第24回 学生スタッフレポート

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アンガーマネジメント

安藤 俊介 氏(一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事)

みなさんこんにちは!第24回の「総合2021」では、一般社団法人アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんに講演していただきました。安藤さんはアメリカでアンガーマネジメントに出会い、それまで他人に攻撃的になりやすかった自分が怒りの感情を扱えるようになったことをきっかけに、当時はほとんど知られていなかったアンガーマネジメントの手法を日本に広める活動をされてきた方です。今回はそんな安藤さんに、そもそも怒りという感情は何がきっかけで起こるのか、マネジメントするためにはどうしたらよいのかというお話をしていただきました。

みなさんはどんなことが引き金となって怒りという感情が起こるのか、真剣に考えたことはあるでしょうか?怒りとは生物にとって生きるのに必要不可欠な感情であり、その機能・役割は自分の身を守ることです。命の危険にさらされた時、動物が威嚇をする姿は容易に想像できますが、人間の場合は何を守っているのでしょうか。それは、「誰か」でも「出来事」でもなく、自分の中にある「べき」という価値観や考え方だそうです。「〇〇はこうあるべき」という理想を持つ中で、現実との間にギャップが生じて「べき」が裏切られた時に人は怒りを感じます。そのため、怒っている人というのは誰かに先制攻撃をしているのではなく、自分の大切な価値観や考えが傷つけられようとしているのを察知して怒りという感情を使って守ろうとしているのです。

そして、安藤さんは怒りが発生するメカニズムをライターの絵に示して解説してくださいました。「べき」が裏切られた時はライターの火花が少し散る時です。しかし、それだけでは怒りという名のライターの炎は燃え上がらず、他人に怒りをぶつける行動にまでは至りません。小さな火花が大きな炎になるためにはライターの下の部分に溜まっているガスが必要なのです。そして人間で言うとこのガスはマイナスな感情・状態にあたると安藤さんはおっしゃいます。睡眠不足で体調が悪かったり、イライラや不安といった感情を持っていたりすると、「べき」が裏切られて散った火花が簡単にマイナスな感情・状態のガスに引火して怒りが爆発してしまうのです。

このような流れを通して生まれる怒りという感情を必要以上に爆発させないためには、
1.「べき」が裏切られる回数を減らす
2.自分自身を良い状態に保つ
という2つの方法があるそうです。2番目の方法は簡単に言ってしまえば健康的に暮らすことであり、今回は1番目の方法について最も基本的なアンガーマネジメントの手法を交えて教えてくださいました。「べき」が裏切られる回数を減らすためには、以下の3つのコントロールを順番に行う必要があるそうです。

①衝動のコントロール、②思考のコントロール、③行動のコントロール

①は、まず怒りを感じた時に衝動に任せるのではなく、人間の理性が働くまでにかかると言われている6秒という時間を待ってみましょうというものです。次に、②は怒りを発生させた事柄が自分の中の「許せるゾーン」「まぁ許せるゾーン」「許せないゾーン」の3つのどれに当てはまるかを考えるというものです。そして③は、その事柄が自分の力で「変えられる」のか「変えられない」のかどうか、また自分にとって「重要である」のか「重要ではない」のかどうか、この4つの選択肢の組み合わせで行動を決めてみようというものです。例えば目の前の事柄が自分の力で変えられないものであり、かつ自分にとって重要なことではないのなら怒るだけ時間の無駄というものです。しかし、自分で変えられる可能性があり、かつ重要なことならば、それは適切に怒ることでパワーを出し、変えていかなければならないことなのです。このように怒りを感じてから行動に起こすまでに意識すべき3段階のコントロールを教えていただきました。

私は今回の講演の中で、安藤さんがおっしゃった「世の中には自分と違うものしかない」「自分の感情には自分で責任を持つ」というお言葉がとても印象に残っています。安藤さんはアンガーマネジメントを身につけてから自分とは違う考えを持つ人のことを否定しなくなり、もめることがなくなったそうです。そうすると周りの人が自分を応援してくれる味方ばかりになり、人生が上手くいくようになったとおっしゃっていました。確かに全く同じ人はいないのだからそれぞれが異なる考えを持っているのが当然であり、私たちはそんな世の中で他人と関わり合いながら生きていかなければなりません。その中で、自分の感情を自分で選び、責任をとるという考えを持ちながら、怒る必要のあることとそうではないことの取捨選択をすることができれば、より生きやすいことに繋がるのではないかと思いました。これから社会に出ていく受講生にとってもとても学びのある講演になったと思います。ぜひ今回学んだアンガーマネジメントの手法を日常生活の中で実践してもらえたら嬉しいです!

国際関係学科3年 すみれ

コメントシートより

  • 怒らない人がうらやましい、怒らないことがいいこと、と思って生きてきたので、怒りの感情は当たり前のもので、決して悪いわけではなく、物事を動かすパワーさえ持っていることを知り、怒りに対するイメージが180度変わりました。怒りの感情も含めて、自分の感情とうまく付き合い、後悔を減らせるようになりたいです。
  • 怒りの感情が生じるメカニズムや、衝動、思考、行動のコントロールすることで、自分の気持ちも楽になるし、心が豊かになるなと感じました。怒りが湧くことって、いくら平和に暮らそうとしていても、避けられることではないので、怒りの感情が生まれる時に、衝動的に怒りを爆発させるのではなく、手順を踏んでコントロールできるように練習していきたいなと感じました。
  • 私も普段イライラしやすく、寝ることでそのイライラをしずめていますが、怒りの原因や怒りのあり方について考えることによって怒る必要がある出来事とそうでない出来事について判断できることを知りました。なんでも嫌な出来事があった時に怒りに身を任せるのではなく、それに怒る必要があるのかをまず考えようと思いました。
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