第6回 学生スタッフレポート

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性別の狭間にて生きる

鈴木 信平 氏(会社員 /「男であれず、女になれない」著者)

  「総合2020」第6回、6月18日(木)は、アンコール講演という形で「総合2018」第3回に講演をしていただいた鈴木信平さんのお話をお聞きしました。鈴木さんは男でも女でもないXジェンダーを自認しており、著書『男であれず、女になれない』は第23回小学館ノンフィクション大賞を受賞しました。

 鈴木さんは講演の中で、多様な性的自認や性的志向のこと、自らのアイデンティティを獲得するまでのこと、そして身の回りの「境」についてお話しくださいました。それと同時に私たちに多くの問いを投げかけてくださいました。

 私は鈴木さんの「私たちのアイデンティティは『境』によって保たれているのではないか」という言葉に共感しました。社会には、ジェンダー、国境、年齢等の無数の境が存在します。私たちはそれらの境に無意識的に縛られることで、自分のアイデンティティを保っているのではないでしょうか。鈴木さんは高校生の頃から自分の性に疑問を抱くようになり、多くの苦しみや葛藤を感じながらも自らのアイデンティティを模索し続けていたそうです。境によって形成された自我ではなく、確固たる自我を自らの手で確立されたことに感銘を受けました。

性別という枠に囚われない鈴木さんのことを、多くの人が「自由」と言うそうです。ですが、鈴木さんからするとそれは逆。女子大に入学する、女子トイレに入る、といった行動の選択を特別に意識して行っていない人もいるでしょう。しかし女性・男性以外の性別である人々は、このような場面でも多くの葛藤を感じているのです。今の社会が、女性・男性の区分に違和感なく過ごす人々にとっての「自由」な社会であることがわかります。これは性別に限った話ではありません。自分自身を枠に収めることで、自分は自由になる一方、その枠がしがらみとなっている人もいるということを知りました。他の人にしがらみを押し付けているのかもしれない、そのことを常に意識して生きるべきではないでしょうか。

 近年ではLGBTの理解を求めるために、次のようなデータを引き合いに出すことがあるそうです。電通の調査によると、日本のLGBT層は約8.9%にも及び、11人に1人が当てはまるそうです。私はこの数値を知り、LGBT層が思いのほか多くいると感じました。同様の印象を抱いた人の中には、LGBTの問題が身近な問題であると気づいたことで初めて、この問題について考えるべきだと思い始める人も多くいるのではないでしょうか。しかし鈴木さんは、たとえ身近に感じる問題ではなくても考える姿勢を持ってほしいと話していました。鈴木さんが自身の性を模索する時に最も辛かったものは孤独だったというお話を聞き、身近だからという理由ではなく、苦しんでいる人が一人でもいるからという理由で行動することの大切さを感じました。

 「あなたという一人は、どの視点から、何を見ていますか?その自覚の上で、どんな言動を選択しますか?」という鈴木さんからの問いを考えることは、俯瞰力を身につける上で不可欠でしょう。また、自分という人間について真摯に向き合うことは、多様性社会を生きる私たちに必要なことであると強く感じます。

国際関係学科2年 はなこ
情報科学科2年 すみっこ

コメントシートより

  •  最近、若い世代は性的指向や性自認に関して寛容になっているように思われるが、それは自分とは違う側の事として捉えているからだと言うことに気づかされてはっとした。また、自分がとても綺麗に整えられた地面の上にいるから、何かを獲得せずとも自由にいられることに気づいた。無意識のうちに、自分に優しいものを選択していること、その選択の結果、誰かにしわ寄せがいくかもしれないということを考えて生きていかなければならないと思った。
  • LGBTに関係する話は、自分とは異なる価値観を持つ人の話、自分には関係ないけどこれから多様性大事だって聞くし、知っておけばこれから理解してあげられるかも…などと他人事として受け身で聞いていました。まさにこの時点で、自分は自分の居心地の良いような境界線を引いてしまっていたことに講義の最後の最後で気づきました。目の前で赤裸々に話してくださった鈴木さんを、いつの間にか、社会的マイノリティに位置づけていました。しかし、鈴木さんは、自分を「個」と位置づけ、マイノリティに自分を入れることはしていませんでした。もしかしたら、同じ気持ちを共有できるマイノリティ側に自分を含めたほうが楽かもしれないけれど、鈴木さんは苦しくても「個」を譲ることなく生きています。この考え方を知った時、私は今まで大して自分と向き合うことなく、なんて狭い世界に自分を位置づけていたんだろう、と不安になりました。講演の最後には、「今」に疑問が生まれ、少し不自由に感じました。答えはまだわかりませんが、19歳という年でこのような少し怖くもあり、不思議でもある体験をできて本当に良かったと思いました。
  • 自分を選べるような人間になりたいと思いました。今まで長い学生生活やいろんな人間と関わり関係を持ち、周りに馴染む、そんな生活でした。特に学生生活は境目に守られていることが多いと感じました。周りとは違うことに恐れていた自分もいたのかもしれません。ですがこれから社会に出て生きていく中で、はたして自分は自分を持っているのか自分の選んだ選択肢は正しさを持っているのか不安になりました。不安になると言うことは自分の個性を見失っていたのかもしれません。この講演を聞いて周りを気にせず、自分のペース、やり方、を大切にしていこうと思います。これからの社会、自分を持ち、個性を大事にしている人が何かを変えるきっかけを作るのだと思います。私も鈴木さんの講演を聞き気づかされました。人に影響を少しでも与えられる人間になりたいです。
  • 今回の講義で伝えたかったメッセージは、自分の思考について考え続けることの重要性だと思う。自分の思考について考えることは、自分が周りに対して抱く感情や与える影響を知ることができるとともに、周囲の人から見た自分のことも客観的に、フレキシブルに、俯瞰できるということだと思った。
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