第8回 学生スタッフレポート

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70年の時空を超えて出会う若者たち
~戦争体験を次世代へ、世界へ~

北川 直実 氏(編集者)/室田 元美 氏(ライター)
『若者から若者への手紙 1945←2015』著者

こんにちは!
6月14日第9回目は、北川直実さんと室田元美さんに講演していただきました。北川さんと室田さんは、過去に日本が行った戦争に焦点を当てて、戦争の記憶を継承するため『若者から若者への手紙1945←2015』を出版されました。

『若者から若者への手紙1945←2015』には、様々な戦争体験の話が綴られています。中国で我が子を預けて生き別れとなってしまった方、長崎で被爆し家族を亡くした方、731部隊の少年隊に属し人体実験に加わった方。北川さんと室田さんは、この本に綴られている15名の戦争体験談を顔写真とともに紹介してくださいました。戦争体験者の話の中に「戦争で生き残れたという安堵ではなく、周りは死んでしまったのに私は生き残ってしまった罪悪感がある」という言葉があります。私は、戦争が終わった今も、戦争のことが頭から離れずつらい思いをしている人がいるということを知り、胸が苦しくなりました。

北川さんと室田さんは、軍国少女だった方の話を朗読してくださいました。砲弾が飛び交う中、水や食料を運んだ話。負傷者であふれる防空壕に血と汚物の匂いが充満し、今も忘れられない話。軍の階級によって、施される治療が異なる話。最も衝撃的だったのは、上官命令により負傷兵に毒入りの注射をさせられそうになった話でした。このお話を聞き、仲間の命さえ奪うことを強制させられる戦争に強い恐怖を抱きました。

また、戦争を風化させないために国内外で行われている取り組みについて紹介してくださいました。「BRIDGE FOR PEACE」という団体は、戦争被害者と加害者、戦争を体験した世代と若者をつなぐ役割を果たしているそうです。この団体の取り組みの一つに加害者家族から被害者へビデオメッセージを送るというものがあります。ビデオメッセージには、加害者が語る戦争当時の状況、思い、そして謝罪の気持ちが含まれており、両者の和解に繋がったものもあるそうです。また、ドイツでは1993年から「Stolperstein(つまずき石)」というプロジェクトが行われています。「つまずきの石」といっても、文字通り、歩いていると躓きそうになるような石ではありません。これは、石畳に埋め込まれた四角い金属のプレートで、ここにはナチス・ドイツによって強制収容所送りになった人々の情報が刻まれています。日常のふとした時に立ち止まり、ナチズムの歴史を忘れないための象徴となっているのです。金色の石に深く刻まれた文字には、犠牲者の存在を忘れないでほしいという思いと二度と戦争を繰り返さないという決意が示されているように感じました。

世界ではいまも多くの戦争が起きていますが、戦争経験がない私にとって、戦争は歴史上の出来事のように感じられます。戦争はあってはならないと理解しているつもりでも、漠然とした印象しか持つことができません。北川さんと室田さんは、「共感が難しい戦争をいかにして現代とつなげて継承していくのか常に考えている」とおっしゃっていました。そのためには、「戦争についての情報を収集するために自主的に学ぶこと」「戦争被害にあった土地へ赴き、歴史を学び感じること」が大切であると学びました。

時が経つにつれ、戦争体験者から戦争についてお聞きするという機会が減っていきます。最近では、パソコンやスマホによる戦闘ゲームの普及により、「戦争はかっこいい」と興味を抱く人さえいるようです。二度と戦争を繰り返さないために、戦争について忘れないことは本当に大切なことです。目を背けたくなるような戦争の悲惨さを直視し、後世に伝えていく必要があると思いました。

英文学科1年 ブドリ

コメントシートより

  • 学校の授業で戦争について学ぶ機会があったが、戦争は自分が思っている以上に残酷だと思った。「平和」についてもう一度考え直す必要があると感じた。
  • 戦争は人災である。天災を防ぐことはできないが人災は防ぐことができる。だから、戦争は防ぐことができると思った。
  • 日本人として戦争について考え、語り継ぐ必要があると思った。
  • 戦争体験への共感や想像力を持つことで、戦争体験は継承されていくと学んだ。
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