第3回 学生スタッフレポート
自らの立ち位置を知る:私と沖縄
元山 仁士郎 氏
(「辺野古」県民投票の会元代表/一橋大学大学院 法学研究科 博士課程)
「総合2023」第3回講演、5月11日は元山仁士郎さんにお越しいただきました。元山さんは、出身地である沖縄の問題と向き合い活動されているご自身のお話を通して、自分軸はどのようなものか、また、自分自身を社会的な属性から見た際の立ち位置と、それを踏まえた自分や社会問題に対する向き合い方について、お話ししてくださいました。
まずはじめに、元山さんは「自分はどのような立ち位置(属性)にいるのか」「様々な社会問題に対して自分はどの位置にいるのか」という2つの問いをあげられました。そして、ご自身の立ち位置について、人種・皮膚の色・性・言語・宗教・社会的出身・財産という7つの項目から説明されていました。これを聞き私は、自分軸とは、一本筋の通ったものではなく、複数の属性が絡まり合ってできているものであり、複数存在する可能性もあると感じました。
元山さんの立ち位置の一つには、沖縄出身であること、特に沖縄の中でも周辺に当たる奄美や宮古島・国頭にルーツを持っていることがあります。しかし元山さんは、高校生の頃までは沖縄の問題を身近に感じたり考えたりしたことはなく、東京に出て当時話題になっていた普天間基地について意見を聞かれたとき何も答えられなかったと言います。このとき、何も知らずに恥ずかしいと感じたことがきっかけで、勉強したり、自身の沖縄での経験を言語化したりするようになったそうです。また、この時期に東日本大震災によって福島第一原発事故が起こり、日本が様々な問題を抱えていることを知ったことも、元山さんの活動のきっかけになったそうです。
沖縄の大きな問題として、日本にある米軍専用施設の7割が沖縄に集中していることがあります。この状態は、戦後アメリカが沖縄を占領していたため軍用施設を置きやすく、当初は本土に置かれていた基地を沖縄に移設したことによるそうです。一般論としてよく言われるように、軍事的・地理的に沖縄である必要性があったり、沖縄の経済が米軍基地などによって支えられていたりするわけではないということでした。また、米軍基地の設置により事件や事故、騒音や環境汚染などの被害を受けているにも関わらず、決定権がありません。元山さんらの活動もあり、実施された全県での住民投票では、反対が7割を超えましたが、実施前からこの投票の結果は考慮されないと言われるなど、沖縄の人々の意志は政策に反映されないのです。
このような現状がある中で、沖縄の基地負担軽減ができないことについての政府の説明が「移設先となる本土の理解が得られない」というものであったこと、さらに、この例えとして元山さんがおっしゃっていた「なぜ女性ばかりが家事をやるのか、男性でもできるじゃないか」というのに対して「男性の理解が得られないから女性にやってもらうんだ」と言っているのと同じだ、という言葉にとても衝撃を受けました。沖縄は自ら望んで、必要として米軍基地を置いている訳ではなく、住民投票の実施や基地移設反対を訴える県知事や市長が当選しても、決定権があるようで実際には決定権もないままに負担を負っているということでした。
「自分で選んでいると思っていても選ばされているかもしれない」「後で気づいても自分で選んだんでしょう、自己責任だ、と言われてしまう」と元山さんは言います。これを聞いて私は、自分で選んでいると思っているものを俯瞰して見つめ、批判的に検討する必要があると感じました。特に、自分軸や進路の決定など、自分の経験と意思によって決めているように思われることも、何かに選ばされていることがあるのだと考えさせられました。
沖縄出身というご自身の立ち位置ならではの活動を10年近くも続けられている元山さんは一見、一本筋の通った自分軸をお持ちのように感じられます。しかし、元山さんは「自分軸は日々変化するもの」だと言います。自分自身の属性や社会問題を様々な角度から見つめられている元山さんのお話をお聞きし、ある側面ではマイノリティや当事者であっても、他方ではマジョリティや非当事者である、というようなことは多くあり、自分軸はあるかないか、自分の自分軸は何か、というように端的に考えることはできないのだと感じました。そして、自分の中の様々な側面や属性に目を向け、自分軸について多角的に考えていきたいと思いました。
まずはじめに、元山さんは「自分はどのような立ち位置(属性)にいるのか」「様々な社会問題に対して自分はどの位置にいるのか」という2つの問いをあげられました。そして、ご自身の立ち位置について、人種・皮膚の色・性・言語・宗教・社会的出身・財産という7つの項目から説明されていました。これを聞き私は、自分軸とは、一本筋の通ったものではなく、複数の属性が絡まり合ってできているものであり、複数存在する可能性もあると感じました。
