第17回 学生スタッフレポート

  1. HOME
  2. 大学案内
  3. 第17回 学生スタッフレポート

自分の心と向き合う時間

かわにし みき 氏(美容系動画クリエイター)

こんにちは!「総合2022」第17回、10月27日(木)の講演は、美容系動画クリエイターの“みきぽん”こと、かわにしみきさんにお越しいただきました。今回は、総合スタッフとの対談形式で講演をお届けしました。もともとファッション雑誌を読むのが好きだった、かわにしさん。雑誌『Popteen』のオーディションをきっかけにモデルの仕事をするようになりましたが、モデルは自分に合わないかもしれないという違和感に葛藤していたころYouTubeと出会い、現在の活動に至っています。

最初の対談テーマは、「コンプレックス・おしゃれ・メイク」についてでした。
まずは、よりおしゃれになるために、顔の色みの種類であるパーソナルカラー(主にイエローベース・ブルーベース)や、身体つきの種類である骨格診断(主にストレート・ウェーブ・ナチュラル)で自分を知ることが良いという近年の風潮について、質問をしてみました。かわにしさんは、パーソナルカラー診断を受けてとりあえず枠にはまってみたこともあったそうです。しかし、自分が好きなメイクと、診断で似合うとされているメイクが合わないこともあると感じてからは、「自分が似合うものは自分が一番よく知っているので、自分の好きなものを大切にしている。」とおっしゃっていました。こういった経験から、おしゃれのためにパーソナルカラーや骨格診断のような枠を上手く活用するのは良いと思うけれど、「私はイエローベースだからこの色を使ったメイクは似合わない」というように、そういった枠を否定の材料に使わない方が良いと思います。と受講生にアドバイスを送ってくださいました。

最初のテーマで印象的だった言葉は、かわにしさんのコンプレックスは何かを尋ねた際、コンプレックスをあえて明言しないようにしていると答えられたことです。私は、この答えにかわにしさんの自分の守り方の一つが垣間見えたように感じました。自分でわかっているコンプレックスをYouTubeのコメントなどを通して言われるとやはり傷ついてしまうとご自身で感じたことから、「自分のコンプレックスはここだ」と口に出して言うことで強く認めすぎるのも良くないと話しておられました。もちろんコンプレックスと向き合うべき場面はありますが、コンプレックスと向き合うことと、「ここがコンプレックスだ」と思い込むことのバランスの調整が大切だとこのお話から学ばせていただきました。

次の対談テーマは、かわにしさんのご著書『不適合ガール』にちなんだ「不適合」についてでした。著書執筆の仕事は、仕事のご縁からオファーをもらい、自分の人生を形として残したいのと、不適合だと日頃思っている方や、生きづらさを感じている方の少しでも役に立てればいいなという思いから引き受けられたそうです。『不適合ガール』というタイトルは、是非を問わずに校則を守るなど、周りが当たり前のようにやっていることを当たり前だと素直に受け入れることができなかったご自身を表したものだとおっしゃっていました。ここで印象的だったのは、「ドキドキワクワクする場所が、自分が適合している場所」という言葉です。かわにしさんにとって「ドキドキワクワクする場所」はYouTubeだったといいます。かわにしさんはこの場は自分に合わないかもしれないと思ったら、そこから離れて「ドキドキワクワクする場所」を自ら探しに行った結果、YouTubeという自分が適合している場所にたどり着いています。学校や会社など組織という枠に所属している状況に置かれると、どうしてもその環境でどうすべきかと考えてしまうと思います。ときには、そこから出るのが怖いから、心をすり減らしてでもそこに留まってしまうこともあるかもしれません。しかし、こういった姿勢は自分の本音と向き合っているとはいえないと思います。適合する「枠」は何かと自分から探すかわにしさんの姿勢は、自分の本音と向き合うことにも繋がると私は感じました。

