第7回 学生スタッフレポート

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Work as Life 「好き」を仕事に
「ワタシ」を編集する生き方・働き方

北原 優 氏(編集者(コンテンツディレクター))

みなさん、こんにちは!

5月30日(木)「総合2019」第7回は、北原優さんにご講演いただきました。北原さんは津田塾大学国際関係学科を2014年に卒業後、編集者を経てコンテンツディレクターとして活躍していらっしゃいます。今回の講演では、北原さんが今までに手がけた編集の仕事の紹介を中心に、仕事をする上で実践されている”Work as Life”という働き方についてお話していただきました。

さまざまな仕事を紹介してくださる中で一番印象に残っているのは、翻訳児童書『ぼくとベルさん』の編集を手がけた時のエピソードです。この本は”児童書業界の直木賞”と称される、青少年読書感想文全国コンクールに選定され、ベストセラーになっています。『ぼくとベルさん』は、識字障害をかかえる少年と発明家の男性の交流を描いた物語です。識字障害というハンデをどう伝えるかや、文章の理解を深めるためにどのような装丁や挿絵にするかなど、さまざまな点を考慮して編集するのはとても難しい仕事だったそうです。文中には、一般的に子どもが想像しにくいようなものも登場していたそうですが、それを挿絵にしてわかりやすくしたという話を聞き、私が子どもの頃も、編集者の方々のこういった工夫のおかげで楽しく本が読めていたのかなと思いました。

また、編集者の仕事は、企画書の作成から著者との打ち合わせ、装丁の依頼や原稿整理まで多岐にわたるそうです。原稿の編集をするのかな、とぼんやり思っていた私にとって衝撃でした。その上一度に数冊を担当しなければならず、私だったらとてもこなせないと思ってしまうような仕事量です。

北原さんは就職活動で悩んでいたことがあったそうです。そのときに読んだ本で「寝ている時間以外はすべて仕事であり、その仕事が趣味である」という言葉に出会い、Work as life という働き方を意識するようになりました。Work as lifeとは、現在よく耳にするワークライフバランスとは対照的な働き方です。ワークライフバランスとは、仕事と生活を別個のものとした上で釣り合いを保つという考え方です。それに対してWork as lifeは、自分の仕事を趣味のようにして、仕事と生活を融合させるライフスタイルです。

私は今まで、趣味と仕事の両立はできても、趣味を仕事にするのは現実的ではないので、就職したらワークライフバランスを意識して生きていこうと思っていました。現在も、趣味と大学の勉強はほぼ切り分けられています。しかし、自身の仕事について話される北原さんは本当に楽しそうで、まるで趣味を満喫している時のようでした。もちろん自分の興味のある仕事につくことが大前提ですが、仕事をまるで趣味のように、生活の一部として楽しむことはできるのではないかと思えました。

北原さんは在学中、バングラデシュとインドへのバックパック旅行に行ったり、タイにフィールドワークに行ったりしたそうです。そういった、さまざまな分野にアンテナを張って飛び込んでいく積極的な姿勢が、今の編集者やコンテンツディレクターとしての働き方や、Work as lifeというライフスタイルの実現に通じているように感じました。私は自分が将来どんな仕事に就きたいのかはまだ具体的に考えられていませんが、Work as lifeを実践する生き方、働き方を選択肢の一つに加えることができ、また現在の学生生活を見直す良いきっかけとなりました。

国際関係学科1年 枝豆

コメントシートより

  • 自分の「好き」を仕事にするまでにさまざまな道のりを歩んでいて刺激を受けた。
  • 学生時代から様々な経験を重ね、自分の向き不向きや嗜好を見つけることの重要さを再実感した。
  • 本を作るためには様々な人がどう感じるのかをしっかり考えなければならず、客観的な視点が必要な仕事であると感じた。
  • 仕事というものを人生の中で自分なりにどう充実させるか、仕事以外のところで得たものをどう仕事に発展させるかということを大切にしていきたい。
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