は、「これは私の生き方です。あなたの生き方ではない!!!」とおっしゃっています。今回の佐藤先生の講演をきっかけに、私たちの生き方を見つけていきたいです。
情報科学科3年 ビスケット

コメントシートより

  • 大学生である20代は修行であり引き出しを増やす時代ということで、今の私が今後花咲くために大事な時期であることを再認識しました。
  • 今すぐにでも自分の引き出しを温めたいという気持ちになりました。
  • 将来なりたい職業があって、もしなることができても幸せになれるかはわからない、ということにハッとしました。今私にはなりたい職業があります。でもそれになることだけを目標にせず、目の前の課題を苦しみながら越えていこうと思いました。
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