第15回 学生スタッフレポート

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自信がないのはなぜ?
自分らしいリーダーシップの磨き方

角 めぐみ 氏(NPO法人ハナラボ 代表理事)

皆さん、こんにちは!

「総合2022」第15回、10月13日(木)の講演は、女子大学生が社会課題の解決に挑みながら、リーダーシップや創造力を育むことができるプロジェクトを提供する、NPO法人ハナラボ代表理事の角めぐみさんにお越しいただきました。今までたくさんの女子学生と向き合い、学生の本来の力や可能性を引き出してきた角さんからは、ハナラボ流の自信のつけ方についてご講演いただきました。

まず、角さんが代表を務めているNPO法人ハナラボの主な活動についてお話下さいました。ハナラボでは、女性が本来持つ力を発揮できる社会を実現させるために未来の社会変革の担い手を輩出するというミッションを掲げ、女子学生に向けて様々なプロジェクトを提供しています。例えば、女子学生が学生記者となって、取材や記事の作成・発信までを手がけるWebマガジン「ハナジョブ」、女子学生が自治体や企業と協力をして、社会課題を解決するためのデザインを提案・実践するソーシャルデザインプロジェクト、そして、社会人女性がサポーター(ハナラボチア)となり、女子学生のお悩み相談に乗ってくれる「1on1 Talk Room」などがあります。講演の中で様々な過去のプロジェクトを紹介いただいたのですが、その中でも角さんは、長野県塩尻市のふるさと納税の返礼品を作るプロジェクトが特に印象に残っているとおっしゃっていました。短い期間内で企画から商品化までを行うという大変ハードなプロジェクトでしたが、多くの困難に直面しながらも勇敢に立ち向かい、成長していく女子学生の姿を見て、角さんは女性が中心となって活躍できる「場」の大切さを体感したそうです。このように角さんは、女性が自由に自身の能力や可能性を引き出せる「場」をたくさん作り出しています。

次に角さんは、NPO法人ハナラボを始めた理由をお話くださいました。ハナラボを設立した理由には、2つの背景があるそうです。

1つ目は、社会的背景です。昔よりもだいぶ男女の格差は縮小しましたが、日本にはまだまだ格差が根付いていると考えられます。それは、2022年の日本のジェンダーギャップランキングが146か国中116位、管理職に於ける女性の比率が8.9%という数字を見ても、一目瞭然です。このように女性が活躍できる場が少なすぎるという日本の現状に対し、角さんは問題意識を持っていました。それに加え、角さんは女性の自信の無さにも着目しました。ある統計によると、自分に自信がある日本人女性の割合はたったの9.1%だそうです。自信を持つことができないのは、「それなりに頑張っているけど、満たされない。でも、何をしていいのか分からない」などといったモヤモヤをずっと抱えているからかもしれません。しかし、社会や自分に対しモヤモヤや不安を感じることは、決して悪いことでなく、むしろ、現状から抜け出し、新しいことに挑戦しようとしている証拠かもしれないのです。このように考えた角さんは、自信のない女子学生が力を発揮できる機会を作りたいと思うようになりました。

2つ目は、個人的背景です。ハナラボ設立に至るまで、3つのきっかけがあったそうです。1つは、角さんのご両親の離婚です。角さんが19歳の時にご両親が離婚をした後、生活が苦しくても生き生きと働くお母様の姿を見て、女性が働くことや女性の自立について考えるようになったそうです。もう1つは、角さんが中学生の時に感じた不満です。中学校では、生徒の個性を潰すような校則や教育に問題があると感じていました。そこで、個性を潰す教育ではなく、個性を伸ばす教育とは、どのような教育だろうと疑問を持つようになったそうです。そして最後は、IT企業で働いていた時に出会った、「デザイン」です。デザインの面白さに目覚めた角さんは、美術大学へ編入をし、そこで「社会を良くするためのデザイン」を学びました。角さんが大学で学んだこのデザインは、のちにハナラボの大きな軸の1つとなります。これら3つのきっかけが繋がり、女子学生の個性を伸ばし、社会のためのデザインを通して女子学生に力を発揮してもらう場、ハナラボを設立しました。

