第14回 学生スタッフレポート

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子供を産むことが選択できる時代、あなたはどんな人生を歩みますか?

及川 裕子 氏(国際医療福祉大学保健医療学部看護学科 教授)

みなさん、こんにちは。第14回の「総合2021」の講演には、及川裕子さん(国際医療福祉大学保健医療学部看護学科看護学教授)にお越しいただきました。及川さんは、助産師の経験をお持ちで、母性看護学を専門に研究されています。本講演では、大正や昭和における育児への価値観や、現代の育児について、夫婦のお互いへの満足度、親としての生活満足度、男女の各種育児への参画率などの調査結果を用いてお話をしていただきました。受講生のみなさんは、親になるとはどういうことか、自分が自分らしくいるための人生はどんなものなのかを考えることができたのではないでしょうか。

及川さんには、育児中の家庭の夫婦関係についてお話をしていただきました。及川さんは、育児に慣れてきた母親は、育児に不慣れな父親に対して完璧を求めないことが双方の良好な関係につながるとおっしゃいます。そして、父親も育児ストレスを感じることが指摘されました。私は、父親の育児ストレスについて気にしたことがほとんどなかったため、今回の講演で、夫婦のお互いがストレスを抱えていることを意識し、相互補完することも夫婦間の良好な関係につながるのではないかと考えました。


加えて、育児中の家庭で、働いている側の人(主に父親)の現状についても教えていただきました。性別役割分業意識が未だ強いという調査結果がある一方で、なんと、約半数の父親が「育児に参加したい」と回答したという調査結果もあるそうです。これは私にとって衝撃的でした。今まで私は、男性は育児に参加したくないだろう、と思っていましたが、それは偏見でした。しかし、約半数もの働く父親が「育児に参加したい」と心では思っていても、父親には家の稼ぎ手としての役割があるとか、残業をして当たり前、育児休暇を取るのは珍しい、という性別役割分業意識の強い日本の社会では、働いている父親の育児参加や、育児時間の充実はなかなか実現していないようです。私は、法律や制度が整ってきた今、育児をしない立場の人も、残業をしない人、育児休暇を取る人に対して、少しでも優しく接することができたら良いと思いました。合わせて、社会の意識が改善され、男女の育児参画にパートナー同士が納得いくようになるにはまだまだ時間がかかるとも思いました。

ここまで育児のリアルについて学んだ上で、自分の女性としてのライフコースを考えました。女性に限らず、何かを選択することで個人の人生は大きく変わりますが、今回は女性にしかできない、妊娠・出産をするか、しないかに着目しました。産むことが当然、または産んだら仕事を辞めるのが当然だと思わなくて良いという考え方を聞いて、私はすごく安心しました。妊娠・出産は、何かを諦める理由にはならないのだと思いました。


及川さんは、妊娠・出産の有無に関わらず、私たちが自分をより大切にする、自立して生きるために、今からでもできることについても言及してくださいました。それは、自らをマネージメントする力を養うことです。受講生のみなさんは、自分をどうやってコントロールするのか、自分の周りに何をしてほしいのか、そしてその配役は適切なのかといったことを考える機会になったのではないでしょうか。自分が自分らしくいるためにも、マネージメント力を養うためにも、現実と向き合い、自分が歩みたいと心から思う人生選択をしたいと思いました。

英語英文学科 1年 Sophie

コメントシートより

  • 計画的な妊娠・出産を呼びかけるものは知っていたが、その理由はただ経済的な理由や堕胎の問題だと思っていた。しかし、今回の講演を聞いて出産前・出産後のことについても言えるということがわかった。
  • 時代が変わることで家族の形も変わっていることが印象深かった。どんどん出産年齢が高齢化してきているし、結婚をしない人生を選ぶ人も増えてきているし、人生において自分がこういう生き方をしたいと思って選んだのなら間違った人生なんてないのだと思った。
  • 私の家では私が生まれたときに母ではなく父が育児休暇を取得した。20年前では珍しい家庭だったと思う。母の仕事柄、父は母と同じくらい、もしくは母よりも家事や育児をしているのでまだまだ家事育児は母親がすることだと思っている人が多くいることに衝撃を受けた。また、男性の育児ストレスの話を聞いて、むやみに「母親だけが頑張っている。父親ももっと育児参加しなければいけない」というように世間で言われることは男性にますますストレスをかけると思った。
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