第20回 学生スタッフレポート

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人の強みを生かす~温かい居場所~

加藤 忠相 氏(株式会社あおいけあ代表取締役)

こんにちは。
第21回「総合2018」の講演者は、株式会社あおいけあ代表取締役の加藤忠相さんでした。講演が始まると「私は上から話すことが好きではないので。」という言葉と共に舞台から降り始めた加藤さん。今まで参加してきた講演会ではあまりない経験であったので、少し意外に思いました。しかし講演を聞いているうちに、講演者と聴講者で目線の高さがほとんど同じなので加藤さんと何度も目が合い、非常に親しみをもって聞くことできました。

加藤さんは東北福祉大学社会教育学科を卒業後、特別養護老人ホームに就職されます。就職する前の老人ホームの印象は、「おじいちゃんやおばあちゃんがお茶を飲みながら談笑する場」だったそうです。しかし実際に就職してみると、お茶を飲むのも、お風呂に入るのも、トイレさえも自由に行動できず、全てにおいて時間が決められている窮屈な場所でした。このような介護現場を疑問に思い、25歳から自身で会社を運営されます。

何かあると困るから、怪我をしてしまうかもしれないから、そのような理由で高齢者を椅子やベットに固定しても良いのでしょうか? リスクをなくすことで事故や怪我を防ぐことができる、しかし一方で高齢者はやりたいことができず自由を取り上げられてしまう、果たしてそれはケアと言えるのでしょうか? 加藤さんは「介護業界にリスクはつきもの。高齢者だけでなく私たちもリスクを取っている。それはリスクを取った方が生活は豊かになるからですよね。私たちの仕事は、リスクをなくすのではなくリスクを減らすことです。」と仰いました。

加藤さんが取り組む事業に「サテライトおとなりさん」があります。これはバラバラに提供されていた在宅介護を一つの事業所で行うというものです。この施設には近所の方や地域の子供がたくさん遊びに来ます。そして、おじいちゃんやおばあちゃんと接する中で裁縫や料理など多くのことを学びます。また、事業所の利用者であるおじいちゃんやおばあちゃんが事業所のスタッフの方のために結婚式を開いたというお話は、私が今まで持っていた介護の印象とはかけ離れたものであり、強い感銘を受けました。事業所と地域の接する機会が増えることで、おじいちゃんやおばあちゃんは子供たちと楽しい時間を過ごすことができます。また、近所の方々はおじいちゃんやおばあちゃんの様子を頻繁に気にかけてくれるそうです。地域全体で高齢者のケアをしているのです。このようにお互いが出せるものを出しあう、これこそが地域共生であると加藤さんは話されました。

福祉や介護について、私たちは無意識のうちに「やってあげている」という感覚になっているのではないでしょうか? 加藤さんは、そもそも「介護はしてあげるもの」という考え方自体に、問題認識を持たれています。介護は、自分だったらどうしてほしいか、なのではないかと話されていました。

長い年月の中で培われた経験や知識、成熟した人間性、私たちが高齢者の方々より未熟な部分はたくさんあるはずです。高齢者の方々は、私たちが成長するための手助けを提供してくれるとても大切な存在であると改めて認識することができました。

自分が高齢者になった時、自分だったらどうありたいか。今回の講演を聞いて深く考えました。「人にされて嫌なことは人にしてはいけない」ーー誰もが小さい頃から言われてきたことだと思います。つまり自分がされて嫌だと思う介護は、誰しも嫌なものなのです。それを踏まえた上で、介護をする人もされる人も「幸せになる介護」をしていく必要があると感じました。

英文学科2年 ブドリ

コメントシートより

  • 何でも助けてあげるのではなく、自分でできることは自分でやってもらうという介護が素晴らしいと思った。
  • 加藤さんの行動力により多くの高齢者の方が幸せで生き生きとした人生が送れたのだと感じた。
  • リスクをなくす生活ではなく、リスクを減らす生活を送れるようにすることが自分らしく生きられるのだと思った。
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