第13回 学生スタッフレポート

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日本伝統の前掛けを未来へ世界へ

西村 和弘 氏(有限会社エニシング代表取締役 伝統の前掛けを世界に売る男)

皆さん、こんにちは!
涼しくなったと思ったら暑くなったりと、気候の変動が激しい今日この頃です。みなさんくれぐれも体調には気をつけてくださいね。さて、10月4日「総合2018」第14回は、前掛けの販売をしている株式会社エニシングの代表取締役、西村和弘さんにご講演していただきました。

講演が始まってすぐ、「今日これだけ覚えて帰ってください」とおっしゃった西村さん。何が語られるのか予想のできない、木しか映されていないスライド。西村さんが伝えたかったこととは、「物事、人には、根っこがあることを忘れないで」というものでした。根っこは辛い時、大変な時、自分が立ち返るべき場所だそうです。今の社会で、多くの人はすぐに花や実をつけよう、つまり、すぐに成果や結果を出そうとしますが、根っこに毎日水をあげて、自分の軸をしっかり持って生きていれば、自然と元気が出てきて、花や実もついてくる、とおっしゃっていました。確かにいまの世の中は目先の成果が重視され、基礎や資本となるような、例えば体などのことは二の次になりがちなのではないか、と考えさせられました。わたしは特に計画的にやるということが苦手で、例えば宿題などを、いつもギリギリになって生活リズムを崩しながら乗り切っていることが多いので、「根っこに毎日水をやり、自分の軸をしっかり持つ」ということが全くできていなかったと深く反省しました。

その次にお話されたのは、西村さんの来歴と、現在の事業に関することでした。大学時代の留学の話では、留学して英語の勉強をするということに関してとても役に立つお話が聞けました。そして大学卒業後、5年間会社で働いた後起業、漢字Tシャツの製造販売を経て、いまの事業である「前掛け専門店」をスタートさせたそうです。

前掛けの下の方についているフサについてのお話はとても興味深いものでした。あのようにひらひらしたものは、相撲力士の化粧回しや、神社のしめ飾りにも共通しているもので、今年のテーマである境を表しているものだそうです。世界の共通認識として、神聖な織物にはひらひらがついている、ということがあるそうです。日本の神聖と日常の境を表すひらひらしたものですが、実は出入りが自由で、境界線はあるようでないようなものだそうです。前掛けから神聖と日常の境界線についての話に及ぶとは思っていませんでした。この瞬間私の中で、前掛けと神社の境がなくなりました。

また事業の話では、ニューヨークでの展示・販売の話や、サンフランシスコのチャイバー、ロンドンのレストランでの前掛けの使用など、日本文化である前掛けが国境というわかりやすい境を超えて海外に溶け込んでいっている話を聞くことができました。また、国内についてのお話も興味深い内容でした。新しい若い職人さんを育て、伝統を絶やさないようにしているそうです。意外な職種からの転職などもあるそうです。また、百貨店での期間限定の展示・販売、大きな会社との関わりの話、お茶農家、学生、アイドル、ブランド、生協など、幅広い分野との関わりについて知ることができました。

まとめとして、織物、そして前掛け事業を通じて、西村さんが学んだことを語っていただきました。世の中は前掛けと同じ、歴史という縦糸と、今という横糸で成り立っているという話、そこから、歴史の大切さや、人材、決断について話が広がり、未来は創り出すものであるという話であったり、西村さんの会社の名前である、縁ing(エニシング)の由来についてお話していただきました。そして、冒頭の「今日一番伝えたい話」である、「根っこ」について、そしてその根っこを大切にしながら変化、挑戦をし続けていくことが大切、という話を締めに、講演は終了しました。

自分の軸を作るのはおそらく簡単なことではありません。しかし、根っこを大切にし、自分の基礎を築けた人は、その後、とても強いのではないでしょうか。時間がかかっても自分の軸や根っこを作り、そしてそれを大切にすることをおろそかにせず、これから色々なことに挑戦していきたいと思いました。

国際関係学科2年 モノクロ

コメントシートより

  • 人との個人的なつながりが大事だという話に共感した。
  • 「ちょっと疲れたら無理せず休めば良い」という言葉にホッとした。
  • 私も自分の根をしっかり持って自分のやりたいことをやっていきたい。
  • 前掛けの魅力を知らなかったことが日本人として恥ずかしくなった。海外の飲食店で前掛けが使われていると知り嬉しくなった。
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