最後の対談テーマは、「総合2022」のテーマである「自己理解と枠」でした。かわにしさんにとっての「枠」は、学校など決まりごとが多い環境や、多数派の意見やそういった意見を当たり前だと思うことだと話してくださいました。かわにしさんは学校に通っていた頃、「当たり前」に対して疑問を持ち続けることが多かったそうで、「枠」があることで自分の行動範囲が狭くなったり生きづらさを感じたりといった弊害があると考えていたそうです。一方、今は事務所に属していることで、自分の動画制作に集中できるという経験から、様々なことがスムーズに決まる「枠」が、あることの良さにも気づくことができたとおっしゃっていました。また、YouTubeのコメントを例に挙げて、自己理解のお話もありました。コメントには自分のためになるような意見・アドバイスがあるので、やはり自己理解には他者の存在が重要だと感じているそうです。しかし、やみくもに他人の意見を受け入れるのではなく、自分の中にある信念と折り合いをつけながら改善を心がけているそうです。
そして、自己理解と枠に関連して、決断に際して大切なことについての話にも広がりました。「少しでも興味があるなら明確な理由がなくても始めてみたら良い。始めたことが合わなければやめても良い。もしそのことで誰かに何か言われても、自分にそれが合うか否かを確認しただけだと思えば良い。」と受講生にエールを送ってくださいました。決断には後悔してしまうのではないかという迷いがつきものです。かわにしさんは、通っていた高校がご自身に合わなくてやめるか葛藤していた時期を例に出して、目を潤ませながらも自分の心に寄り添った決断が自分でできて良かったというエピソードを話してくださいました。誰かに言われたことに沿って生きることも不可能ではありませんが、上手くいかなかったときにその人が責任をとってくれるとは限りません。自分の人生を生きるのは自分だからこそ、正解は自分で決めれば良いという力強いメッセージで講演が締めくくられました。

今回の講演を通して、自分が自分の人生の主人公になっているかわにしさんの生き方や姿勢が、講演中のお言葉に表れていたと思いました。だからこそ、最後の「正解は自分で決めれば良い」というメッセージに説得力があると感じました。新しいことに挑戦するときには、自分の本音に耳を傾けて決断することを大切にしたいです。

国際関係学科4年 あじさい

コメントシートより

  • 自分が似合うものは自分が一番知っている、という言葉が印象に残り、例え他の人から何か言われてもそれを一つのアドバイスだと捉え、無理して合わせて自分を苦しめないようにしようと思った。今回の講義を通して、自分の信念を大切にすることが重要だと感じたので、信念を大切にしつつ自分を好きでいるために、いろんなことに挑戦してみて視野を広げ、枠とうまく付き合っていこうと思った。
  • 「好き嫌いは人それぞれ」とのかわにしさんのお言葉を聞いたとき、普段から聞くそのフレーズが全く違った意味を持った言葉に聞こえました。レールがあらかじめ敷かれているといったような枠にはまる良さもありますが、その枠を意識しすぎてしまうと、10人いれば10人の考えや意志があることを忘れかけてしまうような危うさがあると感じました。自分の物差しを大切にしながら枠を活かしていく。このバランスは本当に難しいとご講演を聞きながら思いましたが、この焦っている自分すらも枠に囚われているのではないかとハッとしました。自分の好きなものを大切にしながら、ゆっくりと「自分の居場所」を探し続けていきたいです。
  • 「周りにどう思われるとかは関係なくて少しでも興味があればやって欲しい、辞めることはいつでも出来るから。」というかわにしさんの言葉に大事なことに気づけた自分がいました。普通から外れるのが怖く、行動に移せない自分がすごくバカバカしく思うことが出来、今後少しでも興味のある事にはトライできるうちに頑張ってやってみようと思いました。また、社会不適合でもいい、必ず適合できる場所があるという言葉にも励まされました。必ずしも枠にとらわれなくても良い、自分は自分で良いということを学ぶことが出来ました。「型にはまると抜け出せなくなる。」これはメイクだけではなく人生においても同じことが言えると思いました。かわにしさんから最後にかけて貰った「誰かになんと言われても自分が軸になって行動すること」を意識し後悔ないように生きていきたいです。
Copyright©2019 Tsuda University.
All rights reserved.