第15回 学生スタッフレポート
出会う門には福来る〜あたりまえに感謝〜
遠藤 元気 氏(和太鼓奏者、山木屋太鼓会長)
みなさん、こんにちは!
10月25日第16回の講演は、和太鼓奏者の遠藤元気さんにお越し頂きました。ウェルネスセンターとの共催であったこともあり、席が全て埋まってしまう程の来場者でした。
講演会は、遠藤さんの活動内容をまとめた映像から始まりました。アメリカのバンドマンと共に和太鼓を演奏する遠藤さん、子供に和太鼓を教える遠藤さんなど様々な活動をされている遠藤さんが写っていました。バンドに和太鼓という組み合わせに驚きましたが、見事に合っていて、和太鼓の新しい側面を知ることが出来ました。
そして、登場された遠藤さん。心の奥に響き渡るような力強い和太鼓演奏を披露してくださいました。
演奏後、ご自身が体験された東日本大震災のお話をしてくださいました。
「震災の話になると暗い話になるが、辛いことこそ振り返ることで、新たな希望が生まれる。」という遠藤さんのお言葉から、辛いことも前向きに進んでいく材料とするその姿勢に、感銘を受けました。また、震災の日の事を「縦にも横にも揺れ続け、立っていられず、映画のワンシーンのように感じた。」とおっしゃっており、改めて震災の脅威を実感しました。
遠藤さんは、山木屋太鼓というグループの会長をされています。山木屋とは、福島にある地名で、放射能による避難地域に指定されていた場所です。震災直後、「太鼓を鳴らす音が余震の音に聞こえないか。」「放射能の事を考えると外に出ない方がよく、練習は控えた方が良いのではないか。」など、様々な事を考え、山木屋太鼓を解散させるか悩んでいたそうです。また、情報が錯綜したことで、子供からどんどん笑顔が消えていく様子が辛かったとおっしゃっていました。この話から、真実は何か。それは、自分の目でしか確かめられず、第三者が不確かなことを言えば言うほど、当事者に混乱を招いてしまうのだと感じました。自分で積極的に真実を探すように心掛け、また、不確かな事は極力言わないようにしようと心に決めました。
介護士をしていた遠藤さんが、太鼓演奏者として生きていこうと決断したのは、震災後に、アメリカ合衆国のワシントンD.C.で行われたさくら祭りに招かれたことがきっかけであったそうです。TOMODACHIプロジェクトなどの支援を受け、ワシントンD.C.での演奏を終えた際、またアメリカに戻って演奏したいと強く思ったメンバーは、クラウドファンディングで資金を集め、アメリカのミシガン州でコンサートを開くことに成功します。このコンサートの実現に力を貸したのは、ミシガン州在住の日本人映画監督、椎木透子さん。「福島のありのままを届けたい。」との思いから、福島に足を運び、映画を製作していた際に、山木屋太鼓を知り、強く興味を惹かれた椎木さんは、ミシガン大学音楽学部で教授をされている夫のエリック・サントスさんに協力を依頼し、コンサートを実現させます。講演会では、ミシガン州アナーバーでのコンサートの様子や、コンサート前のエリックさんのスピーチの映像を流して頂きました。そのスピーチから、山木屋太鼓が多くの人の気持ちを動かし、一つにまとめたのだなと感じました。また、山木屋太鼓の皆さんが地元の大学生や小学生と交流していた映像は、心から太鼓を楽しんでいる様子が伝わり、温かい気持ちになりました。そして、遠藤さんは、「裏拍子をとることが多い南アメリカの音楽とは対照的に、表拍子をとる和太鼓のリズムは、アメリカの方々に面白がられ、楽しんで頂けた。」とおっしゃっており、国ごとのリズムの違いの面白さを感じました。
講演会の終わりには、会場の皆で、手拍子や足踏みでリズムを作り、和太鼓とのセッションを楽しみました。3パターンのリズムを手拍子と足踏みで作っただけで、面白い音楽が出来上がり、とても楽しかったです。講演のために作ってきてくださった曲の演奏は、今までの苦労と、それを乗り越えて前向きに進んでいく決意が伝わり、心に響きわたりました。
私は、講演を通して、遠藤さんは一日一日を大切にし、一人一人との出会いを大切になさっている方なのだとひしひしと感じました。日常的な当たり前に感謝する。難しい事ですが、地震や事故はいつ起こるか分かりません。明日そのような事が起こるかもしれないという思いで、日々を大切に生きていこうと思います。
英文学科2年 Share happiness
コメントシートより
- 遠藤さんは色んな人との出会いに恵まれ、それを大切にしたことで、人生が形作られたと伺い、人との出会いを大切にしようと思いました。
- 講演を通して当たり前の大切さに気付かされました。毎日生きられていることに感謝を忘れないようにしようと思います。
- 音楽の力は皆を笑顔にするのだと再認識しました。
- 山木屋から小学生がいなくなるという話に大変驚きました。福島の現状にもっと目を向けなければならないと感じました。
- 辛いことを乗り越えて、世界を舞台に活躍されるその姿に感動しました。