第3回 学生スタッフレポート

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一般的な家庭でも起きる児童虐待について

戦慄 かなの 氏(アイドル / NPO法人代表理事)

みなさん、こんにちは!
4月25日の第3回「総合2019」には、アイドルであり、NPO法人baeの代表理事でもある戦慄かなのさんにお越しいただきました。今回は講義と質疑応答の2部構成で、たくさんの受講生からの質問にお答えいただきました。

児童虐待。この単語を聞いて多くの人が注目するのは、貧困層でのネグレクトや親が子どもに対して愛情もなく振るう暴力かと思います。しかし、戦慄さんが注目していたのは、普通の家庭における「一見気づくことの出来ない児童虐待」でした。虐待について語る前、戦慄さんは自分の生い立ちについて話してくださいました。母親からのネグレクトや暴力に関して、戦慄さんは母に問題があるのではなく、自分に問題があるのだと当時は捉えていたそうです。お母さんにとって良い子の自分でいたいという思いは、反動として内ではなく外に向かって吐き出され、結果として戦慄さんは少年院に入ることになりました。

少年院に入ってくる人は、最初は全員「大人なんて信用できない」と考えているそうです。戦慄さん自身も「自分の考えを誰かに影響されて変えていくなんて気持ち悪い」と感じていたそうです。しかし、自分と本気で向き合ってくれた少年院の先生がいたことで、考えが少しずつ変わっていったそうです。

少年院を出て、戦慄さんは大学に入ることを目指し、浪人する傍らアイドルオーディションに応募しました。最初は少年院などで収容されてきた子どもたちと関わる法務教官になることを目指していた戦慄さんは、最終選考に残った際、何故オーディションに応募したのか自分自身に問うたそうです。そして、自分が気づいて欲しかったのだと、傷ついた自分・助けて欲しかった自分を思い出し、悩み、苦しんでいる子どもを少年院に入るより前に見つけたい・救いたいという思いから、ふんわりとしていたアイドルになる夢を今度は目標として決意しました。

その後、虐待についての話になりました。戦慄さんは自身が虐待を受けていたと気づいたのは、少年院に入ってからだと言います。それまで虐待は親が子どもを憎んでするものであり、自分は母親と仲が良いから違うと思っていたそうです。しかし、少年院に入り、母親と距離が出来て、初めて自分が母親からされていたことは虐待だったと腑に落ちたと言います。今思えば共依存のようなもので、そう思いたくない自分がいたのだと。

虐待は誰にでも起こりうることです。しかし、加害者側は自分が行っていることは虐待であると気づくことはとても難しいそうです。理由は2つ。1つ目は被害者意識です。加害者にとって自分はいつも被害者であり、加害者という意識がないこと。2つ目は過大評価です。加害者側の行動の中心はいつも自分であり、自分が出来ることは皆も出来る。自分との違いが許せず、行動に移した結果、虐待に繋がるのだと戦慄さんはおっしゃいました。

戦慄さんが少年院を出てからも、戦慄さんのお母さんは何も変わらなかったそうです。大人は変わることは難しい。大人相手に変わることを期待するより、自分が変わるしかないと考え、戦慄さんは今まで母と暮らしていた家を妹さんとともに出て、自立への道を歩み始めました。そして、少年院での経験を携えて自立への道を歩み始めたことで、母親との距離感の大切さに気付かされたそうです。近すぎて見えなかった母と自分の関係のおかしさが、少年院を出て、家から離れることで正されるようになったと言います。

子どもは自分が立たされている状況に罪悪感を感じる必要はない、と戦慄さんは断言されました。その後の質疑応答の中でも、自分を大切にしてほしい、自分が楽だと思った方向に向かって良い、自分が好きな自分で良い、と何度も繰り返されていました。

戦慄さんが立ち上げたbae(https://www.dear-bae.com)はコミュニティの再構成を活動理念の1つとしてあげているそうです。自分の考えるちょっとしたモヤモヤでも吐き出せる場所を提供したい。誰かと関わることで、簡単には見えない虐待を少しでも減らせるかもしれない。そんな思いが詰まっているそうです。

今回の講演で、虐待は自分も他人も簡単には気付くことができないからこそ社会問題になるのだと深く思いました。誰かに声をかけること、少し話を聞くことで変わるものがある。誰かが勇気を持って発したヘルプに、私も気づきたいと考えさせられました。

英語英文学科3年 あられ

コメントシートより

  • 自分が今の社会問題に対してできることは何か、考える姿勢が大事だと気がついた。
  • 人のために活動したり、人に対して愛情・思いやりを持つことは本当に大事なことだと再認識した。
  • 本を読むことと気持ちの言語化は一番共感できることで、効果的なことだと思う。成長する上でとても大切なことだと思った。
  • 虐待問題を抱えている親子の関係は全て冷めきっていると思っていた。しかし、そうではない形もあると知って驚いた。
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