元山さんの立ち位置の一つには、沖縄出身であること、特に沖縄の中でも周辺に当たる奄美や宮古島・国頭にルーツを持っていることがあります。しかし元山さんは、高校生の頃までは沖縄の問題を身近に感じたり考えたりしたことはなく、東京に出て当時話題になっていた普天間基地について意見を聞かれたとき何も答えられなかったと言います。このとき、何も知らずに恥ずかしいと感じたことがきっかけで、勉強したり、自身の沖縄での経験を言語化したりするようになったそうです。また、この時期に東日本大震災によって福島第一原発事故が起こり、日本が様々な問題を抱えていることを知ったことも、元山さんの活動のきっかけになったそうです。
沖縄の大きな問題として、日本にある米軍専用施設の7割が沖縄に集中していることがあります。この状態は、戦後アメリカが沖縄を占領していたため軍用施設を置きやすく、当初は本土に置かれていた基地を沖縄に移設したことによるそうです。一般論としてよく言われるように、軍事的・地理的に沖縄である必要性があったり、沖縄の経済が米軍基地などによって支えられていたりするわけではないということでした。また、米軍基地の設置により事件や事故、騒音や環境汚染などの被害を受けているにも関わらず、決定権がありません。元山さんらの活動もあり、実施された全県での住民投票では、反対が7割を超えましたが、実施前からこの投票の結果は考慮されないと言われるなど、沖縄の人々の意志は政策に反映されないのです。
このような現状がある中で、沖縄の基地負担軽減ができないことについての政府の説明が「移設先となる本土の理解が得られない」というものであったこと、さらに、この例えとして元山さんがおっしゃっていた「なぜ女性ばかりが家事をやるのか、男性でもできるじゃないか」というのに対して「男性の理解が得られないから女性にやってもらうんだ」と言っているのと同じだ、という言葉にとても衝撃を受けました。沖縄は自ら望んで、必要として米軍基地を置いている訳ではなく、住民投票の実施や基地移設反対を訴える県知事や市長が当選しても、決定権があるようで実際には決定権もないままに負担を負っているということでした。
「自分で選んでいると思っていても選ばされているかもしれない」「後で気づいても自分で選んだんでしょう、自己責任だ、と言われてしまう」と元山さんは言います。これを聞いて私は、自分で選んでいると思っているものを俯瞰して見つめ、批判的に検討する必要があると感じました。特に、自分軸や進路の決定など、自分の経験と意思によって決めているように思われることも、何かに選ばされていることがあるのだと考えさせられました。
沖縄出身というご自身の立ち位置ならではの活動を10年近くも続けられている元山さんは一見、一本筋の通った自分軸をお持ちのように感じられます。しかし、元山さんは「自分軸は日々変化するもの」だと言います。自分自身の属性や社会問題を様々な角度から見つめられている元山さんのお話をお聞きし、ある側面ではマイノリティや当事者であっても、他方ではマジョリティや非当事者である、というようなことは多くあり、自分軸はあるかないか、自分の自分軸は何か、というように端的に考えることはできないのだと感じました。そして、自分の中の様々な側面や属性に目を向け、自分軸について多角的に考えていきたいと思いました。
国際関係学科4年 どんぐり
コメントシートより
- 講演を通して、沖縄の基地問題について知るにつれて、この問題を抱えている日本に住んでいる私は何をしているのか、何者なのか、どんな自分軸を形成しているのか考えなければいけないと気がつきました。
- 私が今回の講座で学んだことは、ニュースなどを見てそれを情報としてただ受け流すだけではなく、自分の中で「本当に良いことなのか、悪いことなのか」かみ砕いたり、その事案において自分はどういう立場なのか考えるという事を学びました。私の中で自分の人種やセクシュアリティーなどの客観的な枠で自身を認識した事がなかったのではっとさせられました。認識することで自分を客観的に捉える機会が増えたり、新たな視点を持てると思います。それは「自分軸」を見つける事と大きく繋がると思いました。
- 一つの問題に対して様々な立場の人の視点から考えるのが大切だということがわかりました。また、物事を自分で選択してきたように見えて実は社会の圧力などによって選ばされていることがあるという言葉も印象に残りました。自分自身に常に問いかけながら自分軸をつくっていく必要があると思いました。