第23回 学生スタッフレポート

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「当たり前」の家族像を越えて

堀込 泰三 氏(子育て兼業主夫・秘密結社主夫の友CEO)

こんにちは。2018年も残りわずかとなりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私の家では大晦日に、お父さんお手製の年越しうどんを食べる習慣があります。食卓には色とりどりの天ぷらやなぜか麻婆豆腐なんかも並び、家族全員で御馳走をいただきます。最近は男性も家庭進出をしつつある今日この頃、お父さんの台所に立つ後ろ姿がとても頼もしく見えますね。今回はそんな家事男子のベテランに来ていただきました。今回の講師の方は子育て兼業主夫・秘密結社主夫の友CEOの堀込泰三さんです。

堀込さんは大学院修了後、大手自動車メーカーでエンジニアとして就職。その後、2年間の育休を取得するものの、奥さんの米国転勤をきっかけに退職し、子育て兼業主夫に。現在は7歳と11歳の男の子を育てつつ、秘密結社主夫の友の一員として男性の家事育児参画の推進に尽力なさっています。

私は今まで主夫というと、“奥さんのために”とか“仕方なく”主夫になった、というマイナスなイメージが拭えませんでした。しかし、この講演を聞いて主夫に対するイメージがガラリと変わり、私の将来の家庭の選択肢がまた一つ増えたような気がします。では、堀込さんは一体どんな毎日を送っているのでしょうか。堀込さんのユニークな主夫ライフを少し覗いてみましょう!

基本は至ってシュフらしい毎日を送っています。と言っても、主夫業をなめてはいけません。まず、朝は5時に起床し、子供を幼稚園まで送り、洗濯や掃除などの家事をこなします。お昼はママ友とランチをしながら情報交換をし、夕方には慣れた手つきで夕飯の準備をし、くたくたになったころには子供たちと川の字になって寝る、という多忙な日々の連続です。私はこの話を聞いた時、一瞬だけ「男性なのに家事をソツなくこなしていてすごい!」という言葉が頭によぎりました。しかし、「男性は家事が苦手」なんて誰が決めたのでしょうか。そこには社会的なジェンダーステレオタイプが影響しており、男性も家事や育児を経験してみれば、意外と楽しかったり向いていたりするのかもしれない、と思いました。堀込さんも自分が主夫になるなんて思いもしなかったそうですが、やってみたら虜になったと語ります。

さらに、堀込さんの家庭ならではなのが、男3人夏物語という変わった行事があることです。これは子供たちと夏休みに1か月ほどの旅に出るという一大イベントなのですが、その時の様子は幸せそう、の一言に尽きます。あどけないくりくり坊主の男の子が浜辺で大はしゃぎする写真や、浮き輪に乗った赤ん坊が美味しそうに哺乳瓶でミルクを飲み、うたた寝する写真などが紹介され、私も思わず顔がほころんでしまいました。何より、それを一枚一枚繰る堀込さんの嬉しそうな笑顔がすごく輝いていました。しみじみと幸せを噛み締めながら思い出を回顧するその姿は、主夫という役割に余程やりがいを見出しているのだと分かります。確かに堀込さんもおっしゃる通り、家事・育児は休む暇がなく、責任もあり、かなりの重労働だと思います。しかし、それを踏まえても「主夫としてやってきたこの10年間は本当に充実していた」と語る堀込さんの言葉には、とても重みがありました。

最後に、私が最も印象的だったのは、堀込さん夫婦はお互いを尊重し合っているということです。講演の中盤でテレビ番組の取材を受けた際の映像が紹介され、堀込さん夫婦がお互いのことをどう考えているかについて話をしていました。堀込さんの奥さんは「仕事を辞めてまで家庭を支えてくれてありがとう」と感謝を述べ、堀込さんは「今の生活がすごく充実していて、働きに出てくれることに感謝している」と言います。これは堀込さんが主夫になるという柔軟な選択を取ってなければ実現しなかったことであり、私もこんな風にお互いを尊重し合えるような家庭を築きたいと思いました。すべての男性に専業主夫になれ、とは言いません。でも、多くの男性に主夫という選択肢や今は馴染みのない育休という制度を使うこともちょっとだけ考えてみてほしいです。「周りとは違うから」ということで決めつけず、自分たちなりの家族のカタチを見つけることで、よりよい未来が待っていると思います。

今回の講演を聞いて私も自分なりの家庭を築いていきたいと思いました。しかし、いくら男性の家庭進出が大事だとはいえ、男性だっていきなり家事・育児を任されても億劫な気持ちも分かります。そんな時は魔法の言葉があります。「お父さん、ご飯おいしかった!」その一言で男性の家庭進出がまた少し進むかもしれません。


国際関係学科2年 ごてんちゃん

コメントシートより

  • 主夫という考え方がまだ十分に浸透していない日本で、パイオニアとしてこのような活動をされている堀込さんはすごいと思いました。
  • 自分にとって大切なことは何かを見極め、その物事を楽しむという堀込さんの考え方はとてもかっこいいと思いました。
  • 男性が主夫になったとしても家族にとってそれが幸せでいちばん合うものであれば家事や料理をすることに性別は関係ないと思いました。
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