第25回 学生スタッフレポート
「今振り返る、学生時代、仕事、結婚、子育て、そして現在のこと」
佐藤 亮子 氏(浜学園アドバイザー)
今年度最後の「総合」は、浜学園アドバイザーの佐藤亮子さんに講演していただきました。佐藤さんは、ご自身のお子さん4人を最難関である東京大学理科三類に合格させ、メディアで話題となった方です。講演会では、佐藤さんがどのように考えてお子さんの教育をされたのかや、津田塾大学在学中のお話をして頂きました。
佐藤さんが子供の受験に力を入れたきっかけは、子供以上に自分を必要としてくれる人はいないと考え、自分の手で大事に育てようと思ったことだったそうです。当初は、いい大学に入ってほしいと思っていた訳でなく、基礎学力をきちんと身につけた教養のある大人になってほしいという思いだけだったということに大変驚きました。学歴が大事という考えで、小さい頃から熱心に勉強させたのだと思っていたからです。
私が講演の中で最も心に残ったことは、大学に入る前までは失敗体験などする必要がないというお話です。大学に入るまで、全ての責任は親にあるため、失敗体験をさせず、自信をつけてもらうことが大事だと佐藤さんは仰っていました。私の両親は、失敗から学んでいきなさいというスタイルをとっていたため、私にとっては新たな発想でした。失敗体験は、時に自信をなくしたり、新たなチャレンジを拒む原因になったりします。自信をもって堂々と新たな道を切り開いていくためにはいい考えかもしれないと思いました。また、絵本を一人一万冊、童謡を一人一万曲と決め、現在薄れつつある昔話や昔から伝わる歌を聞かせたと仰っていたことも心に残りました。新しいものばかり注目される現代では、切り捨てなくてもいいものまで切り捨てているように感じるため、昔ながらのものの良さを再認識する必要があると感じました。
女性が仕事をすることが普通である現代では、どのように仕事と子育てを両立するか、男性と同じようにキャリアを積むためにはどうすれば良いかを考えることがよくあります。しかし、専業主婦として、子供と向き合って生きていくことも立派な一つの選択肢だと思います。夫と妻で家事の分業をすることが求められる時代であると思いますが、佐藤さんのように、「子育てと家事は全て自分がする。夫が口出ししない方が、ストレスが少なく自分が責任を持って全うすることができる。」という考え方も正しく、家族間のわだかまりを生まない方法であるかもしれないと感じました。また、子供や夫に怒ることはせず、悪いことは論理的に話して聞かせたとおっしゃっていたことも、自分が全ての責任を持っているからこそ、真剣に子供や夫と向き合ったことの現れであると思いました。
今年度の「総合」のテーマは、"漕ぎ出せ未来へーフレキシブルな心のコンパスを携えて"で、私は、大学生のうちに自分の価値観や生き方の軸を完成させなければならず、その手助けとなるお話を聞く授業として、「総合」を捉えていました。しかし、佐藤さんは、「やりたいことは変わっていくため、自分の軸を作ろうとし過ぎなくていい。軸を意識すると、考え方や行動を狭めてしまう。」とおっしゃっており、いつでもやりたいことが出来るようなフレキシブルさを持つためには、必ずしも、自分が作り出した軸に縛られる必要はなく、その時々で試行錯誤しながら、進んでいくことが大事なのだと思いました。
私は、今回の講演で、専業主婦として母親業をしっかりこなすのも、また人生の選択肢の一つであると感じ、将来の在り方について考え直すきっかけの一つとなりました。将来、教育に関わる学生にとっても、生徒の成績をどのように伸ばすか知ることができ、大変有意義なお話になったのではないでしょうか?
来年の講演者も様々な分野からお呼びし、この先、生きていくためのヒントを見つけられるような「総合」を作っていきたいと思います。来年度もよろしくお願いします。
英文学科1年 ジャスミン
コメントシートより
- 子育ての話ではありましたが、仕事にも非常に役に立つ知識を得られ、実りのある時間となりました。
- 子供のことをしっかり考え、寄り添って生きている佐藤さんを尊敬しました。
- 柔軟であるために軸を作らないという考え方は新たな考え方で、それを聞いて楽になりました。
- 教育には発想も必要なのだと思いました。
- 母親という立場をリーダーという立場に置き換えても同じことが言えるなと感じたことばかりだったので、大変参考になった。