第10回 学生スタッフレポート

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家族でキャリアを考える
~働きたくない夫と、働きたい妻の試行錯誤~

林 寛平 氏(信州大学大学院教育学研究科准教授)
中田 麗子 氏(ウプサラ大学客員研究員)

みなさん、こんにちは!
夏休みも終わり、だんだんと涼しくなってきたように感じられる9月、第3ターム最初の講演のタイトルは、「家族でキャリアを考える〜働きたくない夫と、働きたい妻の試行錯誤〜」でした。講演者は、働きたくない夫こと林寛平さんと、働きたい妻こと中田麗子さんというご夫婦です。

最初に話し始めてくださったのは中田麗子さんでした。まず、産休・育休によるキャリア中断の弊害、復職後の勤務形態の変化に触れた上で、お仕事を辞めてしまった同世代女性の同僚たちの話も交えながら、自身の選択である、フリーランスという働き方について話してくださいました。印象に残っているのが、スーパーキャリアウーマンとも言える人たちの子育て中の働き方についてでした。彼女たちは、仕事をするために、朝4時に起きて家事を済ませてから出勤し、その上残業をする人、またはその逆で、家事をすべて外注(お手伝いさんなどを頼むなど)にして仕事に完全に打ち込む人などです。しかし中田さんは、そのような働き方は誰しもができるわけではなく、みんなのロールモデルにはならないのではないか、と言います。女性で仕事を続けたいならそのような選択しかない、と考えていた私は、すでに自分が固定観念に囚われていることに気がつきました。

次に、林寛平さんの話が始まりました。林さんがお話してくださったのは、自分が持続可能に生きるにはどうしたらいいか、ということでした。靴下など、いつも同じものを買うことで、生活をできるだけ「規格化」し、少しでも効率を良くすることや、頑張るのを目的にするのではなく、楽をするために頑張る、ということを実践しているそうです。ふと振り返ってみると、日本の社会は、林さんのおっしゃる通り、頑張れば頑張るほど、より多くの頑張りを必要とされる場面が多くあるように思えます。頑張ること自体を美徳とするようなことさえあります。しかし、頑張るとは、実際は何かに向かって、目的や目標がある上で行うことです。私ももう少し、自分の「頑張り方」を見直してみようと思うことができました。

今回の講演では、もしかしたらいつも片側の意見しか聞いていなかったかもしれない夫婦両方のお話を同時に聞くことができる、とても貴重で面白い機会でした。最後の質疑応答の時間には、聴衆との対話を大事にしている、ご夫婦の素敵な姿も拝見させていただきました。質疑応答の受け答えの中で、お子さんについてのお話が出ました。お子さんは幼く、まだ家族の形のステレオタイプに囚われていないようで、「もしかしたら今後、教育や周りの環境を見て、自分たちの家族がいわゆる一般的な家庭と違うと気づくかもしれない」というセリフが印象的です。普通とはなんなのか、一般とはなんなのか、改めて考えさせられました。そのような先入観のない、子供のような純粋な視点で、家族というものを考えてみたくなりました。

なお、この講演は、女性研究者支援センターとの共催でした。

国際関係学科3年 モノクロ

コメントシートより

  •  家族の形の固定概念を覆すような夫婦、家族がいることを知り、視野・考え方が広がった。
  • 今の家庭は男女の差がなくなってきている。私は将来、結婚をしないで仕事だけしたいと考えているので、賛成。
  • 男の人が仕事をしたくないと聞いて自分が疑問を抱いたのは、固定観念が染み付いてしまっていたからだと思った。
  • 男の人が育休を取るのは珍しいと思っていたけど、これから男の人も育休が当たり前に認められる社会になってほしい。
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