第25回 学生スタッフレポート

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私がいるとは、どういうことなのでしょう。
~難病ALS患者を見つめて~

武本 花奈 氏(写真家)

皆さんこんにちは!

 2020年1月9日の「総合2019」第25回には写真家の武本花奈さんが来てくださりました。
武本さんは2014年から、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される難病の患者さんを撮り続けている方です。今回は「私がいるとは、どういうことなのでしょう。〜難病A L S患者を見つめて〜」というテーマで講演を行っていただきました。

 武本さんは、23歳から写真の世界に入り、5年間写真スタジオで朝も昼もなく働いたそうです。28歳で結婚したあとも、家族が健康を害してしまうなど問題がたくさんあり、7年間家族の問題のなかで自分の人生をどうコントロールしていいのか、できるのか、とても悩んだそうです。悩まれた後に、家庭の問題についてばかり考えることから一旦離れ、自分が本当にやりたいことを考えてみた際に、一番大変な状況だからこそ、あえて自分が本当に何をやりたいのかもう一度自分に問いただす作業をされました。その結果、どれも捨てないと決意し、本の仕事に携わりたいと本のための写真の仕事をし始めたそうです。

 2013年、武本さんの脳に腫瘍が見つかりました。自分の病気について調べていた時に「ALS」という言葉を見つけ、さらに本屋でALSについて書かれた本を見つけたそうです。そして、その1週間後実際に患者さんに出会う機会があり、その方に「自分の写真を撮ってくれませんか」とお願いされたそうです。3年間かけていろいろな姿を撮影し、『閉じ込められた僕ー難病ALSが教えてくれた生きる勇気ー』という一冊の本にまとめられました。その後も武本さんはALSの患者さんの写真を撮り続けていらっしゃいます。

 武本さんが紹介してくださった二人の患者さんの言葉に、私はとても心を打たれました。まず、武本さんが最初に出会ったALSの患者さんである、藤本さんという方の「人はいずれ死ぬから僕は特別じゃないよ」という言葉です。自分は明日死ぬかもしれないのだから1日1日を大切に生きることが大切だな、と当たり前なことを思い出すことができました。そしてもう一人、飯島さんは、私たちのために、少しだけ動く左足の親指に機械をつけて文字を書き、A4版用紙の2/3枚分の文章を8時間かけて書いてくださいました。そこには、「仕事をできる人は明確な目標を持っている人です。そんな目標が持てるように大学時代にいろんな経験をして欲しいです。」とありました。私は勝手なイメージで、寝たきりで少ししか体が動かないとどんどんマイナス思考になって、ふさぎこんでしまいそうだな、と思っていました。なので、飯島さんがこのような前向きな文章を書いてくださることに、とても驚きました。武本さんは患者さん自身の前向きな言葉を私たちに伝えたいと思って、お二人の言葉を紹介してくださったのだと思います。

 お話と共に写真を見ることで、ALSの方々のことがよりよくわかり、ALSの方の笑顔や武本さんの写真でALSについて伝えようという思いが伝わりました。一瞬を切り取っているけれど、たくさんの思いが伝わってくる写真の素晴らしさにも触れることができました。普段は考えることもなかった、ALSという病気のことをたくさん知ることができてよかったです。

国際関係学科1年 あき

コメントシートより

  • 無意識のうちに、自分と他のものとの間に線を引いてしまっているということが今回の講演を聞いてわかった。
  • 自分が身近に感じた病気を自ら追いかけて世界中に知らせようと行動している姿勢がかっこいいと感じた。
  • 自分が何不自由なく色々と普通の生活ができていることがとてもありがたく感じた。今やりたいことを後回しにせずに挑戦してみようと思った。
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