第12回 学生スタッフレポート

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育てる-山村留学・子供観-

青木 厚志 氏(育てる会理事長)

 みなさん、こんにちは!

9月26日、「総合2019」第11回は「育てるー山村留学・子供観ー」というテーマで、青木厚志さんにご講演いただきました。青木さんは、約30年前から長野県の北アルプスにある八坂学園・美麻学園と呼ばれる留学センターで小・中学生の子供達の、1年間の山村留学をサポートする活動をされています。今回の講演では、山村留学とは何か、そして山村留学を通して子供達がどのようなことを学べるか、についてお話していただきました。

私は、自分自身も山村留学をしていた経験があるため、自分の体験がどのような意味を持っていたのかについて答え合わせをするような形で講演を聞かせて頂きました。特に心に残ったことは、生きていく上で必要な能力は、7つに分けることができるというお話です。子供の個性・多様性を発見するためには、創造力、共感力、巧緻力、判断力、モチベーション、個性力、学力のそれぞれを大人が見出してあげないといけないと青木さんは仰っていました。学校では、学力によって評価される場合が多いですが、山村留学では、様々な活動を共に行い、一緒に暮らすことで子供のあらゆる面を見ることができるので、これらの能力を見出しやすいと思いました。山村留学をしている時に、大人の人から客観的に自分の能力を評価してもらったことは自信につながり、出来ない事があったとしても、他のことが出来ればそれでいいという私の思想を育ててくれたように感じます。

青木さんは、心を育む5つの「不」というものも紹介していました。不足、不満、不便、不快、不潔。現代社会では、これらを経験する事が少ないが、これらを経験することで、欲求不満耐性が作られ、多様性への適応力や、受容力の体得ができると仰っていました。確かに、山村留学ではテレビもゲームもない環境で過ごし、学校へは5キロ以上歩いて通い、毎日川や田んぼで遊んで泥まみれになるような生活を送るので、これらの不を体験することが多くあります。不の体験が、何気なく使っている物の有り難みを感じることや、不からの脱却を目指す向上力を育てることにつながると感じました。不を感じる生活は昔では当たり前のことだったのに、そのような生活をする人の方が少ない現代に生きる私達は、便利であることに慣れすぎていて、我慢が足りていない場面も多いのではないかと思いました。

また、山村留学を一年間行う理由は、農作業の全てのプロセスを体験してもらうためだと仰っていました。当初の山村留学は夏休みや冬休みなどの短期間で実施されていましたが、それでは子供達が本物の体験をできないと思ったため、一年間にしたそうです。「米」という字にその意味が込めらえているようにお米づくりには88の作業が必要です。その作業を全て体験するからこそ農業の大変さを体感し、食べ物を粗末にすることをやめたり、自然と上手く共存していかなければならないことを感じるようになるのだと思います。農業以外にも、自分が1年間使う茶碗づくり、みんなで食べる味噌づくりなど様々な体験をすることで、普段使っている全ての物は自分の代わりに誰かが作ってくれているんだという意識も生まれると思いました。

現代の生活と昔の生活、都会の生活と田舎の生活。どちらにも良さがあり、多くの学びを得ることが出来ます。新しいものや便利なものに興味を惹かれ、古いものは全て捨て去りたくなりますが、そこで一瞬止まって考え、古いものにある良さを残していくことが大切だと思いました。山村留学をすることは、目に見える成果を得られる訳ではなく、ほとんどの留学生は山村留学をする意味を理解しないまま一年間を過ごすと思います。しかし、一年間の楽しかったという記憶や自然と向き合った経験が心の中にあり続けることは、その後の人生の幸福度を高め、豊かな心を育ててくれると感じました。

英語英文学科2年 オーロラ

コメントシートより

  • 普段あまり意識していなかったが、人間と自然の関わりは重要なものだと思った。
  • 山村留学の様子のビデオを見たときに、テレビや漫画が無い生活なのに子供達が活き活きとしていて驚いた。
  • 小中学生の時間があるときに、このような経験をすることは、一生の思い出になって、いいなと思った。
  • 子供の能力を褒めて、自信を獲得させ、自己肯定力を身につけさせることが出来るような大人になりたいと思った。
  • 育つ環境によって、子供の思考や生き方が大きく変わるということが講演を聞いて分かったように感じた。
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