第15回 学生スタッフレポート

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グローバルコンピテンスを育む学びとは?

小原 ベルファリ ゆり 氏(経済協⼒開発機構(OECD)幼児教育・学校教育課⻑)

 11月5日の第15回「総合2020」では、女性研究者支援センターと連携し、講演会を開催いたしました。今回は経済協⼒開発機構(OECD)幼児教育・学校教育課⻑である小原ベルファリゆりさんに、フランスからご講演いただきました(おそらく「総合」初の海外からの中継です!)。小原さんは、津田塾大学の卒業生であり、大学時代に学んだ分野を生かして現在も国際的に活躍されています。

 今回の講演では大きく3つのことについてお話しくださいました。1つ目はOECDで小原さんが現在担当されているPISAについてです。日本でも度々、学力調査などPISAの調査が話題に挙がります。日本という1カ国を見るだけではなく、色々な国と照らし合わせ、分析することで、学習をより良くする方法を考えることができるそうです。また教育では、学力を向上させるだけではなく、グローバルコンピテンスを育むことも大切です。今回、小原さんが関わった調査によって、教員をサポートすることや、世界について学ぶ機会、世界や異文化に肯定的な態度を育む学習環境、異文化の人々と関わる機会をつくることが重要であることが見えてきたそうです。(調査の詳細についてはOECDのホームページからご覧いただけます。)国同士が直接的にも間接的にもつながっている現代では、世界の相互のつながりを無視して発展することはできません。このような学力以外の力をどのように調査、分析することができるのかについても考えておられます。グローバルコンピテンスのように国や人によって捉え方が異なる事柄について調査する際には、それぞれの視点を合わせながら、みんなが合意できるような定義を作ることが大切だそうです。

 2つ目は小原さんのキャリアについてです。小原さんは津田塾大学国際関係学科に在学していた頃から世界教育について関心があったそうです。大学卒業後も様々な活動をする中で、教育の分野で国際協力の仕事につくことを決めた小原さんは、スタンフォード大学の大学院に進み、さらに専門性を高めたのちに、国際開発コンサルティング会社、ユニセフでの仕事を経て、OECDのシニアアナリストとして働くことになったそうです。OECDでは、36カ国が集まりお互いの政策を学び合い、調査から得た結果を各国の代表や政策立案者に示したり、各国のより良い教育のために提言を発信したりしています。小原さんは現在、調査管理職としてそのような調査事業のマネジメントをされているとのことです。

 最後に小原さんは、国際機関で働く時に大切な3つのコンピテンス「伝える力」、「共感する力」、「人間力」についてお話しくださいました。国際機関に関わる人は、同じような文化的背景を持つ人ばかりではありません。異なる文化的背景を持つ人にもいかに自分の考えを分かりやすく伝えるか、また何を伝えたいかという意見をしっかり持つのが「伝える力」です。一方で、そのような人は何を考えているのか、自分の言うことをどのように捉えるのかを理解するのが「共感力」です。そして、この人と一緒に仕事をしたいと思わせる人間的な魅力が「人間力」です。この3つのコンピテンスは自分自身が周囲の人と関わる時にも重要であると感じます。同じ日本人、同じ大学の友人であっても、全く同じバックグラウンド、同じ考えを持つ人がいないという点は同じです。自分とは違う誰かと関わる上で、これらのコンピテンスを育むことは大切ではないでしょうか。また、これら3つのコンピテンスやグローバルコンピテンスを育むことは、自分とは異なる周りの世界を俯瞰することにも繋がるのではないでしょうか。

 「一歩外に出たからこそ、次の選択肢が見えてくることがある。」と小原さんがおっしゃっていたのが強く印象に残っています。小原さんは様々な経験をする中で、「IKIGAI」を見つけ、活躍されています。「IKIGAI」(生きがい)とはヨーロッパで流行っている日本語で、自分が楽しいこと、人にも役に立つこと、自分が得意なことが役に立つことの3つが重なり合う部分を指す言葉だそうです。私も小原さんのように一歩と学びを積み重ねながら、自分自身の「IKIGAI」を見つけていきたいです。

情報科学科2年 すみっこ

コメントシートより

  • 初めから何になるからここにいくと全てを決めなくても、自分が今までいた場所から異なる場所に身を置いて初めて、新しい自分を発見できたり、新しい選択肢を見つけることができたりするきっかけになるということを学んだ。私は、自分が将来どうあるべきかが定まらず、周りを見て焦ってしまうことがあるが、自分は自分であり、自分の意志で、ペースで考えることも必要であることを教えていただいた。ただ、どんな道に進むとしても、自分の得意とするものを何か一つでも見つけ、考えたり、調べたりしていかなくてはならないと感じた。自分の興味や関心に常にアンテナを張っておくことは俯瞰力につながることであると思う。異なる場所にいったり、普段と違う経験をしたりすることを通して、新しい自分が見えてくるのではないかと考えている。
  • 世界の教育についての様々なデータを見ることができ、意外な結果や問題があることを知ることができました。私は今まで、海外と日本を比べて海外の制度や方法を真似するということに対して、同じ国じゃないし文化や言語、価値観など全然違うのに同じ方法をやってもうまくいかないのではないか、と思っていました。しかし、今回小原さんがおっしゃっていたように、比較し外を見ることによって、意外な共通点を知ることができたり、似ている点からその制度や方法を真似することができる、ということを聞いて、やはり物事を俯瞰するためには外に目を向けることは大切なのだと改めて気がつくことができました。自分が知っている世界、内側の世界だけでは決して気づくことができないことがたくさんあり、いったん外に踏み出してみるからこそ、わかることもたくさんあるのだと学ぶことができました。
  • 小原さんの講演から、人間力を身につけるためのヒントを学びました。今回、初めて講演者の方に直接質問することができました。小原さんはこの人なら一緒に仕事をしたいと思わせるような「人間力」が大切だとおっしゃっていました。そして、実際に同僚とコーヒーを挟んで他愛のない話をすることによって、自分は相手に興味を持っていることを伝えているという話を聞くことができました。そのことから、周囲の人々のことを気にかけることの大切さを学びました。人間力と伝えること、共感することは深く結びついていて、3つそろえて初めて効果を発するものだと思います。そして、これは相手の立場を考え、自分の立場を知らなければできないと思いました。周囲の人々のことを気にかけるのは、意識的に行わなければなかなかできないことですので、まずは意識することから始めてみようと思います。
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