2020年度 第5回 学生スタッフレポート
新しいモノサシで考えよう〜いま伝えたいSDGs
国谷 裕子 氏(キャスター / 東京藝術大学理事)
第5回授業は2018年度に講演をしてくださった国谷裕子さんのアンコール放送をお届けしました。国谷さんは、2017年度、津田梅子賞を受賞されています。23年間に渡って、NHKの『クローズアップ現代』の顔を務められた国谷さんは自身のキャリアとSDGs (Sustainable Development Goals : 持続可能な開発目標)、またそれにまつわる日本の現状についてお話してくださいました。
大学を卒業した後、自分のやりたいことがはっきりと思い描けなかったという国谷さんは、あるとき突然衛星放送でのキャスターの仕事をオファーされます。そしてそれが評価され、テレビ放送の仕事にも挑戦することになりました。しかし、テレビ放送後、国谷さんが感じたことは「テレビは甘くない。」「自分はキャスターとは何かが全くわかっていない。」ということで、大きな挫折と絶望を味わったそうです。そんな中、再びキャスターの仕事が舞い込んだ国谷さんは、「前を向いて生きていくために、必ずキャスターとして成功する」という決意をしたといいます。この目標を達成するために国谷さんはキャスターの仕事と本気で向き合い、『クローズアップ現代』のメインキャスターを務めるまでになりました。私は負けず嫌いである一方、怖がりでもあるので、挫折を味わった仕事のオファーが再び来たら避けてしまうかもしれません。しかし、国谷さんは逃げるどころか、「必ず一人前になる」と決意を固めていらっしゃいます。私はこの話を聞いて、その勇気と行動力を見習わなければならないと思いました。
国谷さんは『クローズアップ現代』のキャスターをしていた際、再び壁にぶち当たります。世の中の社会問題は複雑に絡んでおり、ある問題を解決するための施策を行っても、必ず別の問題が浮上することを知ったからです。国谷さんは、番組内で自分なりの解決策をコメントしたとき「自分が提案した解決策は合っていたのか?」「なぜもう少し広い目線で捉えられなかったのか?」と常に考えていたそうです。私は国谷さんのキャスターとしてのプロ意識の高さに感動しました。多くの物事を知っていて、広い視点を持っているキャスターの皆さんを私は尊敬のまなざしで見ていましたが、そのようなキャスターの方でも広い目線で物事を捉えられていないと反省する事があると聞き、これがプロなのかと感じました。
国谷さんはSDGsの活動も熱心に行われています。国谷さんが魅力的だと感じたSDGsの特徴は、1つの目標またはターゲットを達成すると他の目標も達成できるという好循環を生み出すアプローチをとっている点です。この特徴の背景は、複雑に絡んでいる社会問題と、施策を行っても悪循環に陥っている現実にあります。SDGsの特徴の背景と『クローズアップ現代』のキャスターを通して学んだことが一致していることから、SDGsは魅力的だと国谷さんは感じたそうです。そして、国谷さんは途上国も先進国も問題や目標に向き合うことと、解決のしかたを自分たちで考えることの必要性を訴えていました。なぜなら、労働問題一つとっても途上国は児童労働、日本は過労死など、国や地域でそれぞれ違った問題を抱えているからです。私は昨年度某航空企業がSDGsに貢献するために何ができるかを考える学外学修に参加したことを思い出しました。この学外学修のおかげでSDGsについての知識を深めることができたうえ、その企業がやるべき実践方法に落とし込むこともできました。国谷さんは国や地域で抱えている問題が違うから自分たちで解決策を考えなければならないとおっしゃっていました。私たち一人一人はできることがそれぞれ違うと思います。だからこそ、解決策を自分たちで考えなければいけないのだと実感しました。
SDGsにまつわる日本の現状について、国谷さんは、気候変動や生態系保全などの環境問題とジェンダー問題を日本が解決しづらい問題として挙げていました。まず環境問題について、豊かさに対する考え方を変えることが問題解決の一歩になるとおっしゃっていました。環境問題に向き合うことについて、「過剰性のコントロール次第で幸にも不幸にもなる。」「自分たちの生活は誰かに害を与えていないか考えることが大切だ。」という言葉が印象に残りました。第1タームの期間中は「総合」の時間に感想共有や意見交換する場を設けました。私はそれに参加し気づいた点がありました。それは、私たちがいかに恵まれているかに気づいて環境のために行動することが大切だということです。このようなことに気づいていくことが、俯瞰力を養成する一歩になるのかと考えました。最近になって売り物の廃棄に関する問題が注目されてきましたが、まだ廃棄物による環境へのリスクより物を多く売ることで得られる利益が重視されているように思います。廃棄できるほど物を多く所有しているまたは売れる物があるということは恵まれているという、本質に私たち人間が気づいていくことが重要だと思いました。その点で環境問題について言及している国谷さんの言葉がとても印象に残りました。