ここで角さんは、自身の考える「デザイン」についてお話下さいました。現在では、製品だけでなく、体験やコミュニティもデザインするものとして認識されるようになり、デザインの幅が大きく広がりました。デザインの定義は団体や人によって様々ありますが、ハナラボでは、「社会を洞察して価値や課題を見出し、社会にポジティブな変化を生み出すこと」を「デザイン」と定義しているそうです。そして、この「デザイン」する力には色々あります。角さんが考えられている「デザイン」する力の中でも、「色んな視点をつなぐ力」は、今年度の「総合」のテーマ、『自画像を描く~“枠”から気づく自分の世界〜』に繋がると私は思います。「色んな視点をつなぐ力」とは、「多角的な視点を取り入れ、視点をつなげて解決策を考える力」のことです。1つの視点だけで物事を考えると、どうしても考え方が固定化されてしまいがちです。しかし、自分の中に他者の持つ視点を取り入れ、それらをつなげることで、考え方のフレーム=“枠”をどんどん更新することができるようになるのではないでしょうか。また、デザインをするためには、リーダーシップが必要であるとも角さんはおっしゃっていました。リーダーシップと聞くと、メンバーをまとめ、引っ張っていく人を想像するかもしれませんが、実は、リーダーシップには色んな形があるのです。例えば、メンバーを引っ張っていくことはできないけれど、メンバー1人1人と向き合ってサポートすることはできるという人は、サポート面でリーダーシップを発揮していることになります。もし今の自分は役立たずだと思っている人は、今いる場所ではリーダーシップを発揮できないだけで、違う場所では自分のリーダーシップを発揮できるのかもしれません。新しい場所へ飛び込むことは、とても勇気がいることです。しかし、勇気を出して行動してみることで、自分のリーダーシップを発揮できるような場所にいつか出会えるかもしれません。

最後に角さんがおっしゃっていた言葉の中で、大変勇気づけられた言葉を紹介いたします。それは、「失敗をすることで、次の新しいステージへ上がることができる。」という言葉です。自分に自信がないほど、失敗はとても怖いものです。しかし、失敗を恐れ自分を成長させるせっかくのチャンスを失うことは、自分が本来発揮できる能力や可能性をさらに狭めることになるでしょう。角さんがおっしゃっていたように、失敗をすることで1個上のステージへと進むことができると思えば、ゲームをする感覚で失敗が病みつきになるかもしれません。失敗は怖いものではなく、自分を成長させるもの。これからは、失敗をしてもそれらを前向きに捉え、どんどんパワーアップした自分へと成長させていきたいと思います。
国際関係学科1年 マーマレード

コメントシートより

  • 大学生になって路頭に迷っていた自分にとってとても心に響く講演だった。「挑戦は不安を生む」という言葉はまさに今の自分にぴったりの言葉で、不安が生まれてもいいんだなと思えてホッとし、そのような考えもあるんだなと学ぶことができた。
  • 私は今人生の局面に立たされているような思いがしており、それに挑戦するリスクや、それが失敗に終わってしまった時を想像してしまったり、両親にも心配されている。今回のめぐみさんの話を聞き、自分で決断し、自分の結果に責任を取っている生き方をみて素直にかっこいいと思い勇気付けられた。特に妥協せずにギリギリまで頑張るという意見には励まされた。自信を失うこともあるかもしれないけれどやらずに後悔するよりもずっと意味があると思った。
  • 「旗を振らないリーダーシップ」に物凄く学びを得られました。「リーダーと周り」ではなく、「一人一人がそれぞれの強みで助け合う」ことが新しいリーダーシップの在り方なのではないかと気付きました。
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