第24回 学生スタッフレポート

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みんなちがっていい

矢野 デイビット 氏(ミュージシャン / 俳優 / 一般社団法人Enije代表 / 明星大学客員講師)

こんにちは。「総合2020」第24回は、矢野デイビットさんに講演していただきました。矢野さんは、ガーナ人の父と日本人の母を持ち、6歳の時に盗賊に襲われたことをきっかけに日本に移住しました。家庭内摩擦から児童養護施設で18歳まで過ごし、現在は俳優やミュージシャンとしても活躍する中、ガーナの自立支援団体である一般社団法人Enijeの代表としても活動し、社会問題をテーマとしたトークイベントなども主催されています。さらに、ドキュメンタリー映画「ハーフ」の出演以降、主にアイデンティやマイノリティ、異文化共存等をテーマに多数講演をされています。

講演で矢野さんは強盗に襲われたり、日本に移住後も家族がバラバラになり児童養護施設で育ったりと、壮絶な半生を送っていたことを明かしてくださいました。その後、ガーナに帰国したことをきっかけにアイデンティティ・クライシスにぶつかったそうです。自分とは何者かという問いを追求することで、矢野さんは「何者か?」という「枠」に囚われる必要はないと気づき、何にも囚われない自分の存在を認められるようになったそうです。

矢野さんは、現在運営しているガーナの自立支援団体Enije設立の背景もお話してくださいました。きっかけは、26歳でガーナを再訪した際に出会った矢野さんそっくりの乞食の少年だったそうです。矢野さんは彼を見た瞬間、矢野さん自身の過去を重ね、児童養護施設にいた頃「弱い立場にいた自分を見捨てるような大人に絶対ならない」という強い思いを抱いていたことを思い出したそうです。そして、過去の自分や少年のような物乞いをする子供たちを見捨てたくないという気持ちから、Enijeを設立されました。Enijeは順調に活動を展開していたのですが、東日本大震災によってその活動を停止せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。矢野さんは子供たちに不満を言われるだろうと思ったそうですが、ガーナの子供たちは日本人が辛い思いをしていることに対し純粋に悲しんでいました。彼らの姿を見て、矢野さんは、私たちは生まれながらに「共感性」という心を持っていることに気づき、人間はどんなに大きな違いを持っていても心で分かり合い、共存することができるということを確信したそうです。

私は「総合」スタッフになる前から、「もしスタッフになったらハーフの方を呼びたい」と考えていました。なぜなら、日本は未だ多文化共生社会実現の半ばにあり、私たちが無意識のうちに日本以外の国にルーツを持つ人をマイノリティとして捉えてしまっていることに問題意識を持っていたからです。しかし、矢野さんのお話を伺い、今まで私自身は「日本人」というマジョリティの立場にいると感じていましたが、誰もがマイノリティの側面を持っているということに初めて気づきました。現在では、円滑なコミュニケーションをするために、例えば相手の肌の色や宗教等に言及するといった、マイノリティの要素を話題にし深入りすることがタブー視される風潮が高まっていると感じます。矢野さんはこれに対し、お互いのマイノリティの側面から目を背けることがコミュニケーションを更に滞らせているのではないかと仰っていました。避けられることの多い話題も、理解したいという思いがあれば、嫌悪されることはないので、恐れずに話題にすることが大切であると教えてくださいました。

最後に矢野さんは、マイノリティやマジョリティという「枠」を超えてそれぞれを一人の人間として見ることが「俯瞰する」ということであり、それを手にする鍵は私たちが本来持っている「共感性」だとお話されていました。人々が心を閉ざしがちな現代社会でも、「勇気を持って心を開いて会話をすれば、他人と心から繋がることができる・私たちは共存することができる」という矢野さんのメッセージは、まぎれもない希望だと思います。矢野さんは壮絶な人生を歩み、様々な世界や人々と関わったことで「俯瞰力」が身に付き、上記の結論に至ったのだと思います。改めて「俯瞰力」の大切さを感じました。矢野さんの心からの言葉を胸に、私はこれからも「俯瞰力」を探求し続け、心を開いて人々と理解し合うように心掛けようと思いました。

国際関係学科2年 はなこ

コメントシートより

  • 今回の矢野さんのお話は、私たちの心に訴えかけられているような気がして、一つ一つの言葉が胸に刺さりました。矢野さん自身のガーナで盗賊に襲われた経験は、非常に恐ろしく考えただけでゾッとしました。児童養護施設での経験についても胸が痛くなるような気持ちでした。しかし、そんな経験を持っている矢野さん自身は、その過去から逃げずに、明るく前向きに生活していらっしゃる様子がとても印象的でした。自身の辛い過去を憎んだり悔やんだりするのではなく、自分と同じような辛い思いをしている子どもたちに寄り添うために導かれた運命だと考えられている姿には、非常に感銘を受けました。また、マイノリティーについての話にも深く考えさせられました。私は今まで大学で学びたいこと、また人生のテーマとして「異文化理解」を掲げていました。しかし、今回の講演で互いを理解することが難しくとも、共存していくことはできるというお話や、冒頭の「学ばなければ、私たちは分かり合えないのか」問いは非常に興味深かったです。私はこれから大学で異なる文化や宗教といった多くのことを学び、異文化理解を深めていきたいと思います。その上で、すべての人「共存していく」社会をつくっていくにはどうしたら良いかという点を、今後追求していきたいと思います。
  • 違いを封印しようとするのではなく違うからこそ他者と関わっていくことが、居心地の良い環境づくりにおける第一歩なんだということを学習しました。私はこれまで、自分が聞くことによって相手がどう思うかを先に考え、場が険悪な雰囲気になることを恐れ、話さないという選択をすることがよくありました。しかし、私は矢野さんの「言わないことは一見礼儀のようで礼儀ではない」という言葉を聞いてハッとしました。私は今まで違いを理解しあって共存するという道を自ら閉ざしていたんだということに気がつきました。違いを共有することは、他者を理解するだけでなく、自分自身への理解にも繋がると思います。これによって、矢野さんも仰っていたように、今後の人生において役立つ知識が身につき、自分を信じることができる可能性を持っていると感じました。
  • 人間は自分が生活する環境を選ぶことはできない。しかし、そこで楽しい生活を送ることができるかできないかは、自身が置かれた環境に対する捉え方で変わってくるということを学んだ。矢野さんは、自分が社会的にマイノリティであるということから、思うように行かない人生を送っていたと仰っていた。私たちの意思や感情は行動や態度となってそのまま表れ、それは他者にも伝染するとお話しされていた。相手を変えたいと思ったら、まずは自分が変わること、多様性を理解してもらいたいと何かしなきゃと考えるのではなく、自分自身が体現していくことが1番であると思った。人との出会いは、自分が新しいことを理解することの手助け、きっかけになるというお話を聞いて、私は様々な人に出会うことがとても楽しみになった。自分の生活における全てで心ある選択をするように努めることの大切さを学んだ。
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