国谷さんは上記に挙げた2つの問題で特にジェンダー問題に重きを置いてお話してくださいました。ジェンダー問題の解決は貧困・格差・経済問題の解決にもつながるのではないかと強く述べていました。女性の場合、やりがいが感じられない、期待されていないという気持ちから、管理職への強い気持ちが勤め続けるとともに弱まっていること、働く意欲が高い女性ほど初入社した会社を辞めている人が多いことがわかっているそうです。そして、働く女性の現実の話で特に印象に残っていることは性別役割分担意識が根強くある地域へ、高等教育まで学んだ女性がUターン就職をする割合が低いという話をしてくださいました。このことは地域の持続性から見ると大問題だとおっしゃっていました。私は首都圏出身のため、このようなことが起こっていることを知らず、衝撃を受けました。ジェンダー問題と関連して、国谷さんは海外のイノベーションや競争力についても言及されていました。イノベーションには多くのアイデアが必要なため、多様な人がいる組織ほどイノベーションや競争力の好循環が生まれているそうです。だからこそ、ジェンダー問題の解決が必要だと国谷さんはおっしゃっていました。
最後に、SDGsに向き合うのに必要な方法として、社会的対話(ソーシャルダイアログ)・連携(コラボレーション)・再結合(リボンディング)を挙げていました。これらは、閉鎖的になりつつある現代社会を打開するのにも必要なのではないかと考えました。
大学を卒業した後、自分のやりたいことがはっきりと思い描けなかったという国谷さんは、あるとき突然衛星放送でのキャスターの仕事をオファーされます。そしてそれが評価され、テレビ放送の仕事にも挑戦することになりました。しかし、テレビ放送後、国谷さんが感じたことは「テレビは甘くない。」「自分はキャスターとは何かが全くわかっていない。」ということで、大きな挫折と絶望を味わったそうです。そんな中、再びキャスターの仕事が舞い込んだ国谷さんは、「前を向いて生きていくために、必ずキャスターとして成功する」という決意をしたといいます。この目標を達成するために国谷さんはキャスターの仕事と本気で向き合い、『クローズアップ現代』のメインキャスターを務めるまでになりました。私は負けず嫌いである一方、怖がりでもあるので、挫折を味わった仕事のオファーが再び来たら避けてしまうかもしれません。しかし、国谷さんは逃げるどころか、「必ず一人前になる」と決意を固めていらっしゃいます。私はこの話を聞いて、その勇気と行動力を見習わなければならないと思いました。
国谷さんは『クローズアップ現代』のキャスターをしていた際、再び壁にぶち当たります。世の中の社会問題は複雑に絡んでおり、ある問題を解決するための施策を行っても、必ず別の問題が浮上することを知ったからです。国谷さんは、番組内で自分なりの解決策をコメントしたとき「自分が提案した解決策は合っていたのか?」「なぜもう少し広い目線で捉えられなかったのか?」と常に考えていたそうです。私は国谷さんのキャスターとしてのプロ意識の高さに感動しました。多くの物事を知っていて、広い視点を持っているキャスターの皆さんを私は尊敬のまなざしで見ていましたが、そのようなキャスターの方でも広い目線で物事を捉えられていないと反省する事があると聞き、これがプロなのかと感じました。
国谷さんはSDGsの活動も熱心に行われています。国谷さんが魅力的だと感じたSDGsの特徴は、1つの目標またはターゲットを達成すると他の目標も達成できるという好循環を生み出すアプローチをとっている点です。この特徴の背景は、複雑に絡んでいる社会問題と、施策を行っても悪循環に陥っている現実にあります。SDGsの特徴の背景と『クローズアップ現代』のキャスターを通して学んだことが一致していることから、SDGsは魅力的だと国谷さんは感じたそうです。そして、国谷さんは途上国も先進国も問題や目標に向き合うことと、解決のしかたを自分たちで考えることの必要性を訴えていました。なぜなら、労働問題一つとっても途上国は児童労働、日本は過労死など、国や地域でそれぞれ違った問題を抱えているからです。私は昨年度某航空企業がSDGsに貢献するために何ができるかを考える学外学修に参加したことを思い出しました。この学外学修のおかげでSDGsについての知識を深めることができたうえ、その企業がやるべき実践方法に落とし込むこともできました。国谷さんは国や地域で抱えている問題が違うから自分たちで解決策を考えなければならないとおっしゃっていました。私たち一人一人はできることがそれぞれ違うと思います。だからこそ、解決策を自分たちで考えなければいけないのだと実感しました。
