第26回 学生スタッフレポート

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君だけの声を聴かせて

Masa Fukuda 氏
(Music Producer/Arranger/Director of One Voice Children's Choir)

皆さん、こんにちは!
今年度最後の「総合2021」はアメリカの合唱団One Voice Children’s Choirのディレクターとしてご活躍されているMasa Fukudaさんにご講演いただきました。One Voice Children’s Choirは下は4歳から上は18歳までの総勢200人の子供たちによって構成されている合唱団です。Fukudaさんは曲の作曲、アレンジ、歌う時の指導など、ディレクターとして合唱団を支えていらっしゃいます。講演はオンデマンド配信とリアルタイム質問会の2部構成で行いました。講演当日はアメリカのユタ州から国を越え、海を越え、言葉をも越えてリアルタイム質問会に参加していただきました。


皆さんは“合唱”というとどのようなことを思い浮かべますか。きっと多くの人は歌に一体感を出すために、みんなが同じような歌い方をしていると思い浮かべるのではないでしょうか。実際、私も中学、高校と合唱をやってきて同じように思っていました。しかし、One Voice Children’s Choirの歌う曲は子供たちがそれぞれの個性を最大限に発揮しながら、歌に一体感を感じることができるのです。その理由をFukudaさんは2つ挙げてくださいました。

まず1つ目は、歌に込められたメッセージを大切にすることです。表現方法はさまざまでも全員が歌に込められたメッセージを伝えることにフォーカスをすることで、魅力的なハーモニーと一体感を生み出すことができるのです。そして、歌い手のこれを伝えたいという思いが聞き手の心を打ち、感動させる音楽を届けることができるのです。私自身、One Voice Children's Choirの曲を初めて聞いた時に感動したのも、きっと子供たちの歌唱力という技術的なものだけではなく、歌に込められた子供たちからのメッセージにより、心打たれたからだと思います。

2つ目は、お互いを支え合い、尊重することです。お互いを支え合い、尊重することで個性を最大限に発揮しながらも、それぞれがメンバーの声に耳を澄ませて一体感を生み出すことができるのです。このような精神が育まれたのは、合唱団を見守り、サポートしてきた大人たちの思いによるものだそうです。子供たちに「競争するのではなく、お互いを支え合い、尊重し合うことが大切」という思いを常に伝えていらっしゃいます。実際、One Voice Children’s Choirの合同練習は週に1回の2時間程度だそうです。忙しい現代っ子にとってはこれが限界で、子供たちはスキマ時間を使って楽しみながら練習に励んでいます。短時間の合同練習にもかかわらず、ここまで一体感を生み出すことができるのは合唱団全体がお互いを支え合い、尊重しているからではないでしょうか。

リアルタイム質問会では受講生からさまざまな質問が寄せられました。その中で、一番心に残っている舞台についての質問がありました。Fukudaさんにとって一番心に残っている舞台はアメリカのテレビ番組American’s Got TalentにOne Voice Children’s Choirが出場した時だそうです。Fukudaさんは子供たちが準々決勝で歌った『Let it go』のアレンジを担当されました。以前もこの曲のアレンジをされたそうですが、この番組に出演するに当たって番組ディレクターから後押しを受け、何度も何度も曲のアレンジに磨きをかけられたそうです。Fukudaさんはこの舞台を「自分の理想像の枠から飛び出し、クリエイティブな部分を最大限に発揮できた。アーティストとして大きく成長できた舞台になった」とおっしゃられていました。自分の現状に満足せず、努力し続けることで自分の枠を飛び越えて大きく成長できると知ることができた質問会になったと思います。


私はFukudaさんのご著書である『君だけの声を聴かせて』と出会うまで、周りと合わせるためには自分自身の個性を発揮することは難しいと考えていました。皆さんも一度は耳にしたことのあることわざ「出る杭は打たれる」のように、私は打たれるのが怖かったため、自分を表現しようと思っても躊躇ってしまうことが何度もありました。しかし、One Voice Children’s Choirが大切にしている「お互いを支え合い、尊重し合う」という思いから、それぞれが個性を最大限に発揮しながらも、一体感を生み出し、そして輝くことができると学びました。「お互いを支え合い、尊重し合う」という思いを私たちも大切にしていきたいですね。
国際関係学科1年 リーフィ

コメントシートより

  • 周りの目を気にすることなくさまざまなことにチャレンジし、自分の個性を磨き上げていくことの大切さを学んだ。また、歌に込められたメッセージが一番大切だという話を聞いて、もちろん完成度などは求められるかもしれないが、その物事に対して自分がどれほどの思いをかけているか、あるいはどのようなことを伝えたいのかということが相手に伝わることもとても大切だということに気がついた。
  • 合唱団では競争するのではなく、讃えあい尊重しあう精神を大切にしているということが印象的だった。その人にしか表現できないものがあり、音楽で分かち合うことが勇気や自信につながることを学んだ。
  • Masaさんが途中話していた「自分を信じて愛してあなただけのメロディーを奏でて」という言葉が印象に残りました。合唱をするなかで一人ひとりの個性や魅力を尊重し、引き立たせるMasaさんらしい言葉でまさにそれを表している言葉だと思いました。私は集団でいると影響されやすいのですが、自分らしくいることが大切だということを今回の講演で学びました。
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