第4回 学生スタッフレポート

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つながる、エシカル
〜ひとと、自然と、わたしをつなぐファッション〜

小森 優美 氏(株式会社HighLogic代表取締役 / 社団法人TSUNAGU代表理事)
小澤 茉莉 氏(社団法人TSUNAGU システムデザイナー)

こんにちは。

5月9日「総合2019」第四回は、小森優美さんと、小澤茉莉さんにお越しいただきました。お二人は、社団法人TSUNAGUのメンバーで、小森さんは代表理事、小澤さんは津田塾大学の4年生に在籍しつつ、このTSUNAGUでシステムデザイナーをされています。エシカルファッションとは何なのか、何を大事にして服を作っているのか、また服の生産過程でおこる様々な問題について、詳しくお話ししてくださいました。

講演は小澤さんのお話から始まりました。小澤さんは、「ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償〜」という映画で、服の生産が様々な問題を引き起こしているという事実を知ったそうです。「世の中には、人の手に渡ることなく捨てられている衣服がたくさんある。化学繊維で作られている衣服は、200年間土にかえることがないため大きなごみの山を形成している」と聞いて、私も小澤さん同様に、とても驚きました。また、それらの廃棄物は有毒ガスを出し続けており、衣服を作っている人達にも様々な健康上、人権上の問題があるそうです。綿を早く収穫するために枯葉剤を用いることで、人体に悪影響が出ている現状があることも今回初めて知りました。

「世界の問題について、インプットはたくさんしているけど、現状をみたことがない。」そう思った小澤さんは、オーガニックコットンを使った服を作っているブランドの生産現場を視察するためタイまで行ったそうです。伝統的なものづくりと、誰がどこで作った衣服なのか明確にして生産者と消費者のつながりを大切にしたいと考え、それを日本で実践するため、エシカルファッションに関わるようになったそうです。

エシカルファッションとは、環境・人権・労働に”倫理的に配慮した”ファッションであり、TSUNAGUは、次の三つの理念を大切にしています。一つ目は、倫理的で持続可能な文化を次世代に継承していくこと。二つ目は、誰でも買うことができるエシカルな商品が選択できる社会を目指すこと。三つ目は、若者が伝統技術の商品に触れるきっかけをつくり、その価値観を広げることです。そのために、原価に近い価格、原価とプロジェクトに関わる人へのお金を追加した価格、それらに次回のプロジェクトのための費用を追加した価格の三段階の価格に分けて、商品を発売し、お客様が手に取りやすく、理解できる価格を提示しているそうです。そうすることで、どこにお金がかかっているのかが明確になるため透明性が高まり、消費者の想いを乗せた価格になるという理論は、消費者も製造者も誇りをもって洋服を手にすることができるため、素晴らしいと感じました。また、先にオーダーをとって、必要な分だけ服を作るという手段は、前述したごみ問題を解決する方法になるため、とてもいいことであると思います。

TSUNAGUの代表理事である小森さんは、ファッション業界を、巨大ブランドに付随する業界から、大きすぎない、多様性のある、カラフルな業界に変えたいとおっしゃっており、個人の力を生かせる世の中の必要性を再確認することができました。

授業の後半では、実際にデザイナーになり、販売方法までを考えるというワークショップが行われ、受講生が独創的なアイデアを生み出していました。

洋服に隠された問題やそれに対する取り組みを聞いたことで、洋服を選択する際に重要視すべきことは何なのかや、日常的に使っているものが何らかの問題を引き起こしているのだという現実を直視する必要性を感じたのではないでしょうか?毎日使っている洋服について深く考える良いきっかけになったと思います。

英語英文学科2年 ジャスミン

コメントシートより

  • ファッションは好きだけど、表面しか見ていなかったことに気がついた。背景にある環境問題についてもっと真剣に考えたい。
  • デザインや価格だけでなく、素材や企業の理念をみて服を選ぶ必要だと感じた。
  • 1年で10億着の服が人の手に届かず廃棄されていると聞いて驚いた。
  • 服を買うときもよく考えることで世界に貢献できるのだと知った。
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