SDGsにまつわる日本の現状について、国谷さんは、気候変動や生態系保全などの環境問題とジェンダー問題を日本が解決しづらい問題として挙げていました。まず環境問題について、豊かさに対する考え方を変えることが問題解決の一歩になるとおっしゃっていました。環境問題に向き合うことについて、「過剰性のコントロール次第で幸にも不幸にもなる。」「自分たちの生活は誰かに害を与えていないか考えることが大切だ。」という言葉が印象に残りました。第1タームの期間中は「総合」の時間に感想共有や意見交換する場を設けました。私はそれに参加し気づいた点がありました。それは、私たちがいかに恵まれているかに気づいて環境のために行動することが大切だということです。このようなことに気づいていくことが、俯瞰力を養成する一歩になるのかと考えました。最近になって売り物の廃棄に関する問題が注目されてきましたが、まだ廃棄物による環境へのリスクより物を多く売ることで得られる利益が重視されているように思います。廃棄できるほど物を多く所有しているまたは売れる物があるということは恵まれているという、本質に私たち人間が気づいていくことが重要だと思いました。その点で環境問題について言及している国谷さんの言葉がとても印象に残りました。
国谷さんは上記に挙げた2つの問題で特にジェンダー問題に重きを置いてお話してくださいました。ジェンダー問題の解決は貧困・格差・経済問題の解決にもつながるのではないかと強く述べていました。女性の場合、やりがいが感じられない、期待されていないという気持ちから、管理職への強い気持ちが勤め続けるとともに弱まっていること、働く意欲が高い女性ほど初入社した会社を辞めている人が多いことがわかっているそうです。そして、働く女性の現実の話で特に印象に残っていることは性別役割分担意識が根強くある地域へ、高等教育まで学んだ女性がUターン就職をする割合が低いという話をしてくださいました。このことは地域の持続性から見ると大問題だとおっしゃっていました。私は首都圏出身のため、このようなことが起こっていることを知らず、衝撃を受けました。ジェンダー問題と関連して、国谷さんは海外のイノベーションや競争力についても言及されていました。イノベーションには多くのアイデアが必要なため、多様な人がいる組織ほどイノベーションや競争力の好循環が生まれているそうです。だからこそ、ジェンダー問題の解決が必要だと国谷さんはおっしゃっていました。
最後に、SDGsに向き合うのに必要な方法として、社会的対話(ソーシャルダイアログ)・連携(コラボレーション)・再結合(リボンディング)を挙げていました。これらは、閉鎖的になりつつある現代社会を打開するのにも必要なのではないかと考えました。
国際関係学科2年 あじさい
コメントシートより
- SDGsの内容を知っていると思っていたが、実際の現在の地球環境や社会が持つ深刻な問題の知識は一切ないということに気づかされた。中でも。地球環境が悪化しているということは知りながら、限界にまで達しているということは知らなかったので衝撃を受けた。
- SDGsの取り組み方は国や個人に任されていて決まったルールは無いと聞いて、各国の取り組みを調べたいと思った。
- 「やりたいことと目標がなかったから東南アジア周遊してみて、その結果何も得られなかった。」という国谷さんの話を聞いて、やりたいことがなくても何も得られないことを恐れずまずは行動してみることが大切だと感じた。
- 全員が地球のために何も出来ないと思っていたら何も出来ないが全員が少しずつ何かをすれば大きな力になると学んだ。
- 食品ロスが近年問題視されているのは知っていたが、日本だけでまだ食べることのできるのに捨てられている食料が世界全体で行われている食糧支援の約二倍であると聞き衝撃を受けた。もし日本人が食品ロスに気をつけ、余分な食料を貧困で悩む地域の食糧支援に回すことができれば飢餓で苦しむ人を救えるのに、そう言った人たちがのどから手が出るほど欲しがる食料を日本人は期限が切れたから捨てるなどという軽々しい理由でゴミにしてしまうことを悲しく感じ、私自身も気をつけないといけないと感じた。
- 女性の管理職割合が日本ではまだ3.7%しかないという事が非常に驚きでした。黄金の3割とおっしゃっていましたが、30%に程遠く、また黄金とは言っても3割以上いるべきだと思うので、いかに平等化が進んでいないのかがわかりました。