第2回 学生スタッフレポート

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自分を貫き続けていくことで、周りを、社会を変えていく。

岩井 純一 氏(認定NPO法人フローレンス)

みなさんこんにちは!2022年度最初の講演は、親子支援を行う認定NPO法人フローレンスに所属されている岩井純一さんにお越しいただきました。岩井さんはフローレンスに所属しながら様々な団体の活動に携わったり、個人でイベントを企画したりすることで人と人、団体と団体が繋がるきっかけや場所づくりをされている方です。「NPOや社会貢献活動は意識の高い人がやるもの」「自分とは違う世界の話」、そんな風に思っている人は多いかもしれませんが、その考え方を見直すきっかけとなる講演になったのではないでしょうか。

講演の中で特に印象に残った言葉があります。それは「知った人間としての責任がある」という言葉です。岩井さんの小学校時代は家庭の事情であまり学校に通えず、中学校時代は周りの人たちとともに荒れた日々を過ごしていたそうです。しかし、岩井さんは大切な友人をなくしてしまったことをきっかけに心機一転して高校進学を目指しました。高校生になった岩井さんは、テレビで自分よりも年下の海外の子どもたちが紛争に巻き込まれたり、過酷な環境で働いたりしている映像を見て衝撃を受け、国際協力の道に進んでいきます。大学4年間はひたすら自分で現地に足を運んで約50ヵ国の発展途上国をまわり、自分の目で現実を知るということを実践されてきました。私だったらテレビで見た映像をただかわいそうだと感じるだけで終わってしまっていたと思います。でも岩井さんは感じるだけでは終わらず、夜行バスに乗って国際協力に取り組む団体の事務所を訪ねたり、海外で仲間とともに団体を立ち上げてプロジェクトを行ったりと、常に自分に何ができるのかを考えながら行動を起こしてきました。また、社会人として働く中でそれまであまり注目してこなかった日本の社会問題が目につくようになったときも、知るだけでは終わらずに「知った人間としての責任がある」と考えてボランティアやプロボノに参加し始めたそうです。もちろん全ての人がこの考え方を持つ必要はありません。しかし、私にとってはすごくハッとさせられる言葉でしたし、自分が一歩踏み出すための後押しになるような言葉だと思いました。

また、岩井さんが認定NPO法人フローレンスでの活動を語る中で出てきた「前例がないことが、できないことの理由にはならない」という言葉も印象的でした。フローレンスでは保育園で預かってもらえない37.5℃以上の熱を出した子どもを預かる病児保育や、待機児童を減らすための保育園運営事業、障害児家庭支援事業、赤ちゃん縁組事業、こども宅食事業など様々な事業を行っています。中にはフローレンスが率先して取り組んだことで全国に広がり、正式に制度化されたり、行政と提携した官民連携プロジェクトになった例もあります。こうした取り組みは大きなものに見えますが、最初はとても小さな疑問、行動から始まるそうです。何かアクションを起こそうとする時に岩井さんが大切にされているのが、まずは自分たちがやってみるということです。世の中にまだないからできない、理解されないから無理だと決めつけてしまうのはもったいないことであり、まずは小さなところからでも良いからどうしたらできるのかを考え、「小さな解」として事業を組み立てていくそうです。「前例がないことができないことの理由にはならない」というのは言葉として捉えれば当たり前のことだと思います。しかし、私は0から1を作り出す経験をほとんどしてこなかったため、この考え方が新鮮に感じられました。そして、やってみたからこそ気づけることがあるのだろうなと思いました。

岩井さんはフローレンス以外の団体の活動にも従事したり、ご自身でイベントを作ったりもされています。紹介していただいたものの中で特に印象深かったのは、ファッションや子育てといった身近なテーマからNPOについて知ることができるイベントや、飲めば飲むだけ代金が寄付される「KIFUBAR」、エンタメと社会貢献をかけ合わせた「かわるフェス」などです。思ったよりも気軽に参加できそうだと思った方も多いのではないでしょうか。私が今回この講演を企画したのは、受講生に「社会貢献活動に参加しよう!」と訴えるためではありません。ただ、NPOや社会貢献活動について、多くの人が持っているであろう「意識の高い人がやるもの」「自分とは違う世界の話」という思考の枠を見直してもらい、自分が思っているよりももっと簡単に好きなことや得意なことから参加できる選択肢があることや、そういった選択肢を作ってくれている人がいることを知ってもらいたかったのです。きっと行動力に満ち溢れた岩井さんのお話を聴いて、やはり自分とは違うと感じる人はいると思います。でもそれで良いと思います。岩井さんのお言葉にあったように、自分の身近なことに目を向ける、意識してみる、語る、発信する、それだけでも立派な社会貢献です。受講生のみなさんがこれからの生活で何か違和感を抱いたとき、何とかしたいと思ったときに、今回の講演が「自分にできることから始めよう!」と思える後押しになったら嬉しいです。

国際関係学科4年 すみれ

コメントシートより

  • 誰かを支援するというのは、誰かにしかできないのではなく、参加の仕方、やり方次第で誰でも出来るのだということを知った。私はクラウドファンディングにお金を送ったり、支援物資を送るというような活動しか想像できなかったが、これも固定観念であり、実際はもっと身近に支援に参加できる仕組みがあることを学べた。KIFUBERは特に興味があり、今度友達を誘ってご飯に行ってみたいと思った。自分で何か支援をするというより、そういう場所に足を運ぶこともまた支援だと思った。
  • 私は、岩井さんの事前資料を見た時、ドキッとした。ボランティア、NPOは意識の高い人がやるもの。どこかでこう思っていた。社会貢献をしましょう!ではなく、社会貢献活動についての先入観を変えるというのは、新しい側面で、とても素晴らしいと思う。
  • 私は今回の講演を聞いて、自分は変わることができる、という考えを学んだ。今までの私にとって、変わるということは大きなことに挑戦することや、今までと全く違うことをやってみるといった難しいイメージだった。しかし、今回の講演を聞いて、身近なことや小さな違和感に目を向け始めた時点で少しずつ自分の枠を広げることができるのではないかと気づくことができた。まずは自分の身近なものや好きなことに目を向け、自分の枠を広げたいと思う。
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