第12回 学生スタッフレポート

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みんながもう少しずつ優しさをもつ社会へ
〜持続可能なボランティア〜

菊地 里香 氏(ねこだいら代表)
ドイティンガー 洋子 氏(ねこ結び代表)

こんにちは!「総合2021」第12回、9月23日講演は、菊地里香さん(ねこだいら)とドイティンガー洋子さん(ねこ結び)にお越しいただきました! お二人は、それぞれ小平市内で地域猫ボランティアとして、主にTNR(Trap Neuter Return)活動をされています。TNR活動とは、野良猫に不妊・去勢手術をした後、元の場所に帰して地域の人でその猫を地域猫としてお世話をする取り組みです。また、保護した猫たちの里親を探す譲渡会を鷹の台で毎週第三土曜日に行い、活動の輪を広げているそうです。

今回の講演ではお二人の活動について詳しくお話しいただいので、紹介したいことが盛りだくさんです! 津田塾大学出身でもあるドイティンガーさんからは、当時の大学のお話も教えていただき、一年生の私にとっては新鮮な面白いお話でした。残念ながら全てを書き切ることができないので、私の中で特に印象的だったお話を紹介します。

殺処分ゼロの裏側について

「殺処分ゼロ」と聞くととても良い印象を受けますが、実際には保健所での受け入れ拒否をしているという現実があるそうです。引き取りの対象となるのは、飼い主の事情で飼うことができなくなった飼い猫や、育てるのが困難な赤ちゃん猫なのです。保健所で受け入れられなかった野良猫たちは、交通事故や行き倒れで亡くなるケースが多く、殺処分数の8倍も発生しているそうです。このような、少しでも可哀想な命を減らすために有効と考えられるのが、TNR活動です。猫に避妊手術をして子猫を増やさない、一代限りの命を大切にすることが重要だと分かりました。

自分たちの得意分野を活かして活動すること

野良猫を助けるために何か協力できることはあるのか考えると、それぞれ普段の生活リズムがある私たちにとってはハードルの高いことだと感じました。その考えに対し、お二人は、私たちにもできることがあると教えてくださいました。それは、自分の得意なことを活かすこと、周りの環境を少し心配することです。実際にボランティアの方の中には、イラストを描いたり、裁縫をしたり、お菓子を作ったりなど、それぞれの得意なことを活用しチャリティーグッズの販売を行って活動を支えているメンバーもいるそうです。また、近所の様子に気を配ることで、困っている猫がいないかに気づくことができるそうです。

地域猫ボランティアにおける人との関わりで心がけていること

一人一人の背景を想像して、自分ができることから行動して手を差し伸べ、寄り添うようなコミュニケーションを取ることだと菊地さんがおっしゃっていたのが印象的です。猫を良く思わない人も少なからずいますが、根気を持って丁寧に説明をするようにしてるそうです。
私はこの講演前までは、地域猫について知っていても協力できることは少ないと思っていましたが、自分にもできることがあることに気づくことができました。得意なことを自分が行う活動に活かすということは地域猫ボランティア以外のことにも重要だと思いました。さらに、自分が活動に参加できなくても、それに賛同すること、理解を示すことは活動の応援につながるのではないかと感じました。一人のすごい人の力よりも、たくさんの人が少しずつ協力することが大事だというお話も共感しました。特にこのコロナ禍で多くの人が痛感しているのではないでしょうか。未知のウィルスを前に、誰か一人が解決しようとするにではなく、一人一人が命を大事にすることなしには生活できません。また、講演の中で、怪我をした猫・病気になってしまった猫などの写真も共有してくださりました。保護される猫たちの現実を知ったことで、猫にも命があるということを改めて考えることができました。

最後に、菊地さんから講演で伝え切ることができなかったことを教えていただいたので皆さんにも共有したいと思います。

『すごい人1人の100歩』よりも『100人の1歩ずつ』という言葉について、1人の人が大変なことを抱え込むような活動は、持続性がありません。それよりは、多くの人間が自分のできる範囲で少しずつ小さなことを進めていくべきだと思います。私たちはつい『自分1人がやっても』と思いがちですが、『自分自身の小さな一歩』の持つ『大きな意味』を見くびらないでください。
例えば環境問題や最近の猛威をふるっているコロナ禍でも、1人ひとりが小さなことを積み重ねることでしか解決に近づくことはできないのではないかと思います。
だから、私は相談を受けたらできるだけ全てをやらないようにしています。相談者ができること、その人がもっているもう少しの優しさを可能な範囲で行動にうつしてもらうことが世の中全体を良くしていくために大事だと思うからです。
今回、菊地さんとドイティンガーさんの活動についてのお話を伺いましたが、人とのコミュニケーションの取り方や関心のあることから始めることなど私たちの日常生活にも関わることを学ぶことができました。自分ができることで何か役立てることがないか考えたいです。加えて、これから得意なことを増やせるように大学生活を過ごそうと思いました。
近所を散歩するときは、猫が元気にしているかも気にしたいです。

ねこだいらさん ブログ https://ameblo.jp/nasakemono/
ねこ結びさん ブログ https://ummmmnom.exblog.jp/

情報科学科1年 ビスケット

コメントシートより

  • 動物への愛が人とのコミュニケーションを生み出し、温かい世界をつくっていることがわかり、私自身も温かい気持ちになった。また人とのコミュニケーションは大切だなと思った。
  • 私は猫が苦手であり、今まで野良猫に対してあまりいいイメージを持っていませんでしたが、今回の公演を聞いて保護猫という考えと、猫に対しての気持ちが少し変化しました。家の近所の公園にも時々猫が来るので、気にかけてみようと思いました。
  • 私は自分から何か特別なアイディアを発信することが苦手で、それを負い目に感じていた。しかし、それができなくても、人と関わることや人を巻き込むことが得意という強みを活かすことで、社会の役に立つことはできるということを感じることができた。
  • 保護される前と保護された後の猫たちの表情はどこか希望を感じた。少しでも多くの命が助かるといいなと思うと同時に大きさに関わらず命の大切さを改めて感じた。
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